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2009.4.22設置 『今日からマ王』メインです。 
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2009/08/04 (Tue)                  塾講師と甘い夏?!
第一話 居残り授業?
※コンユですvかなり天然なユーリです。ユーリ視点。



 分かってる、いや、分かってた。俺が悪いんです。なんたって、夏休み前の期末テストで27点取ったんだから。数学とか、物理とかだったら赤点をとる生徒も多い。
 でも、小難しい模試じゃなくて、学校の試験の英語で27点だったんだ・・・・・・。

 俺は、そもそも数学はIとAしか取ってないし、嫌な数学は一年生の時点で全て履修し終えた。物理にいたっては、学んだことさえない。国立なんてはなから狙ってないし。

 うちの学校が、単位制だから、極力理系科目は避けてきた。それなのに、英語で赤点を取るなんて。


 嘘を書くわけにもいかなかった。俺は、お天道様にそむくわけにはいかなかったんだ !

 だから、俺は正直に、27点という点数を、書いて提出した。俺の通っている塾の調査書に・・・・!


 呼び出しでも何でも、ドンと来い !だ。(胸を張って言える台詞じゃないが)


「渋谷君」

 ぐわっ、早速来ましたか。呼び出しが。この上品な甘い声―― 今年の春から、俺のクラスの英語を担当してくれている塾講師―― コンラッド・ウェラー先生だ。
 人気者のこの先生は、生徒達から『ウェラー先生』ではなく、『コンラッド先生』と、名前で呼ばれている。

 それにしても、どうして、塾講師ってハンサムで2枚目の若い先生が多いんだろう。コンラッド先生も、例に漏れず、超絶の男前だった。
 おまけに、彼はアメリカ人らしい。その生まれのせいか、ボディータッチをナチュラルに且つ頻繁にする。

 彼は、長い指でさくっと俺の髪を かしながら、じっと俺の顔を覗きこむ。瞳は、日本人よりも色素が薄く、グリーンが混ざったようなダークブラウンだ。虹彩には、見る者を惹きつける銀の星が、キラキラと散りばめられている。瞳のきわには、繊細で長い睫毛が縁取られ、男の俺でも見惚れてしまう。

「今日の授業後、しばらく教室に残っていて下さい」

 き、きた~!やっぱり、居残り勉強決定か?うっかり、コンラッド先生の外見に見惚れてたけど、俺、英語で27点取ったって、調査書に書いたんだもんな。

 ごめんなさい、コンラッド先生が英語を教えてくれてるのに、俺、英語で27点なんて、とっちゃって。きっと、先生は塾長に怒られているんだろうな・・・・・・。本当に、御免なさい !

 居残り勉強でも、なんでも受けて反省します !



 始業音と共に、コンラッド先生の英語の授業が始まった。

 相変わらず、アメリカ生まれの先生の発音には、惚れ惚れする。
 小休止のために、たまにしかけてくるギャグが、壊滅的に寒いのはびっくりだけど。
 でも、なんか、憎めないよな。こんなカッコいい人にも、欠点ってあるんだなって、好感が持てるっていうか。

 それにしても―― 何だろう、気のせいかな?
 授業が始まってからの先生は、いつもより俺を見る回数が明らかに多い。俺の自惚れなんかじゃないよな?俺はいたって普通の男子高校生なのに、俺なんて見てもつまんないだろうに・・・・・・。
 俺の隣のジュリアさんのほうが美人だから、見ごたえがあるだろうに?

 あ、そうか。俺が、英語で27点を取ったからだ。ちゃんと、授業を聞いてるか、チェックしてるんだ。ああ、なんだ、そうか。

 俺の馬鹿。ちゃんと、勉強しよっと。

 ふいに、彼とまた眼が合った。すごく優しく微笑まれた。あまりに、綺麗な笑顔だったからドキッとした。
 コンラッド先生の笑顔の先を辿ろうとする女子達の視線が、教室中を飛び交った。
 うわ、本当にもてるんだな、コンラッド先生って。でも、そんな彼の視線の先が俺なんかでいいのか?なんか間違ってないか?

