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2009.4.22設置 『今日からマ王』メインです。 
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2009/06/09 (Tue)                  1万Hitありがとうございます★★★
  一万ヒットありがとうございます★★★ ★★★ピーターパンでコンユvvですvv
 ピーターパンなユーリとフック船長なコンラッドですvv


 ピーターパンでコンユvvショートストーリーです★↓↓



★★★ピーターパンでコンユvv 『気になる彼は海賊王』★★★


 
俺は、生まれて間もなくに、公園で乳母車から落ちて、そのまま迷子になった。ロストボーイとして、この王国ネバーランドに連れて来られた。

 以来、俺は年を取らない。ずっと少年のまま、『ピーターパン』という称号を与えられ、この国の迷える子供達のリーダーをしている。名前は、ユーリという。


 この王国は、最高だ。朝から晩まで遊んでも、悪戯しても誰も何も言わない。自分のやりたいことを欲求のままに何だってできる。


 色鮮やかな甘い果物も、生クリームたっぷりのふわふわのケーキだって、蕩けるようなチョコレートだって、さくさくのクッキーだって、何だって好きなだけ食べられる。


 遊ぶところだって不自由しない。


 パステル色の可愛い魚達が愛らしく泳ぐエメラルドグリーンのラグーンには、綺麗な人魚達もいる。その中でも、ギュンターという人魚はいつもからかうと、嬉しそうに汁を垂らすので面白い。俺は、つい遊んでしまう。

 豊かな森のなかには、たくさんの愛らしい動物達がいる。その中に住む、インディアンのグウェンダルは動物に詳しいので、いつも彼とジャングルウォッチをする。



 澄んだコバルトブルーの空は、いつも太陽が煌いていて、七色の虹が掛かっている。


 夢のような場所だ。


 俺の傍らには、いつも金粉を撒き散らして羽をせわしなく動かす、小さな妖精、ヴォルフラムがいる。彼は、嫉妬深いけれど、俺のすることにけちをつけたりはしない。


 とても、平和な楽園だった。


 


 けれど、最近俺の平和を乱す奴が出てきた。

 ネバーランドの海域を荒らす、海賊船レオンの船長、コンラッド船長だ。


 彼は、頭が切れて、狡猾だ。噂によると、七つの海域を彼の艦隊が制覇したらしい。

 しかし、そんな彼は、なぜか俺によく付きまとい、俺のすることにいちいち文句をつける。

 もしかしたら、彼は、この島のことを俺から探りを入れようとしているのかもしれない。
 ネバーランドのリーダーとして、うかうかしてはいられない!!





 今日も、俺は翡翠色の海で人魚のギュンターをからかって遊んでいた。
「ギュンター、ギュンター、何で脚がないの?・・・・俺、ギュンターが陸を歩くところを見てみたいなぁ。あ~あ、ざんね~ん」

 彼は、いつもながらに面白い反応をする。
「あぁ、ユーリ殿!貴方からのお願い!私は、胸がマグマのように熱くなりました!!しかし、いくらこの国の統率者の貴方のお願いでもそれは、無理かと存じ上げまず~~ずびずび」

「あははは・・・ギュンター、汁出しすぎだよ~~!!」
 俺が、ギュンターをからかって遊んでいると、こつこつと、岩場を歩くブーツの音が近づいてくる。

 また来た!コンラッド船長だ!
 つばの広い華やかな赤い帽子に、胸元に優雅なレースカフを付けて、帽子と揃いの色の洋服を着込んだ彼。けれど、洋服とは不釣合いの腰にぶら下げてある無数のナイフや剣が、彼が海賊であることを表していた。

 洋服の裾を優雅に翻し、腰元のナイフをかちゃかちゃと鳴らしながら、岩場の上を踊るように歩み寄る。

 形のいい眉をひそめるコンラッド。上から、威圧的に俺を見下ろす。

「ユーリ!!弱い者をからかって遊ぶなど、リーダーとしてあるまじき行為なんじゃないですか?無邪気な貴方は魅力的ですが、少し目に余る気がします」

 なんだよ、なんだよ、またお説教かよ、コンラッド船長め。この国でお説教はご法度なんだから。どうして、そんなに俺のことを怒るのさ。つまらない!!

