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2009.4.22設置 『今日からマ王』メインです。 
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2011/07/20 (Wed)                  それなんてだいえっと?(2)


 アニシナさんに画期的ダイエットを強制されて、おれは四六時中、男にだけ追われる身となっていた。ほんと、どんなダイエットだよ?
 何もありがたくないこの状況に、引きこもりすることに決めたおれは、やたらと重々しい自室の扉を開け放った。

 これで、やっと静かでいられるはずーって……えぇええっ? そこには、猫脚のソファに優雅に腰を下ろして、優雅に紅茶を飲むヴォルフラムの姿があった。よりによって、今居るなんて! こんなアニシナさんに毒されているときに会うなんてっ……! まさか長男の次は、三男が……?!

 それにしても、相変わらずヴォルフラムの佇まいは、いかにも美少年で気高い感じだ。華奢な体は、目の覚めるような青い軍服で包まれている。紅茶を飲むために瞳を伏せると、長い睫毛が繊細な影を落とし、金髪は降り注ぐ陽光で、飴色に溶かされる。
 優雅だ。優雅だけどっ、このくつろぎよう。ここ、おれの部屋っていうかもう断然っヴォルフラムの部屋じゃないか? そりゃ、一応彼は、おれの婚約者ってことにはなってるけども。それは、異文化交流の摩擦っていうか、すれ違いっていうか。

 ああ、しまったっ!今はそんなことよりも、アニシナさんの薬の影響が―― !!

「ヴォルフラム! 今は、今はおれを見ないほうがいいからっ! いいか、絶対にこっち見るなよ」

「ユーリっ! それは、恋の駆け引きか?! 本当は見て欲しいけれど、照れ隠しにツンツンしているというあれか?って……うっ!」

 おれを見た途端に、ヴォルフラムは、何やらおかしなうめき声をあげた。そのまま彼は、紅茶を持ったまま、気の抜けたようにソファに凭れた。

「どうした? 大丈夫か? ヴォルフラム?」

 ツンデレキャラに、ツンデレ認定されそうになったおれは、心配して駆け寄った。不意に、グイ、と手首を掴まれた。その力があまりに強くて、思わず目を見張る。

「痛っ……ヴォルフラム? 手、痛いって」

「ユーリが、いけないんだ。今日は、そんなにふぇ、ふぇろもん、を振りまいて……僕のことを誘惑しているのだろう?」

「いっ?!」

 出たーっ!! アニシナさんの恐るべき実験薬の効果っ! とにかく、説明しないとっ……!
 口を開かけようとしたとき、ヴォルフラムが更に手に力を込めて、おれの手首を引っ張った。おれは、そのままヴォルフラムの膝上に、倒れこんだ。ちょうど倒れた先に、彼の持っていた紅茶があった。間抜けなことに、おれは鼻と口がティーカップにインしてしまった。
 鼻腔に広がるというより、染み渡る!アールグレイらしき爽やかで渋い香り……にぐふぐふと噎せながら、涙目でヴォルフラムを見上げた。

「すまない、ユーリっ。ただ、婚約者として、そろそろ決着をつけたいと思ったんだ」

 翡翠色の魅惑的な瞳は、熱に浮かされて甘く潤んでいた。

「ちょっと、落ち着いてって! ヴォルフラム、おれがフェロモン撒いてみえるのは、全部アニシナさん絡みだからっ」

「アニシナのせいにするのか? お前が魅力的なのは、もともとだろう。こんなに……唇を濡らして、僕を誘っているのか?」

「いやいやいや、ツッコミどころ満載だけどっ。濡れてるのは、紅茶に無様に鼻から突っ込んだからですっ!って、ちょっ、唇なぞるなって、くすぐったっ……ン……」

 どうやらアニシナさんの薬で、おれは本当にフェロモンをまき散らしまくってるらしい。うぶなヴォルフラムにここまでさせるのは、すごい。
 彼は、熱に蕩けるみたいな瞳で、膝元に留まるおれを、甘く見下ろしてくる。そのうえ、白い指先で、紅茶に濡れたおれの唇を、擽(くすぐ)るようになぞってくる。
 そのまま、ヴォルフラムは、なぞった指先を、小さく形のいい唇に含んだ。

「紅茶が甘くなった……少しユーリの味がする……おいしい」

 滑らかな白い頬を赤くして、俯きがちに甘く囁いたりしてくる。遠慮がちに囁く声が、妙に湿っていてえろい。

「な、何言ってるんだよっ、ヴォルフラムっ、恥ずかしいだろっ?!」

 あんなセリフを、あんなにもじもじされながら言われたら、もう、こっちも顔から火が出そう。

「恥ずかしくない。僕たちは、婚約者だろう。だから、もっと知りたいんだ。僕が……おかしいのか?」

 華奢な指先が、頼りなくふるえて、長いまつげが不安げに揺れている。けれど、甘い金髪の狭間から、瞳のエメラルドグリーンは、力強い光を宿した。

「直接……唇で……しないか?」

「え? ちょ、ちょっとっ……!」

 それが『キスをしよう』といわれていることに、気づいたときだった。

「陛下、お茶をお持ちしました」

 蝶つがいの軋む音と共に、扉が開かれて、コンラッドがそこにいた。

「ののの、ノックぐらいしろーっ!」

 ヴォルフラムとおれは、声をそろえて叫ぶと大げさに身体を離した。

 

★あとがき★
うわー、前から大分時間がたちすぎた。そのうえ、ここで区切ってすみません;;
ヴォルフラムは、照れながら攻めると思うんだ…と妄想したら楽しかったですvでも、コンユサイトなのでヴォルユやユヴォル派の人が見たら不快だと思うのでいろいろごめんなさい。お手柔らかに…。
次は、いよいよがっつりコンユだーvvvvv
 

 

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