2009/04/24 (Fri) ショートストーリー 第一編 どうして、キスしてくれないんだよ。

第一編　どうして、キスしてくれないんだよ。

※ユーリがコンラッドにキスを迫るお話です。



「こんばんわ、ユーリ。今夜もなかなか寝付けないのですか？」
夜中だっていうのに、コンラッドは一糸の乱れもない勇敢な軍服姿をしている。


どうして、そんなに隙がないんだよ。完璧なんだよ。


「どうしたんですか？ユーリ。何やら顔に面白くないと書いてありますよ。」
コンラッドの丹精な顔が心配そうに見つめてくる。さらさらと、綺麗な指で俺の髪をとかしながら。


 また・・・だ。ざわざわと、心の波が揺れ惑う。


 いつも、いつも、コンラッドは俺に優しく触れてくる。それは、それは、大切に。まるで母親が小さい子供をあやすように。


 でも、いつしかそんな行為は、俺の中に深い暗闇を作り出した。


 もっと、乱暴に扱われたい。もっと、コンラッドの中の強い思いをぶつけてほしい。
もう、ただ子供扱いされるのは嫌だ。


 そう、もう・・・嫌なんだ。ただ、優しく触れられるだけなんて・・・俺耐えられそうにない。


「ユーリ？どうしたんですか？」


 いつまでも、感傷に浸っている俺を慈しんだ瞳で見つめてくる。優しく俺の両肩を抱きながら。


「また・・・だ。コンラッドの・・ばか・・やろ。」
俺は、小刻みに震えるからだを必死にこらえながら声をだす。


「ユーリ？今日の貴方は、とても苦しそうで見ているに忍びないです。私にできることがあるなら何でも力になります。何を差し置いても貴方を最優先します。」


今の言葉で、俺の心に潜んでいたものがじりじりと姿を現し始めた。


「ねぇ、コンラッド？俺のこと・・・大切に大事にしてくれるのって、俺が子供みたいに可愛い・・ってだけ？それと、俺がマ王で守らないといけない存在だから・・？」
コンラッドを見上げる。


 コンラッドが、見たこともないよな表情をして固まった。いつもの余裕たっぷりの顔は、そこにない。


「ユーリ。あまりからかわないで下さい。どうか、今日はもう遅いのでゆっくり休んでください。」


 彼が、この部屋を出て行ってしまうのを察知した俺は、必死でコンラッドにしがみつく。
コンラッドが答えをはぐらかして、逃げないように。両腕で彼をぐっと握り締める。強く、コンラッドと密着する。


 俺は、不意に出てきた涙に気づかずに、必死にコンラッドに訴える。


「もう、もう・・・逃げないでよ、コンラッド。はっきりさせてほしいんだよ。いつも、いつも俺に甘くささやいたり、優しく触れたりするくせに、どうしてキ、キスしてくれないんだよ。どうしてだよ。」
 

 だめだ、もう・・止まらない。溢れる想いにまかせて言葉を叫ぶ。


「もう、ただ大事にされるだけなんて嫌だ。もう、子供扱いをしないでくれよ！俺のことをただの子供としてしか見てくれないんだったら、それはそれでいいよ。だったら、ちゃんとそういってくれよ。諦めがつくから。俺、辛いんだよ。中途半端に大事にされて・・・。もしかしたら、コンラッドが俺のことをその・・こ、恋人として好きなんじゃないかって期待しちゃうんだよ！そうじゃないんなら、辛すぎるんだよ。」


 突如、コンラッドの腕がきつく俺の体に巻きついてきた。
「ユーリ！貴方のためを想ってしていたことがここまで貴方を苦しめているなんて知りませんでした。本当にごめんなさい。」


え？・・・今、ごめんなさいって言ったよな・・・。はは・・、やっぱりコンラッドは俺のことを恋人としては見てくれてなかったってことなんだ。
涙が止まらない。次から次へと溢れてくる。


 刹那の瞬間、コンラッドの右手が俺のあごをくいと持ち上げる。左手は俺の腰をぐっときつく抱き寄せる。


「んっ。んっ。」


コンラッドの熱い唇が俺の唇に重なり合っている。俺の唇をついばむように何度も口付けをしてくる。


「ん・・はぁ・・こん・・ら・・っど・・」


 あまりにも長くキスされて呼吸が苦しくなってくる。
しかし、それでも解放されずに、キスを続けられる。


「んんぅ？！」
コンラッドの舌が突然、俺の唇を割り込んで侵入してくる。
俺の歯列をなぞり、口腔内を蹂躙する。
初めて味わう、コンラッドの濃厚なキスに体の力が抜けそうになる。
がくんと膝の力が抜ける。
すると、コンラッドの左手が素早く俺の体を支えなおし、よりいっそうきつく抱きしめる。


