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2009.4.22設置 『今日からマ王』メインです。 
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2009/05/20 (Wed)                  鬼畜眼鏡なパロディー 第六話
第六話 分裂する人格
※コンラッド視点です。眼鏡を掛け続けることで、コンラッドに異変が起きていくお話です。






 最近の、ユーリは日を追うごとに艶やかになっていく。
 それと、ともに俺の独占欲が膨れ上がっていく。
 俺の眼鏡が妖しい輝きを放つ。




 俺が、眼鏡を掛け始めたのは、いつもより頭がすっきりと冷静になれるからだった。言いたいことを率直に言うことができる爽快感からだった。


 そして、何よりも眼鏡をかけると、ユーリに俺の全てを臆することなく曝け出せたからだ。その、黒く渦巻く欲望までも余すところなく、全て。


 俺は、いったいどれだけ自分の欲望を抑え付けていたのだろう。それは、俺がいかに彼のことを愛していたかの裏づけにもなるのだが。
 彼のことを傷つけたくないばかりに、抑制した自分の心が悲鳴を上げて、崩れていきそうだった。限界だったのだ。


 そこへ、黒コートの男から妖しげな眼鏡を手渡された。
 その眼鏡を掛けた途端に、俺の深淵の闇が、解き放たれた。決してユーリに見せはしないと、頑なに守り続けた俺の汚い部分を事も無げに、晒してしまった。



 それなのに。
 初めて、俺がユーリに、ほの暗い部分を見せたとき、彼はあっさりと、そんな俺も受け入れてくれた。どんな、コンラッドも、大切なコンラッドだよ、と優しく微笑んでくれた。
 とても、酷い仕打ちを彼にしたにも関わらず。彼を強姦してしまったのにも関わらず。
 

 そして、俺は太陽のように広く大きな心の持ち主の彼に甘えてしまった。眼鏡をかけても、赦されることがわかった俺は、その後も眼鏡を掛け続けることにした。


 眼鏡さえ掛けてしまえば、彼を傷つけるのではないかと、怖気づくことなく、俺の想いを欲望までも全てユーリに伝えることができたからだ。今まで、抑制していただけに、一度この快感を味わってしまうと、やめられなくなった。


 それが、いけないことだとは知っていた。けれども、俺の目の前であられもない姿を惜しげもなく晒す、艶めかしいユーリの肢体が脳裏に焼きついて、離れなかった。


 何度、こんなことはいけないと、眼鏡を外そうと試みても、その度に妖艶な彼の姿を再び見たいと強く願ってしまった。きっと、眼鏡を外したら、彼のことを大切に想い過ぎて、彼には二度と本当の俺を見せられない、と信じていた。





 気がつくと、俺は眼鏡なしではいられなくなっていた。


 
 眼鏡を掛けた自分と、以前の自分をまったくの別の人格として、自らが認識するようになった。 

 
 そして、眼鏡の俺の欲望は、収まるところを知らなかった。
 いくら、ユーリの身体を好きなように犯しても、いっこうに満足しない。
 日に日に、俺のユーリへの行為はエスカレートしていった。



 そんな俺を、受け入れてくれるユーリに甘え切っていた。
 彼は、いつでも俺のすることを本気で嫌がったりはしなかった。
 


 彼は、俺からの度重なる責め苦に、俺を見るだけで頬を紅潮させて、甘えるような視線を送るようになってきた。彼は、俺の顔を見るだけで、条件反射のように、情事を想いだしてしまうらしい。
 こんなに、眼鏡をかけてからの俺は、ユーリのことを虜にさせたっていうのに・・・・!!



 けれど、何かが物足りない。漠然とした、けれど徹底的なものが、足りない。





 そんなある日のことだった。

 
 爽やかな、新緑の季節。
 

 城内の警備に当たっていた眼鏡の俺は、激しい頭痛に襲われる。
 頭の割れそうなほどの、強烈な頭痛。
 鋭い痛みに、歯を食いしばるも、こらえ切れずに中庭にうずくまる。 



 にわかに、俺の意識に直接語りかけてくる声が聞こえる。不思議な感覚。空気を振動させることなく直接意識に訴えかける声。けれど、よく聞いたことのある声。



「いいかげんに、眼鏡を外せ。俺をユーリの前に出させてくれ!!ユーリに遭わせてくれ!!」
 悲痛な叫び声。
 眼鏡をかける以前の俺の声。


 俺は、声を振り払うように耳を両手できつく塞ぎこむ。
 そして、強く叫ぶ。
「前の俺の好きにはさせない!!お前はいつも綺麗なところしかユーリに見せようとしなかった。そのくせ、抑制のし過ぎで自らを追い込んで、今にも心が壊れそうだったくせに!!」


 前の俺の魂の叫びが轟く。
「ユーリをよく見てみろ!!ユーリがどちらの俺を求めているのかよく考えるんだ!!」



 辺りに、強い南風が吹き荒れる。
 前の俺の声は、それだけ叫ぶとすっかりと消え失せた。





 その日を境に、眼鏡の俺は以前の俺を激しく憎むようになる。


 ここで、あいつを表に出させたら、きっと今の俺は二度とユーリに遭えなくなる。なぜだか、本能的に感じ取った。
 是が非でも、あいつを封じ込めてやる。



 眼鏡を光らせて不敵に、微笑むと、そう誓った。




第六話 =完

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