2009.4.22設置
『今日からマ王』メインです。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
第十話 魅惑の果実
※眼鏡コンラッド×普通コンラッドです。ご注意ください(汗
コンラッド視点です。
ん・・・ここは、どこだ。こんな殺風景で奇妙な景色、眞魔国でも見たことがない。
俺が目を覚ますと、荒涼とした砂原に横たわっていた。風一つ吹かない、もの悲しい闇の中に。抽象画のような世界の中に。
ひどく、喉が渇いて苦しい。
ふと、目の前を見ると、熟れた果実がひとつごろん、と転がっている。
吸い寄せられるように、俺は赤黒い果実に一口かじりつく。
心身が、芳醇な果実の香りに満たされていく。
身体が痺れて眼が霞む。
「く・・・・っ」
きつく眼を閉じる。
「な・・・・っ!!」
再び眼を開けた俺の前に、信じられない光景が浮かび上がる。
眼鏡を掛けたもう一人の俺が目の前にいる。
なぜ、なぜだ。どうして、彼がここにいる?!俺の身体を占拠して、俺の意識を精神の淵に追いやった彼が。
不穏な気配を感じ取り、剣を抜こうとするも身体の痺れが尾を引いて、思うように動けない。
眼鏡の俺は、足元の砂を気にするもなく優雅な足取りで俺に差し迫る。不敵な笑みを俺と同じその顔に携えて。
くそ・・・・どうして、動けないんだ・・・・・・!
俺は、地面に這い蹲ったまま、彼を睨み上げる。
彼は、俺の眼前に立ち止まる。仁王立ちで、腕を組み、遥か頭上から俺を見下す。眼鏡の奥の瞳が鋭く細められる。
「そろそろ、本格的に貴方が邪魔になってきました。消えていただけないですか?」
彼は、おもむろに鞘から黒光りする刃を抜く。
「何を考えている!!俺はお前でもあるんだぞ!!自分を切るというのか?!」
彼は、俺を一瞥して冷笑する。
にわかに、剣を空高く振り上げる。鈍い光を放ちながら、振り落とされる刃。
刃の空を切る音が闇の中で鋭く唸る。
くそ・・・動けない!!!!何もできずに終わるのか!?
反射的に、眼を瞑る。
けれど、予想外の展開に俺は愕然とする。
俺の服が切り裂かれ、肌が顕わになっていた。ところどころに、服の切れ端が残り、それが一層卑猥さを増幅させる。
彼は、何をしようとしている?彼の真意が掴めない。
「貴様・・・・・・っ!!自分を辱めて楽しいのか?」
「く・・・あははは。さすが、俺。この状況下でよく楯突けるものです」
すっと、眼を細めると優雅に微笑むもう一人の俺。
「自分を切るわけがないじゃないですか。俺にもなにかあったら困りますからね。ただ、貴方に教えてさしあげたかったのですよ。貴方の中に潜む欲望がどんなものなのかを、ね」
にわかにしゃがみこみ、俺の顎を掴み上げると、俺に不敵な笑みをこぼす。耳元で低く、淫靡な声で囁く眼鏡の俺。
「貴方が、ユーリをどうしたいと思っているのか、貴方の身体に教えてあげますから」
彼の言葉に、かっと全身が熱くなる。何を考えている?!