「ユーリ、好きです。」
 いつもの優しい瞳ではなく、熱いまなざしが俺を映す。
きつく抱きしめられすぎて、体が少し痛い。


「あなたのことを、ずっとこうしたかった。でも、貴方の迷惑にしかならないと思い、自分を抑え付けてきました。」



 やおらに、コンラッドの顔が緩んで優しく微笑む。
「ふふ。でも、まさか、貴方から誘われるなんて思いませんでしたよ。そんな貴方ももうどうしようもないくらいに可愛かったです。」


 彼は、いたずらを含んだ笑顔で言う。
「そんな可愛いあなたを見たら、つい歯止めが利かずに無茶をしてしまいました。すみません。」


「あ～、もう可愛いっていうなよ。俺男だし。・・でも、俺今すっごく嬉しいんだ。生まれて初めて好きな人と両思いになれて・・。なんか、今までの人生で一番幸せ・・かな、なんて。」
照れながら、一生懸命想ったことを口に出す。



「本当に、可愛いですね。ユーリ、愛しています。これからは、俺もストレートに愛情表現をしていきますから覚悟してくださいね。」


「な・・・。う、うん。あ、俺も言ってなかったから言うな。コンラッド、・・・・好き・・・大好きだよ。」
精一杯、この気持ちが伝わるように丁寧に言う。


「んんっ。」


またしても、コンラッドのキスが降る。甘く情熱的な。



ふっと、唇が離れる。
コンラッドの見たこともない魅惑的な表情が現れる。
「もっと、気持ちよくなりたいですか？」
低く、甘い声で囁かれる。


「なななな、まだ、まだ今日は無理無理。だめ～。」
俺は、ドキドキしながら必死に叫ぶ。


また、優しい顔に戻ってコンラッドは言う。
「はい。今日のところは、ゆっくり休んでくださいね。では、これから城内の警備に戻りますので。おやすみなさい、ユーリ。愛しています。」


 彼はそっと、唇に触れるだけのキスをして微笑みかける。


「こんなに、遅くまで大変だな。俺ばっかり寝て、ほんとにごめんな。」
「いいえ、ユーリ。貴方を守るための仕事なのですから、少しも苦にはなりません。」

 いたずらな表情を浮かべて、コンラッドは言う。
「それに、今度非番のときは陛下が俺をねぎらって下さいますから・・ね。」


「ね・・って！ちょ・・！コンラッド。それって～まさか？」
「さぁ、どうでしょう。では、失礼いたします。」


 にこりと微笑んで、コンラッドが去って行く。あぁ～、なんか今コンラッドの頭に角が見えた気がしたんですけど。


 でも、まぁ、いいか。今日は、とってもいい日だったしな。余韻に浸って、幸せな気持ちをかみ締めながら眠りについた。




完＝



　裏面あります。　ヒント右下

第一編　裏面　　美香蘭の妖しい香り
※１８才以上推奨です。

※ショートストーリ第一編の続きです。ユーリが、コンラッドのために美香蘭シャンプー（注：魔力を持つ者が、その匂いをかぐと好意を持つ相手に大胆になってしまうという代物）を使う決心をするお話です。






　俺は、途方にくれていた。
　なぜって・・・・今日が『その日』だからだ。

　コンラッドが、俺の想いに応えてくれて熱く情熱的なキスをしてくれてから、１ヶ月も経過していた。それにもかかわらず、俺たちはキス以上の関係には発展していない。ずっとプラトニックな交際を続けていた。

　それには、コンラッドが忙しいため、夜に長らく二人きりになれないという理由と、俺が意気地無しだという理由が挙げられる。

　あれほど、コンラッドからキスしてほしいと願い、子ども扱いしてほしくないと主張していたのは自分なのに。
　いざ、コンラッドが俺の服を脱がしにかかると怖気づいてしまう。
　その怖がるそぶりを見せるだけで、コンラッドは優しく俺を抱きしめて、それ以上何もしなくなってしまう。コンラッドは、いつだって俺のことを大切に扱ってくれる。とても、誠実で優しい・・・・・。決して裏切らない。
　でも、このままではコンラッドに申し訳なくて胸が痛い。そう思っていた矢先に、今夜のコンラッドの勤務が免除された。
　
　俺は、今朝そのことを知ってからずっとそわそわしていた。今日は、コンラッドも、すれ違う度に、熱い眼差しで俺のことを見つめてきた。それどころか城内で二人きりになるごとに、いつもにまして甘く濃厚な口付けをしてきた。

　よし！俺も男だ。やるときはやる。あの禁断の美香蘭シャンプーを使ってやる。物に頼るのが情けないところだけど・・・・。初めてだし、それは多めにみてもらうってことで・・・・。