「どうして、そんなに俺にけちばかりつけるのさ。俺が何をやったっていうんだよ・・・・。そんなに、分かってくれないなら、俺と勝負してくれよ。決闘で勝ったほうの言うことを聞くこと!!俺が勝ったら、もうあんたは俺に偉そうに説教するなよ!!」




 俺は、腰の短剣を抜くと、宙を舞い、彼との間合いを一息に詰める。

 コンラッド船長の肩をめがけて短剣を振り上げる。


 


 短剣が空を切る音が鋭く響く。

「っ・・・!!」


 けれど、彼は自らの腰にぶら下げてある無数の剣、ナイフには一切手をつけようとしなかった。
 代わりに器用に身体を翻し、素早く俺の剣をよける。
 その上、丸腰の彼は、俺の短剣を握った手を背後から素早く掴むと、有無も言わさず捻りあげてしまう。

「ユーリ!!」
 俺の肩元で妖精のヴォルフラムが金切り声を上げた。
 誰もが、コンラッド船長がユーリにとどめを刺すと思い、身をこわばらせた。



 けれど、コンラッドは俺を解放した。
 俺の右腕が、重力に従って、だらりと垂れ下がる。


 寸分の出来事だった。
 勝負は、あっというまに付いた。


 戦いに敗れた俺は、ふくれっ面をしてそっぽをむく。

 そんな俺をみて、コンラッド船長は微笑む。

 何だよ、何でそんなに笑ってるんだよ。

 俺は、岩に座り込んで頬杖をつく。面白くなくてぶっきらぼうに言い放つ。
「あんたが勝ったんだ、約束どおり、あんたの願いを聞いてやるよ。早く、言えよな」

「そうですね、ではこれからも貴方におせっかいをさせて下さい」
 七色の虹を背負って、柔らかな暖かい笑顔で微笑む彼。

 軽やかに踵を返し、去っていくコンラッド船長。

 思わずその表情に見惚れてしまった。俺は、惚けたように彼の後姿を見つめていた。


 だめだ・・・・奴は、海賊だ。油断してはいけない。
 
 けれど、なぜ、俺にとどめをささなかったんだ。俺が、いなくなったほうが、この国を自由に出来るというのに。
 あれだけ、頭の切れる奴なんだ、この機会を狙わない手はないのに・・・・。



 俺は、日に日に、奴のことが気になってしょうがなかった。それが、どうしてなのかはわからないのだけれど、ひどく彼の笑顔が気になった。いつもは、俺に説教ばかりするしかめ面の彼の、あの優しい笑顔が。海賊の癖に、やたらに甘いあの笑顔が。


 きっと、あの柔らかい笑顔で俺を油断させておいて、この国の財宝を盗む気なんだ。


 そう思うと、胸が苦しくなった。彼が、俺に微笑んでくれるのは、この国の宝を手に入れるための手段。純粋に俺に笑ってくれたわけじゃない。
 

 彼の笑顔が優しければ優しいだけ、甘ければ甘いだけ、それは俺の心を苦しめる。



 そんなある日のこと、俺はいつものごとく彼に叱られて機嫌を損ねた。そして、例のごとく決闘をしていた。俺から、決闘を申し込んだわけだけど。

 やはり、彼は決して剣には手を出そうとせずに丸腰で俺に挑んでくる。

 それさえも、何か馬鹿にされているようで悔しいし、何かがひどく俺の心を揺さぶる。

 
 

 いつの間にか、俺達は、浅瀬にそびえたつ、壮大な樹木の枝の上で決闘を繰り広げていた。
 とはいえ、俺が一方的に短剣を振り回し、コンラッドは器用にかわしていただけだが。



 チクタクチクタク・・・・・



 


 その時、時計の針を刻む音が足元から響いてきた。
 ふと足元に目をやると、一匹のワニがのろのろと木の周りをうろついていた。

 「コンラッド船長?」

 俺は、ワニよりも、コンラッドに唖然とした。

 コンラッド船長は、顔面蒼白になり、身体をわなわなと震わせる。その身を枝の上に頼りなく佇ませて。

 その隙に俺は、難なく彼の顎先に短剣を突きつけた。

 その事実を認識するや否や、彼は自嘲気味に笑う。

 思いがけない台詞が、彼の口から囁かれる。
「俺の負けだ・・・・ユーリ。貴方の好きにして下さい。俺を、この下に落としてワニのえさにして、二度と貴方にうるさいことを言わせないようにする手段もありますよ」

 ふんわりと、優しく笑うコンラッド。

 あの優しくてくすぐられるような甘い笑顔。

「そんな・・・・?!」

 彼の一言がひどく俺を動揺させた。あんなに、彼に小言を言われるのがうるさくて嫌でたまらなかったはずなのに・・・・彼がいなくなると思うと、そう考えるだけで胸が締め付けられる。
 とてつもなく、悲しい!!