「そんなことをして、貴様にいったい何のメリットがある?自分を辱めて何が面白い?ふざけた真似はよせ!」
彼の乾いた声が響く。
「メリット?そんなの、簡単じゃないですか。貴方という人格を俺の中から消せるということですよ。貴方が俺に同調さえしてしまえばいい。貴方もユーリに対する強い欲望を当然のものとして認めればいい。その想いをユーリに曝け出そうと思うようになればいい。そうすれば、きっと今の俺がオリジナルの人格になる」
眼鏡の俺の、ユーリへの強い独占欲が伺える。その独占欲は、元の人格の俺まで破壊しようとしている。
けれどもこんなことで、引き下がるわけにはいかない。私も、ユーリを誰よりも愛している。彼に忠誠を尽くしている。今の自分のままで、彼を優しく包み、励まし、大切にしたいんだ。
ユーリに、欲望などを持ってはいけない。無垢な彼を穢すことは赦されないんだ。
彼に、安らかな愛を与えて、安心させたいんだ。
何よりも、ユーリが望んでいるのは、そんな俺なのだから。肉親のように絶対的に無条件で降り注がれる愛。その期待を裏切ってはいけない。
「俺は、お前にどんなことをされようとも、ユーリの前からいなくなりはしない。断言する。清らかな愛で彼を慈しむまでだ」
はぁ、と盛大にため息をつくもう一人の俺。
俺の顎を掴む指に力がこもる。
その痛みに、俺は顔をしかめる。
「貴方には、ほとほと呆れ果ててしまいますよ。いいかげん、自分の中の汚い部分を認めたらどうですか。本当は、貴方はユーリの全てを手に入れてしまいたいのでしょう。清らかな愛なんて物じゃない、エゴイスティックな欲望の塊を色濃く持ち合わせているくせに」
そんなことはない!!と強く否定したい。けれど、ユーリに対する日々増幅する利己的な愛に苛んでいたのも事実だった。
けれど、俺はそれを決して実行に移そうなどとは思わなかった。それが、もう一人の俺との決定的な違いだ。
俺は、もう一人の俺を睨みつけながら、言葉を弾き出す。
「だが、俺はその想いをユーリにぶつけることは決してしない。どんな些細な可能性でも彼を傷つける可能性のあることは、排除する。それがどんなに俺を苦しませるとしてもだ!」
眼鏡の俺が、忌々しげに俺を睨みつける。
瞳の奥に妖しい光を宿しながら。
「いいですよ、言葉で言っても理解してもらえないなら、その身体に教えてやるまでです」
裏へ続く。
ヒント、右下のほう。
※眼鏡コンラッド×普通コンラッドです。ご注意ください(汗
コンラッド視点です。
ん・・・ここは、どこだ。こんな殺風景で奇妙な景色、眞魔国でも見たことがない。
俺が目を覚ますと、荒涼とした砂原に横たわっていた。風一つ吹かない、もの悲しい闇の中に。抽象画のような世界の中に。
ひどく、喉が渇いて苦しい。
ふと、目の前を見ると、熟れた果実がひとつごろん、と転がっている。
吸い寄せられるように、俺は赤黒い果実に一口かじりつく。
心身が、芳醇な果実の香りに満たされていく。
身体が痺れて眼が霞む。
「く・・・・っ」
きつく眼を閉じる。
「な・・・・っ!!」
再び眼を開けた俺の前に、信じられない光景が浮かび上がる。
眼鏡を掛けたもう一人の俺が目の前にいる。
なぜ、なぜだ。どうして、彼がここにいる?!俺の身体を占拠して、俺の意識を精神の淵に追いやった彼が。
不穏な気配を感じ取り、剣を抜こうとするも身体の痺れが尾を引いて、思うように動けない。
眼鏡の俺は、足元の砂を気にするもなく優雅な足取りで俺に差し迫る。不敵な笑みを俺と同じその顔に携えて。
くそ・・・・どうして、動けないんだ・・・・・・!
俺は、地面に這い蹲ったまま、彼を睨み上げる。
彼は、俺の眼前に立ち止まる。仁王立ちで、腕を組み、遥か頭上から俺を見下す。眼鏡の奥の瞳が鋭く細められる。
「そろそろ、本格的に貴方が邪魔になってきました。消えていただけないですか?」
彼は、おもむろに鞘から黒光りする刃を抜く。
「何を考えている!!俺はお前でもあるんだぞ!!自分を切るというのか?!」
彼は、俺を一瞥して冷笑する。
にわかに、剣を空高く振り上げる。鈍い光を放ちながら、振り落とされる刃。
刃の空を切る音が闇の中で鋭く唸る。
くそ・・・動けない!!!!何もできずに終わるのか!?