　浴室内に湯気が立ち籠める。
ーぴちゃん。
　美香蘭の蓋をあけて、手のひらに数滴垂らす。刹那、なんともいえない妖艶でかぐわしい香りが俺の鼻腔を刺激する。軽く泡立ててから、髪の毛に混ぜ込んで、指の腹で頭皮を優しく揉みこむ。

　なんて、甘くていいにおいなんだろう。

　嗅覚が刺激されて、感覚が研ぎ澄まされていく。

　大丈夫、きっと、今日こそコンラッドの想いを受けとめられる。

　夜間着に着替えると、勇気を振り絞ってコンラッドの部屋に尋ねることにした。全身から、甘い美香蘭の香りが漂う。心なしか、いつもより、ふわりと身体が軽い気がする。

　遠慮がちに、コンラッドの部屋をノックする。
「はい？　」
コンラッドの応答がある。何だろう、今コンラッドの声が聞こえただけですごいゾクゾクした。俺は、かろうじて言葉を紡ぐ。
「コンラッド・・・・。入ってもいい・・・か？　」
ーガチャリ。
　返事よりも先に、素早く扉が開けられる。そのまま、コンラッドは俺を抱き寄せ、俺の唇を奪う。器用に、後ろ手でドアを閉めながら。
「んっ、ふぅ・・・ん」
唐突にキスされて、身体が痺れる。コンラッドは、なかなか解放してくれない。甘く、激しく俺の唇を吸い上げる。
「ユーリ・・・好きです　」
キスの合間に愛の告白をされる。甘く低い声。そして、再びキスが降る。熱い唇が俺の唇を覆う。コンラッドの舌が俺の口腔内を蹂躙する。

　もうだめ・・・おかしくなりそう。
　美香蘭との相乗効果もあいまって、俺は快感に意識を手放してしまいそうになる。

　ふいに、コンラッドが俺を解放する。突然の解放にしばし惚ける。潤んだ瞳で彼を見上げる。すると魅惑的な瞳で見つめられた。
「ユーリ、今日は貴方の全てを俺にくれませんか？　」

　いつもなら、俺がここで怖気づいて終わりだった。でも、今日は違う。もっとコンラッドを、感じていたい。コンラッドの全部が、その欲望まで、何もかも知りたい。もう、どうなってもいい。

「う・・・ん。コンラッドの好きに・・・して？　」
　俺は、なんとか、呼吸を整えながら、言う。コンラッドにきちんと伝わるように。

「ユーリ・・・！！　」
　コンラッドは、一瞬目を見張る。そして、俺を再びきつく抱きしめる。折れそうなくらいにきつく。
「ユーリ、愛しています　」
　そういうと、左手で、器用に俺のシャツのボタンを外しながら、首筋に唇を這わせていく。
「んんっ・・・あぁ」
　くすぐったさと快感がないまぜになって、俺は全身が粟立つ。コンラッドの器用な左手はもう完全に俺のシャツの前をはだけさせた。
「とても、綺麗です。ユーリ」
　耳元で甘い声で囁かれる。かっと全身が熱くなる。
「そ・・んなに、見るなよ・・・」
「いいえ、今日は、貴方からのお許しをいただいたので、存分に堪能させてもらいますから・・・ね」
彼は、口の片端を上げて意地悪に微笑む。
「そ・・・んな・・・あぁ！」
　俺が、『好きにして』なんていったことを後悔し始めたそのとき。俺の思考を遮るように、コンラッドが俺を襲う。コンラッドの硬い唇が俺の胸の突起物に触れる。そして、舌で転がされる。今まで、味わったことの無い刺激に身体は、大げさに反応してしまう。
「ふぅ・・・あ・・あ・・っ！」
「ユーリ、そんなに感じて・・・・。とても、可愛らしいですよ。ここ、そんなにいいんですか？光栄です。では、こちらはどうですか？　」
　そういうと、俺の固く屹立した物を布越しに掴んでこすり上げる。
「あああぁ、やっ、コンラッド！」
にやり、と笑って吐息がかかるくらいの耳元で囁く。
「ユーリ、もうこんなに硬くして・・・・。感じてくれているんですね。嬉しいです。」
「ばっか・・やろ・・・そんなこと、いちいち・・・報告、するなよ・・・」
羞恥で、全身が真っ赤に染まる。
「ユーリ、では、ご褒美にもっと気持ちよくしてあげますね　」
　そういうと、コンラッドは素早く俺のズボンを下着ごと摺り下ろす。
「なっ！」
　コンラッドの眼下に、全てがさらけ出される。俺は、恥ずかしさにギュっと目を瞑り、いやいやと首を降る。コンラッドは、すばやく俺の隆起した物を掴むと、激しく上下させる。
　人に触られたことの無い敏感な部分。そこに、与えられる他人からの鋭い刺激に、言い難い快感に酔いしれる。
「うあああっ、もう、だめ・・・・こん・・・らど・・・すご・・・すぎる・・あぁっ」
「ユーリ、そんなに乱れて・・・・・。可愛らしすぎて、もっと苛めたくなってしまいます・・・・」
　コンラッドは、俺の耳の穴の中に舌を入れて掻き回す。そして、空いたほうの手で俺の胸の先端をきつく摘み上げる。
　幾重にも重なる、快楽の責め苦。まだ、幼いユーリには、想像を絶する刺激の数々。
「あああぁ、な・・・に・・・・これ・・・・ああっ・・・・あぁ、もうだめっ！！」
　途端に、ユーリの先端から白濁色の液体が飛び散る。