 いや、きっと、『勉強を頑張るぞ』っていう俺の気迫が彼に伝わったんだ。それで、微笑んでくれただけだ、きっと深い意味はない。

 SVOCだの、先行詞だの、相変わらず頭の痛くなるような専門用語?に悩まされながら授業が終わった。コンラッド先生は、教科書を持って教室を出て行った。去り際に、またにこっと微笑まれた。それで、思い出した。  あ、そうだ。今日は、まだ居残り授業があるから帰れないんだった。

 きっと、コンラッド先生を好きな女子からしたら、羨ましくてしょうがないんだろうな。そんなことを思いながら、ぼんやりと、机に突っ伏していた。

 塾のクラスメート達が次々に帰っていく。皆、俺とは違って志の高い人たちばかりだった。少しでも、名の馳せた大学を目指して、賢明に勉強していた。俺はというと、無理をせずに入れる無名の私立大学を目指していた。塾に通っているのは、学校の授業にあまりにもついていけないためだった。それでも、テストで27点取っちゃったんだけど・・・・・・。

 そんなわけで、塾にいると肩身の狭い思いをしていた。

「今日は先生に呼び出されてたわね、渋谷君」

 ふと、涼やかな声の主を見遣ると、隣の席のスザナ・ジュリアだった。父がイギリス人というハーフの彼女は、全体的に色素が薄い。特に肌は、抜けるように色が白くて気品があった。

 そんな凛とした外見の癖に、彼女は優しい少女だった。このクラスで、なんとなく浮いた存在の俺に、よく気を遣って声をかけてくれる。

「うん。学校のテストで赤点取っちゃってさ、多分居残り勉強だと思う」

 軽く肩を竦めると、にっこりと微笑んでくれた。それだけで、俺の憂鬱な気持ちが和らぐ気がした。

「そうだったの・・・・・・。でも、いいじゃない?コンラッド先生と二人きりになれて?」

 悪戯に微笑む彼女の頬は、上気していた。―― もしかして、彼女もコンラッド先生のことが好きなんじゃ ?

 すっかり、教室の中は、俺とジュリアさんだけになっていた。そこへ、問題のコンラッド先生がやってきた。

 コンラッドの姿を見た途端に、ジュリアさんは大急ぎで、春風のように可憐に去っていった。長いスカートの裾を花のようにひるがえ しながら。彼女の頬が真紅に染まっていた気がした。

 あわただ しく、彼女が去った後の教室は、妙な静けさが漂った。皆が帰ったいつもの教室は、無機質で、冷たい感じがした。

 コンラッド先生は、綺麗に磨かれたローファーの音を床に響かせながら、ゆっくりと俺の前の席まで来た。その椅子を、俺の方に向けると、ゆっくりとそこに腰を下ろした。ふいに、コンラッド先生から、凛とした大人の男性を思わせるフレグランスの香りがした。俺が、女子だったら胸きゅんだったな。なんて、思ってる場合じゃなくて。

 英語のテストで赤点を取ったことを、叱られるかと思ったのに、彼は一向に話を切り出さない。
 おかしな沈黙が二人を包んでいく。
 気のせいか、俺を見つめるコンラッド先生の視線が熱っぽい。綺麗なダークブラウンの瞳が切なく揺れている。

 ど、ど、どうしたんだろう?!コンラッド先生。美形な人からこんな至近距離で、しかもこんな瞳で見つめられたら、俺はどうしたらいいんだ~?!

 一瞬、自分が女子なんじゃないかという錯覚に陥る。俺が女子なら、彼がこんな風に俺を見つめてくるのも納得がいくんだけど。俺、男だよ、コンラッド先生?!

 この熱い視線と、沈黙に間がもたなかった。俺は何でもいいから、彼に話かけようとしたとき―― ふいに、彼が席を立った。続けざまに、俺の席の横に来ると、彼は俺の腕を掴みあげた。だから、必然的に俺も直立することになった。

 カチンという硬質なプラスチックの音と共に突然、視界が真っ黒になった。教室の電気が全部―― 消えた。

「―― ?!」

 唇に何か触れてる?熱くて、柔らかい?
 コンラッド先生のフレグランスの香りが甘く立ち籠める。
 ふわふわして、立って居られなくなりそう・・・・・・なのに、しっかりと抱きしめられている?包み込まれるみたいに。アイロンを掛けられた、彼のパリッとしたスーツと俺のシャツの、かすかな衣擦れの音が甘く聴こえた。

 ええっ?! 俺、コンラッド先生に思いっきり抱きしめられてる?!  おまけに、キ、キ、キスしてる~~~ ?!

