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2009.4.22設置 『今日からマ王』メインです。 
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2009/05/27 (Wed)                  鬼畜眼鏡なパロディー 第十話
第十話 魅惑の果実 
※眼鏡コンラッド×普通コンラッドです。ご注意ください(汗
  コンラッド視点です。




 ん・・・ここは、どこだ。こんな殺風景で奇妙な景色、眞魔国でも見たことがない。


 俺が目を覚ますと、荒涼とした砂原に横たわっていた。風一つ吹かない、もの悲しい闇の中に。抽象画のような世界の中に。


 ひどく、喉が渇いて苦しい。


 ふと、目の前を見ると、熟れた果実がひとつごろん、と転がっている。


 吸い寄せられるように、俺は赤黒い果実に一口かじりつく。


 心身が、芳醇な果実の香りに満たされていく。


 身体が痺れて眼が霞む。


「く・・・・っ」


 きつく眼を閉じる。


「な・・・・っ!!」


 再び眼を開けた俺の前に、信じられない光景が浮かび上がる。


 眼鏡を掛けたもう一人の俺が目の前にいる。


 なぜ、なぜだ。どうして、彼がここにいる?!俺の身体を占拠して、俺の意識を精神の淵に追いやった彼が。


 
 不穏な気配を感じ取り、剣を抜こうとするも身体の痺れが尾を引いて、思うように動けない。



 眼鏡の俺は、足元の砂を気にするもなく優雅な足取りで俺に差し迫る。不敵な笑みを俺と同じその顔に携えて。


 くそ・・・・どうして、動けないんだ・・・・・・!


 俺は、地面に這い蹲ったまま、彼を睨み上げる。


 
 彼は、俺の眼前に立ち止まる。仁王立ちで、腕を組み、遥か頭上から俺を見下す。眼鏡の奥の瞳が鋭く細められる。



「そろそろ、本格的に貴方が邪魔になってきました。消えていただけないですか?」


 彼は、おもむろに鞘から黒光りする刃を抜く。


 「何を考えている!!俺はお前でもあるんだぞ!!自分を切るというのか?!」


 彼は、俺を一瞥して冷笑する。


 にわかに、剣を空高く振り上げる。鈍い光を放ちながら、振り落とされる刃。
 刃の空を切る音が闇の中で鋭く唸る。




 くそ・・・動けない!!!!何もできずに終わるのか!?





 反射的に、眼を瞑る。




 けれど、予想外の展開に俺は愕然とする。




 俺の服が切り裂かれ、肌が顕わになっていた。ところどころに、服の切れ端が残り、それが一層卑猥さを増幅させる。



 彼は、何をしようとしている?彼の真意が掴めない。


「貴様・・・・・・っ!!自分を辱めて楽しいのか?」


「く・・・あははは。さすが、俺。この状況下でよく楯突けるものです」


 すっと、眼を細めると優雅に微笑むもう一人の俺。


「自分を切るわけがないじゃないですか。俺にもなにかあったら困りますからね。ただ、貴方に教えてさしあげたかったのですよ。貴方の中に潜む欲望がどんなものなのかを、ね」


 にわかにしゃがみこみ、俺の顎を掴み上げると、俺に不敵な笑みをこぼす。耳元で低く、淫靡な声で囁く眼鏡の俺。
「貴方が、ユーリをどうしたいと思っているのか、貴方の身体に教えてあげますから」


 彼の言葉に、かっと全身が熱くなる。何を考えている?!


「そんなことをして、貴様にいったい何のメリットがある?自分を辱めて何が面白い?ふざけた真似はよせ!」


 彼の乾いた声が響く。
「メリット?そんなの、簡単じゃないですか。貴方という人格を俺の中から消せるということですよ。貴方が俺に同調さえしてしまえばいい。貴方もユーリに対する強い欲望を当然のものとして認めればいい。その想いをユーリに曝け出そうと思うようになればいい。そうすれば、きっと今の俺がオリジナルの人格になる」


 眼鏡の俺の、ユーリへの強い独占欲が伺える。その独占欲は、元の人格の俺まで破壊しようとしている。


 けれどもこんなことで、引き下がるわけにはいかない。私も、ユーリを誰よりも愛している。彼に忠誠を尽くしている。今の自分のままで、彼を優しく包み、励まし、大切にしたいんだ。
 ユーリに、欲望などを持ってはいけない。無垢な彼を穢すことは赦されないんだ。
 彼に、安らかな愛を与えて、安心させたいんだ。


 何よりも、ユーリが望んでいるのは、そんな俺なのだから。肉親のように絶対的に無条件で降り注がれる愛。その期待を裏切ってはいけない。



「俺は、お前にどんなことをされようとも、ユーリの前からいなくなりはしない。断言する。清らかな愛で彼を慈しむまでだ」


はぁ、と盛大にため息をつくもう一人の俺。


俺の顎を掴む指に力がこもる。
その痛みに、俺は顔をしかめる。


「貴方には、ほとほと呆れ果ててしまいますよ。いいかげん、自分の中の汚い部分を認めたらどうですか。本当は、貴方はユーリの全てを手に入れてしまいたいのでしょう。清らかな愛なんて物じゃない、エゴイスティックな欲望の塊を色濃く持ち合わせているくせに」


 そんなことはない!!と強く否定したい。けれど、ユーリに対する日々増幅する利己的な愛に苛んでいたのも事実だった。
 けれど、俺はそれを決して実行に移そうなどとは思わなかった。それが、もう一人の俺との決定的な違いだ。


 俺は、もう一人の俺を睨みつけながら、言葉を弾き出す。


「だが、俺はその想いをユーリにぶつけることは決してしない。どんな些細な可能性でも彼を傷つける可能性のあることは、排除する。それがどんなに俺を苦しませるとしてもだ!」


 眼鏡の俺が、忌々しげに俺を睨みつける。
 瞳の奥に妖しい光を宿しながら。


「いいですよ、言葉で言っても理解してもらえないなら、その身体に教えてやるまでです」




 
裏へ続く。
ヒント、右下のほう。


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