意識が朦朧としながら、コンラッドをとろんとした瞳で見つめる。
「ユーリ・・・・咥えて・・・」
　目の前に、コンラッドの屹立したものがそびえたっている。美香蘭のせいなのか、今までの快感で麻痺してしまったのか、俺は言われたとおりにする。いや、寧ろ、俺がこんな卑猥なことをしたら、コンラッドは、どんな反応をしてくれるかが見たかった。
「はっ・・・・ユーリ、いいです。・・・・とても、気持ち・・・・いいです」
彼は、切なそうに、眉間に皺をよせている。俺の頭においている彼の手に力がこもる。
　俺の唇で、舌で、手で、コンラッドがこんなに気持ちよさそうにしている。それが、無性に嬉しかった。

ふいに、身体が離される。そして、再びコンラッドが俺の上に覆いかぶさる。
「ありがとう、ユーリ。上手でしたよ」
優しく微笑んでキスされる。
「な・・だから、そ、そんなこと、いちいち言うなよな」
　俺は、真っ赤に頬を染めて言う。
　
「ユーリ、貴方をもっと気持ちよくしてあげますね。」
そういうと、コンラッドは俺の両脚を広げさせる。俺は、恥ずかしさに目をきゅっとつむる。
「ユーリ、俺の指を舐めて」
　コンラッドは、俺の口腔内に指を入れる。妖しく蠢かしながら。
「は・・・ふっ・・・・ん」
言われるとおり、一生懸命にコンラッドの指を舐める。もう、身も心も蕩けそう。どんどん、快楽におぼれていく。

　ぬるり・・・・と、俺の唾液のついたコンラッドの指が引き抜かれる。
「ユーリ、力をぬいて・・・」
そういうと、コンラッドは俺の双丘の窪みに指を挿入する。時に激しく、時に緩やかに、俺を快楽の淵へ追いやる。
「ああぁ、コンラッド・・・・こ、こんなの・・・・はじめ・・・・て」
　コンラッドは、魅惑的に微笑む。
「光栄です。ユーリ。でも、もっと気持ちよくしてあげますよ」
　そういうと、指を引き抜く。
「んああっ」
　俺は、思わず、悲鳴をあげてしまう。
　コンラッドは、俺のひくつく窪みに自身の隆起した物を突き入れる。
「っ！！」
　あまりの大きさと、異物感に俺は身を強張らせる。
「ユーリ、痛みますか？少し楽にしてあげますから・・・ね」
　コンラッドは、俺の唇にキスをする。彼は、何度も、俺の唇を吸い上げる。そして、優しく俺の髪の毛を撫でる。甘いキスと、優しい手の感触に身体が弛緩する。そのおかげで、俺は先程よりは痛みを感じなくなった。

　深く、浅く、コンラッドが俺の内部を蹂躙する。もっと、俺のことを侵食して欲しい。もっと、深くコンラッドの全てを感じていたい。これが、コンラッドの、抑えていた俺への強い欲望。そう思うと、俺の中にもひどく強い欲望が姿を現す。
「はぁ・・・・あ・・・・あ・・・・コンラッド、俺のことめちゃくちゃに・・・・して？」
「ユー・・リ！！」

　コンラッドも、すっかり理性のタガが外れてしまった。
　俺の両脚を、自身の肩にかけて荒々しく俺を揺さぶる。俺は、ただただ、彼に犯される。

　お互いの身体の知らないところは、もう無いほどに激しく深く求め合う。
　
　何度目かの絶頂を終えて、コンラッドが俺に蕩けそうな甘い笑顔で言う。
「愛しています、ユーリ。これからも、貴方を幸せにします」
「うん・・・・」
　俺は、うっとりと目を閉じる。


　甘い余韻に浸りながら、二人は静かに眠りに入る。





第一編　続き　＝完