 俺が、心の中で絶叫していると、ふいに唇が離された。けれど、身体はきつく抱きしめられたままだった。

「渋谷君?ありがとう。俺も君のことがずっと好きだったよ」

 ええ?なんだ、この展開は?この彼の発言はなんだ?
 まるで、俺が先に彼に告白してたみたいな言い方じゃないか?俺は、コンラッド先生に告白した覚えはないぞ。

 考えろ!! 考えるんだ、俺!!
 彼が、俺に突然キスして、あげく『俺
君のことがずっと好きだったよ』なんていう理由を考えるんだ。

 俺は、トルコ行進曲並みに、思考をフル回転させてみた。

 そもそも、今日ここに居残りさせられたのは何でか?だ。それは、簡単だ。俺が、英語で赤点を取ったから。

 彼は、何のために俺を居残りさせたのか?それは、こうだ。俺の英語への学習意欲を上げたいから。


 な、なんだ !!そういうことだったのか !!

 彼は、赤点を取った俺に何とかして、英語の学習意欲を上げてもらいたかった。

 そこで、彼は、面白い作戦に出たんだ !!

 ほら、よく、カッコいい教師に惚れた女の子は、その教師の担当科目を必死に勉強するっていうもんな! 俺が、男なのにそれを実践したのは、アメリカ帰りの彼なりの、エスプリの効いたアメリカンジョーク的なものだよ!
 それにキスだって、欧米じゃ挨拶代わりにするもんな! 

 なるほど!!
 コンラッド先生らしく、すごいギャグだけど、俺、先生の冗談に付き合うよ!
 だって、英語で27点取ったのは俺だしさ。
 そのくらいの義務はあるっ!
 先生に恋する乙女に成りきりますっ。


「コ、コンラッド先生・・・・・・、あ、ありがとう。先生とキ、キスできて、ドキドキした・・・・・・」

 たどたどしく言葉を紡ぐ。乙女っぽい発言をするのって恥ずかしいよ。でも、実際すっげ~、ドキドキした。本当に、キスされて乙女になったみたいだったよ、俺。

「渋谷君」
「苗字で、呼ばないで・・・・・・コンラッド先生」

 自然と、そんな台詞が浮かんだ。先生に恋をしてるってことは、名前で呼ばれたいよな。
 
 一瞬、先生の息を呑む気配を感じた。ふいに顎に指がかけられて、顔を上向きにさせられた。

「――っム・・・ッ!!」
 
 さっきのキスとは、全然違う。
 彼に、唇を甘く吸われる。僅かに開いた唇の中に、彼の熱い舌が侵入してくる。俺の舌が絡め取られる。

 がくんと、身体の力が抜けて崩れそうになる。咄嗟に、力強い彼の腕が俺を支える。その腕に、安心して身を委ねると、再び熱い接吻くちづ けが降る。

 すごすぎる・・・・・・コンラッド先生。俺、おかしくなりそう――。

 もう、どのくらいキスされつづけていたのか分からない。唇の端から、どちらのものとも分からない唾液が顎を伝う。

 先程まで皆がいた教室で、その指導をしていた先生本人から、力の抜けきった身体を支えられてキスしてる。無機質な教室に、濡れたキスの残響音が卑猥に響く。
 
 身体が痺れ切ったころ、ようやく唇を解放された。

「好きだよ、ユーリ。少し、無茶をしてごめんね。ユーリが可愛すぎたから」

 まだ、ぼやける意識に、甘くて腰にくる声が優しく俺を包んだ。そっと、大きな手のひらで頭を撫でられた。気持ちよくて、ぎゅっと目を瞑った

 だんだんと、霞んでいた思考が、戻ってくる。

 俺、とんでもない冗談にのっちゃったんだ・・・・・・。先生、ちょっと冗談にしては、やりすぎなんじゃ?
 でも、これも、俺に英語の学習意欲を上げてもらいたいためなんだ。だから、先生はこんな野球少年の俺なんかに、無理してあんなキ、キスしてくれたんだよな。
 だから、俺も彼に応えないと。

「す、好き・・・・・・だよ、先生」

 その後、また熱い口付けが再開された。

 この日は、コンラッド先生のスポーツカーに乗せてもらい、家まで送られた。いつも迎えに来てくれる、兄の勝利は、ふてくされていた。

 身体が熱くて、なかなか眠りにつけなかった。



第一話 =完

★あとがき

 おとぼけユーリに、今後もコンラッドが振り回される・・・と思いきや、一番振り回されるのはユーリかも?!(性的な意味で?)

 面白かったら、WEB拍手押してもらえたら嬉しいかも。更新が早くなるかも。かもって、なんだよ(汗

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