2009.4.22設置
『今日からマ王』メインです。
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第六話 分裂する人格
※コンラッド視点です。眼鏡を掛け続けることで、コンラッドに異変が起きていくお話です。
最近の、ユーリは日を追うごとに艶やかになっていく。
それと、ともに俺の独占欲が膨れ上がっていく。
俺の眼鏡が妖しい輝きを放つ。
俺が、眼鏡を掛け始めたのは、いつもより頭がすっきりと冷静になれるからだった。言いたいことを率直に言うことができる爽快感からだった。
そして、何よりも眼鏡をかけると、ユーリに俺の全てを臆することなく曝け出せたからだ。その、黒く渦巻く欲望までも余すところなく、全て。
俺は、いったいどれだけ自分の欲望を抑え付けていたのだろう。それは、俺がいかに彼のことを愛していたかの裏づけにもなるのだが。
彼のことを傷つけたくないばかりに、抑制した自分の心が悲鳴を上げて、崩れていきそうだった。限界だったのだ。
そこへ、黒コートの男から妖しげな眼鏡を手渡された。
その眼鏡を掛けた途端に、俺の深淵の闇が、解き放たれた。決してユーリに見せはしないと、頑なに守り続けた俺の汚い部分を事も無げに、晒してしまった。
それなのに。
初めて、俺がユーリに、ほの暗い部分を見せたとき、彼はあっさりと、そんな俺も受け入れてくれた。どんな、コンラッドも、大切なコンラッドだよ、と優しく微笑んでくれた。
とても、酷い仕打ちを彼にしたにも関わらず。彼を強姦してしまったのにも関わらず。
そして、俺は太陽のように広く大きな心の持ち主の彼に甘えてしまった。眼鏡をかけても、赦されることがわかった俺は、その後も眼鏡を掛け続けることにした。
眼鏡さえ掛けてしまえば、彼を傷つけるのではないかと、怖気づくことなく、俺の想いを欲望までも全てユーリに伝えることができたからだ。今まで、抑制していただけに、一度この快感を味わってしまうと、やめられなくなった。
それが、いけないことだとは知っていた。けれども、俺の目の前であられもない姿を惜しげもなく晒す、艶めかしいユーリの肢体が脳裏に焼きついて、離れなかった。
何度、こんなことはいけないと、眼鏡を外そうと試みても、その度に妖艶な彼の姿を再び見たいと強く願ってしまった。きっと、眼鏡を外したら、彼のことを大切に想い過ぎて、彼には二度と本当の俺を見せられない、と信じていた。
気がつくと、俺は眼鏡なしではいられなくなっていた。
眼鏡を掛けた自分と、以前の自分をまったくの別の人格として、自らが認識するようになった。
そして、眼鏡の俺の欲望は、収まるところを知らなかった。
いくら、ユーリの身体を好きなように犯しても、いっこうに満足しない。
日に日に、俺のユーリへの行為はエスカレートしていった。
そんな俺を、受け入れてくれるユーリに甘え切っていた。
彼は、いつでも俺のすることを本気で嫌がったりはしなかった。
彼は、俺からの度重なる責め苦に、俺を見るだけで頬を紅潮させて、甘えるような視線を送るようになってきた。彼は、俺の顔を見るだけで、条件反射のように、情事を想いだしてしまうらしい。
こんなに、眼鏡をかけてからの俺は、ユーリのことを虜にさせたっていうのに・・・・!!
けれど、何かが物足りない。漠然とした、けれど徹底的なものが、足りない。
そんなある日のことだった。
爽やかな、新緑の季節。
城内の警備に当たっていた眼鏡の俺は、激しい頭痛に襲われる。
頭の割れそうなほどの、強烈な頭痛。
鋭い痛みに、歯を食いしばるも、こらえ切れずに中庭にうずくまる。
にわかに、俺の意識に直接語りかけてくる声が聞こえる。不思議な感覚。空気を振動させることなく直接意識に訴えかける声。けれど、よく聞いたことのある声。
「いいかげんに、眼鏡を外せ。俺をユーリの前に出させてくれ!!ユーリに遭わせてくれ!!」
悲痛な叫び声。
眼鏡をかける以前の俺の声。
俺は、声を振り払うように耳を両手できつく塞ぎこむ。
そして、強く叫ぶ。
「前の俺の好きにはさせない!!お前はいつも綺麗なところしかユーリに見せようとしなかった。そのくせ、抑制のし過ぎで自らを追い込んで、今にも心が壊れそうだったくせに!!」
前の俺の魂の叫びが轟く。
「ユーリをよく見てみろ!!ユーリがどちらの俺を求めているのかよく考えるんだ!!」
辺りに、強い南風が吹き荒れる。
前の俺の声は、それだけ叫ぶとすっかりと消え失せた。
その日を境に、眼鏡の俺は以前の俺を激しく憎むようになる。
ここで、あいつを表に出させたら、きっと今の俺は二度とユーリに遭えなくなる。なぜだか、本能的に感じ取った。
是が非でも、あいつを封じ込めてやる。