 違う!!俺は、例え小言を言われようと、その笑顔に裏があろうと、彼を失いたくない。リーダーとしては、失格かもしれないけれど。もしかしたら、彼に酷い目に遭わされてしまうかもしれないけれど・・・・それでも、純粋に彼を失いたくない。


 再び、足元のワニから時計の秒針を刻む音がチクタクと響き渡る。

 コンラッドは、身体を強張らせ、震えだす。

   剣を素早く鞘に納める。
  そんなコンラッドを俺はそっと抱きしめる。

 彼に抱きつくと、暖かくて、大きくて、何とも言えない幸福感に満たされた。
 俺が心の底から望んでいたものだと感じた。

  彼は、驚いて目を見開く。
「ユーリ?どうしましたか・・・・?」

 俺は、やっと気がついた。

 俺が、彼に見ていたものに。俺は、彼に母親からの愛情を重ね合わせてみていたんだ。

 俺は、生まれて間もなく、母親からはぐれてしまった。
 十分に、彼女から愛されることなく、愛を知ることなく、この国にいた。

 この国は、その寂しさを忘れるだけの魅力が十分にあった。

 けれど、何よりも大切なその愛情を、忘れられるわけがなかった。


 コンラッド船長が、俺の前に現れたことで、その大切な物を、本能が思い出してしまった。

 彼が、叱るたびにひどく悲しくなった。どうして、俺のことを許してくれないのって。どうして、俺のことを否定するのって。
 それと、彼が暖かく微笑む度に、心がじんとした。俺のことを許してくれたって、俺のことを認めてくれたって。

 彼に、生き別れてしまった母親の面影を重ね合わせていたんだ。だから、彼の一挙手一投足にひどく心が揺れたんだ。
 

 そう気がつくと、俺は彼に甘えたくて仕方がない衝動が湧き上がる。

「コンラッド・・・・俺・・・・さみしかったんだ。ごめんなさい。あんたのことうるさいこという奴って思ってたけど、ずっと、あんたのことが気になってしょうがなかった。今、やっと、それが何かわかったんだ」

 ぎゅっと、コンラッドに腕を回して、顔をコンラッドの胸にこすりつける。
「俺・・・・さみしかったんだ。俺、あんたに親の姿を重ね合わせてたんだ。見たことさえない、親の姿を・・・・」

 コンラッドの服をきゅっと握りながら、彼を見上げる。
「俺・・・・赤ん坊のころに公園でお母さんとはぐれてすぐにここに連れてこられたから・・・・ここは、楽しいことだらけで、いつも遊んで暮らせるけど、どうしても手に入らないものがあったんだ・・・・」

 すがりつくような眼差しで、彼を見つめる。
「それは、親からの愛・・・なんだ。だから、俺は・・・遊ぶことでその寂しさを忘れようとしてたけど・・・でも、でも、本当はすっごくさみしくって、かなしいんだ。お母さんから、愛されるって・・・・どういうことなの?!」

 俺は、泣きじゃくりながらコンラッドにしがみつく。



「・・・・・ユーリ、泣かないで」
 大きな手が、そっと優しく俺の頭を撫でる。それだけで、とても幸せな気持ちになる。
「私が貴方の親になりますから。貴方が悲しいとき、いつでも抱きしめてあげる温かい腕になりますから。貴方を大切に見守る優しい瞳
になりますから・・・・・もう、何も心配しないで。俺に、うんと甘えていいですから」


 胸が焦げそうに熱かった。息ができないくらいに、切なくなった。嬉しすぎて。幸せすぎて。


 きっと、これがお母さんから愛されるってことなんだ。こんなに、動悸が激しくなるくらい・・・すごいことなんだ。

「ありがとう・・・・コンラッド・・・俺、しばらくずっと抱きついていても・・・いい?」
 そっと、様子を伺うと、あの甘い笑顔で微笑まれる。海賊なのに、優しい笑顔で。


 もう確信を持っていえる。彼の笑顔には裏なんてない。純粋に俺を見て微笑んでくれてる。


「えぇ、貴方が嫌というまでずっと・・・こうしていてあげます・・・・」

 彼の暖かい腕が俺を包み込む。
 彼からの暖かい愛情を感じる。


 ずっと、ずっとこうしていたいな・・・・。



 

 ユーリはまだその感情が、恋だとは気がつかなかった。


 妖精のヴォルフラムだけが、金粉を撒き散らして、不安げにせわしなく二人の周りを跳び回っていた。


 




 おしまい★★★


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