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2009.4.22設置 『今日からマ王』メインです。 
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2009/07/06 (Mon)                  七夕SS コンユ
七夕のコンユですvvv 織姫ユーリと彦星コンラッドですvv







七夕でコンユ ss★★

 今宵は、七夕。一年に一度織姫ユーリと彦星コンラッドが逢瀬を赦された日。
 煌く星が散りばめられた天の川に、どこからともなくやってきたカササギが橋をかける。

 待ちきれないとばかりに、橋を渡る愛し合う二人。

 けれど、一年という間は長かった。
 あまりにも、愛しい人を目の前にして、瞳を見つめたまま、動けずに固まってしまう二人。
 しばし、その最愛の人の姿を瞼の裏に焼き付ける。

 その沈黙を破るかのようにコンラッドがユーリに愛を囁く。
「例え一年に一度の逢瀬でも、人間であった私が天神である貴方を愛せることを、光栄に想います」
「コンラッド・・・」
 けれど、彼の名前を囁くユーリはどこか物憂げな瞳で佇む。
 ためらいがちに、漆黒の瞳を揺らせて語るユーリ。

「だけどさ・・・・コンラッド。どうして、俺が下界に残って一緒に暮らそうって言ったのに受け入れてくれなかったの?あんたが俺の羽衣を隠していてくれたら、俺は人間界でコンラッドの側にずっといられたのに!」

 ユーリは、この一年間ずっと悩んでいた。コンラッドを人間の世界から天界へと引きずり出してしまったことを。

 ちょうど一年前、天界から下界へと下り、湖のほとりで水浴びをしていたユーリと牛飼いのコンラッドは出遭った。お互いが、目を合わせた時から、二人は激しい恋に堕ちた。

 天神と人。二人は、愛し合うことを赦されない者同士。
 けれど、二人はそんなことになど構っていられないほどに、互いに酷く惹かれあった。



 けれど、そんな二人にも、いよいよ別れの時がやってきた。
 ユーリが、いよいよ天界に上るようにと、天帝からの命が下ったのだ。

 どうしても、コンラッドと別れたくなかったユーリは、彼に自身の羽衣を渡し、それを隠して・・・とお願いした。羽衣を失くしてしまえば、もうユーリは天界へと戻れないからだ。

 しかし、コンラッドはそれを拒否した。それは、ユーリを愛しいと思うが故の彼なりの行動だった。愛する人を、その尊い身分を捨てさせてまで自分の元に押し留めてしまうことが赦せなかったからだ。
 けれど、天神ユーリは、彼のその気持ちを分からぬままに、涙にくれて天に帰ったのだ。

 天界に戻ってすぐ、そんなユーリに、思いがけない事実が知らされた。
 なんと、コンラッドが下界での生活やしがらみを一切断ち切ってユーリを追いかけてきたという。

 そして、彼の愛の深さに感銘を受けた、女帝ツェリが特別に天神ユーリと元人間のコンラッドを一年に一度だけ遭うことを赦したのだ。
 そんなことまでするなら、俺が彼と人間界にいればよかったじゃないか!俺が、彼と人間界に一緒にいるって言ったのに・・!
 
 そんな思いが強くユーリの心を占めていた。

 ユーリは、彼と遭うことが許されて嬉しい反面、彼が自分のために人間界を捨ててしまったこと、ひどい犠牲を払ったことに心を痛めていたのだ。

 だから、彼はせっかく愛しい人に遭えたというのに、彼に不平を漏らしてしまったのだ。

 それでも、コンラッドの大きく包み込むような愛は、ユーリの心のわだかまりを優しく消していく。
 彼は、ユーリを優しく胸に抱き寄せる。
「ユーリ・・・。わかりませんか?全て貴方のためだったんですよ。いや、俺のためでもあるかな」

 彼の胸の中で、怪訝な声で尋ねるユーリ。
「俺のため?どういうこと?」

 甘い優しい声で、諭すように語るコンラッド。
「えぇ、ユーリ。貴方を人間界に置いてしまったら、貴方の今まで築いてきた大切なものを奪ってしまう。愛する人に、余計な犠牲を払わせたくなかった」

 彼の台詞に、口を尖らせて、思わず口を挟むユーリ。
「そんな!そんなこというんだったら、コンラッドはどうなんだよ?あんただって、人間の世界で今まで築いてきたものや、大切な物まで失くしたじゃないか?!」

 子犬のように喚くユーリに、コンラッドは優しく人差し指を彼の唇に当てて囁く。
「ユーリ・・・話は最後まで聴いて・・・・ね?そんなことをして、天帝が赦すと思いますか?さっき、言ったでしょ?貴方を人間界に置かなかったのは、俺のためでもあるって。貴方とどんな形であれ、愛することを赦されるためには、貴方を人間界には置かずに、俺が貴方を追いかける必要があったんです」
 
 ふわりと、花が綻んだように微笑むコンラッド。
 ユーリは、そんな彼を惚けたように、綺麗だな・・・と見つめていた。
「そ・・・そうだったんだ・・・。そこまで、全部考えて・・・くれてたんだ。ごめん・・・、俺、気づいてあげられなくて。この一年間、どうしてあんたが俺の羽衣を隠してくれなかったんだって、そんなことばっかり考えてた、本当にごめん」

 コンラッドは、今にも泣きそうなユーリの瞳の端にキスをした。
 その柔らかな彼の唇の感触に、鼓動が高鳴るユーリ。

「ユーリ、今日は一年に一度遭うことを赦された特別な日なんです。だから、もう自分を責めないで。・・・・・俺に、貴方を愛させて・・・・一年分」
 コンラッドの耳元で囁く甘い低音に、身体の芯が痺れたようになるユーリ。


 コンラッドは、華奢なユーリの腰に腕を回し込み、細い顎を掴むと自身の唇で彼の唇を覆う。
「んっ・・・ふ・・・ぁ・・・・」
 何度接吻けをしても足りないという程に、息もつけないほどにユーリの唇を翻弄するコンラッド。

「愛しています・・・ユーリ。どれだけ愛しても・・・飽き足らない・・・」
 ようやく唇が離されたと思ったら、熱に浮かされたような台詞を囁くコンラッド。
 ユーリも、とろんと意識が甘くぼやけていた。



 煌く星空、愛に溺れる二人をカササギだけがそっと見守っていた。



★★おしまい
 七夕の話(『天河配』参照)をちょっといじくってあります(汗
 コンユっぽくしてみました。

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