眼鏡を光らせて不敵に、微笑むと、そう誓った。
第六話 =完
※コンラッド視点です。眼鏡を掛け続けることで、コンラッドに異変が起きていくお話です。
最近の、ユーリは日を追うごとに艶やかになっていく。
それと、ともに俺の独占欲が膨れ上がっていく。
俺の眼鏡が妖しい輝きを放つ。
俺が、眼鏡を掛け始めたのは、いつもより頭がすっきりと冷静になれるからだった。言いたいことを率直に言うことができる爽快感からだった。
そして、何よりも眼鏡をかけると、ユーリに俺の全てを臆することなく曝け出せたからだ。その、黒く渦巻く欲望までも余すところなく、全て。
俺は、いったいどれだけ自分の欲望を抑え付けていたのだろう。それは、俺がいかに彼のことを愛していたかの裏づけにもなるのだが。
彼のことを傷つけたくないばかりに、抑制した自分の心が悲鳴を上げて、崩れていきそうだった。限界だったのだ。
そこへ、黒コートの男から妖しげな眼鏡を手渡された。
その眼鏡を掛けた途端に、俺の深淵の闇が、解き放たれた。決してユーリに見せはしないと、頑なに守り続けた俺の汚い部分を事も無げに、晒してしまった。
それなのに。
初めて、俺がユーリに、ほの暗い部分を見せたとき、彼はあっさりと、そんな俺も受け入れてくれた。どんな、コンラッドも、大切なコンラッドだよ、と優しく微笑んでくれた。
とても、酷い仕打ちを彼にしたにも関わらず。彼を強姦してしまったのにも関わらず。
そして、俺は太陽のように広く大きな心の持ち主の彼に甘えてしまった。眼鏡をかけても、赦されることがわかった俺は、その後も眼鏡を掛け続けることにした。
眼鏡さえ掛けてしまえば、彼を傷つけるのではないかと、怖気づくことなく、俺の想いを欲望までも全てユーリに伝えることができたからだ。今まで、抑制していただけに、一度この快感を味わってしまうと、やめられなくなった。
それが、いけないことだとは知っていた。けれども、俺の目の前であられもない姿を惜しげもなく晒す、艶めかしいユーリの肢体が脳裏に焼きついて、離れなかった。
何度、こんなことはいけないと、眼鏡を外そうと試みても、その度に妖艶な彼の姿を再び見たいと強く願ってしまった。きっと、眼鏡を外したら、彼のことを大切に想い過ぎて、彼には二度と本当の俺を見せられない、と信じていた。
気がつくと、俺は眼鏡なしではいられなくなっていた。
眼鏡を掛けた自分と、以前の自分をまったくの別の人格として、自らが認識するようになった。
そして、眼鏡の俺の欲望は、収まるところを知らなかった。
いくら、ユーリの身体を好きなように犯しても、いっこうに満足しない。
日に日に、俺のユーリへの行為はエスカレートしていった。
そんな俺を、受け入れてくれるユーリに甘え切っていた。
彼は、いつでも俺のすることを本気で嫌がったりはしなかった。
彼は、俺からの度重なる責め苦に、俺を見るだけで頬を紅潮させて、甘えるような視線を送るようになってきた。彼は、俺の顔を見るだけで、条件反射のように、情事を想いだしてしまうらしい。
こんなに、眼鏡をかけてからの俺は、ユーリのことを虜にさせたっていうのに・・・・!!
けれど、何かが物足りない。漠然とした、けれど徹底的なものが、足りない。
そんなある日のことだった。
爽やかな、新緑の季節。
城内の警備に当たっていた眼鏡の俺は、激しい頭痛に襲われる。
頭の割れそうなほどの、強烈な頭痛。
鋭い痛みに、歯を食いしばるも、こらえ切れずに中庭にうずくまる。
にわかに、俺の意識に直接語りかけてくる声が聞こえる。不思議な感覚。空気を振動させることなく直接意識に訴えかける声。けれど、よく聞いたことのある声。
「いいかげんに、眼鏡を外せ。俺をユーリの前に出させてくれ!!ユーリに遭わせてくれ!!」
悲痛な叫び声。
眼鏡をかける以前の俺の声。
俺は、声を振り払うように耳を両手できつく塞ぎこむ。
そして、強く叫ぶ。
「前の俺の好きにはさせない!!お前はいつも綺麗なところしかユーリに見せようとしなかった。そのくせ、抑制のし過ぎで自らを追い込んで、今にも心が壊れそうだったくせに!!」
前の俺の魂の叫びが轟く。
「ユーリをよく見てみろ!!ユーリがどちらの俺を求めているのかよく考えるんだ!!」
辺りに、強い南風が吹き荒れる。
前の俺の声は、それだけ叫ぶとすっかりと消え失せた。
その日を境に、眼鏡の俺は以前の俺を激しく憎むようになる。
ここで、あいつを表に出させたら、きっと今の俺は二度とユーリに遭えなくなる。なぜだか、本能的に感じ取った。
是が非でも、あいつを封じ込めてやる。
眼鏡を光らせて不敵に、微笑むと、そう誓った。
第六話 =完
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