反射的に、眼を瞑る。
けれど、予想外の展開に俺は愕然とする。
俺の服が切り裂かれ、肌が顕わになっていた。ところどころに、服の切れ端が残り、それが一層卑猥さを増幅させる。
彼は、何をしようとしている?彼の真意が掴めない。
「貴様・・・・・・っ!!自分を辱めて楽しいのか?」
「く・・・あははは。さすが、俺。この状況下でよく楯突けるものです」
すっと、眼を細めると優雅に微笑むもう一人の俺。
「自分を切るわけがないじゃないですか。俺にもなにかあったら困りますからね。ただ、貴方に教えてさしあげたかったのですよ。貴方の中に潜む欲望がどんなものなのかを、ね」
にわかにしゃがみこみ、俺の顎を掴み上げると、俺に不敵な笑みをこぼす。耳元で低く、淫靡な声で囁く眼鏡の俺。
「貴方が、ユーリをどうしたいと思っているのか、貴方の身体に教えてあげますから」
彼の言葉に、かっと全身が熱くなる。何を考えている?!
「そんなことをして、貴様にいったい何のメリットがある?自分を辱めて何が面白い?ふざけた真似はよせ!」
彼の乾いた声が響く。
「メリット?そんなの、簡単じゃないですか。貴方という人格を俺の中から消せるということですよ。貴方が俺に同調さえしてしまえばいい。貴方もユーリに対する強い欲望を当然のものとして認めればいい。その想いをユーリに曝け出そうと思うようになればいい。そうすれば、きっと今の俺がオリジナルの人格になる」
眼鏡の俺の、ユーリへの強い独占欲が伺える。その独占欲は、元の人格の俺まで破壊しようとしている。
けれどもこんなことで、引き下がるわけにはいかない。私も、ユーリを誰よりも愛している。彼に忠誠を尽くしている。今の自分のままで、彼を優しく包み、励まし、大切にしたいんだ。
ユーリに、欲望などを持ってはいけない。無垢な彼を穢すことは赦されないんだ。
彼に、安らかな愛を与えて、安心させたいんだ。
何よりも、ユーリが望んでいるのは、そんな俺なのだから。肉親のように絶対的に無条件で降り注がれる愛。その期待を裏切ってはいけない。
「俺は、お前にどんなことをされようとも、ユーリの前からいなくなりはしない。断言する。清らかな愛で彼を慈しむまでだ」
はぁ、と盛大にため息をつくもう一人の俺。
俺の顎を掴む指に力がこもる。
その痛みに、俺は顔をしかめる。
「貴方には、ほとほと呆れ果ててしまいますよ。いいかげん、自分の中の汚い部分を認めたらどうですか。本当は、貴方はユーリの全てを手に入れてしまいたいのでしょう。清らかな愛なんて物じゃない、エゴイスティックな欲望の塊を色濃く持ち合わせているくせに」
そんなことはない!!と強く否定したい。けれど、ユーリに対する日々増幅する利己的な愛に苛んでいたのも事実だった。
けれど、俺はそれを決して実行に移そうなどとは思わなかった。それが、もう一人の俺との決定的な違いだ。
俺は、もう一人の俺を睨みつけながら、言葉を弾き出す。
「だが、俺はその想いをユーリにぶつけることは決してしない。どんな些細な可能性でも彼を傷つける可能性のあることは、排除する。それがどんなに俺を苦しませるとしてもだ!」
眼鏡の俺が、忌々しげに俺を睨みつける。
瞳の奥に妖しい光を宿しながら。
「いいですよ、言葉で言っても理解してもらえないなら、その身体に教えてやるまでです」
裏へ続く。
ヒント、右下のほう。
PR
カレンダー
04 | 2025/05 | 06 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | ||||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
カテゴリー
最新CM
[05/01 ずきんちゃん]
[04/18 花菜]
[04/18 ずきんちゃん]
[03/03 ずきんちゃん]
[03/03 花菜]
最新記事
(06/03)
(05/26)
(10/24)
(10/20)
(07/20)
最新TB
プロフィール
HN:
ずきんちゃん
性別:
女性
趣味:
ひとりカラオケ カラオケ 旅
自己紹介:
とても気が弱く長いものに巻かれろ的な性格です。
ブログ内検索
最古記事
(04/21)
(04/21)
(04/23)
(04/23)
(04/24)
P R
カウンター
アクセス解析
忍者アナライズ