2009.4.22設置
『今日からマ王』メインです。
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第八話 彼に会いたい
※ユーリ視点です。
コンラッドとの艶事で、力なく机に突っ伏していた俺。
けれど、彼の呟いた恐ろしい独り言に、動揺を隠せない。伏せていた身体を勢いよく起こして、彼を見上げる。勢いよく身体を動かしすぎて、眩暈がする。
何・・・・だよ・・・『前のコンラッドを消す』・・・・って、どういうことだよ?
コンラッドの中では、眼鏡をかけてる『今のコンラッド』と掛けていない『昔のコンラッド』がそれぞれ別の人格として存在してるってことなのか・・・・?
コンラッド本人が、自ら『前の俺を消してやる』なんて発言してるんだから、そう解釈しても間違いないよな?!
でも、そんな小説みたいな話が起こりうるのか?いや、待てよ。コンラッドの掛けてた眼鏡・・・・。あれは、ただの眼鏡じゃなかったよな。
全身黒尽くめの男に貰ったとか言ってたし。眼鏡をかけてから、性格が変わったし。なぜか、眼鏡を外そうとしなかったし。やっぱり、変だよな、絶対、あの眼鏡!!
も、もしかして、コンラッドは眼鏡の魔力に取りつかれてるかもしれない?!
そうだよ、絶対そうに違いない!!俺が、助けてやらないと!!前の彼が消されてしまう。
・・・・・前の彼が消される・・・・・?!
自分で、思いついた仮定に、ひどく心が揺れ惑う。
それって、もうあの春風みたいに俺を包んでくれる、名付け親でもある彼がいなくなっちゃうってこと?
あの優しい彼が!!
嘘!!そんなの嫌だ!!そんなこと赦せない!!
俺は、コンラッドに全身全霊で叫ぶ。彼が一言さえ俺の言葉を、聞き逃さないように。
「コンラッド!!あんた、その眼鏡に操られているんだよ!!本当は、眼鏡を外したいけど、外せないんだろ?!自分の意思では、どうしようもできないんだろ?!助けがいるんだろ?!」
けれど、眼鏡をかけたコンラッドは、俺のことを鼻先で笑い、一蹴する。
「ふっ。今の俺が、そんな間抜けに見えますか?自分の意思で、眼鏡も外せないほどの間抜けに。そんなわけありません。自分の意思で、眼鏡を外さないだけですよ。操られてなどいません」
ここで、怯んではいけないと俺の中の熱いものが訴える。
「そんなの嘘だ!!絶対操られてるんだって!!俺の言うことを信じろよ、コンラッド!!じゃないと、じゃないと・・・・・もう前のあんたに会えなくなっちゃうじゃないか!!」
俺の言葉に、目を見開いて立ち尽くす、眼鏡をかけたコンラッド。
彼を見据えたまま、ほとばしる熱い思いを叫ぶ。
「お願いだよ・・・お願い・・・・・コンラッド!!前の優しいあんたに会いたくてたまらないんだ!!俺のことをそっと抱きしめて、安心させてほしいんだ」
俺の言葉を聴き終えた途端に、眼鏡の彼らしからぬ表情をする。ひどく傷ついた痛ましい顔。いつもの自信たっぷりで余裕綽々の面影が微塵も感じられない。
コンラッド?何て顔してるんだよ。どうして、そんな傷ついた顔をするの?
けれど、彼は何かを強く決心したかのように再び、不敵な笑みを浮かべる。
「ますます、前の俺を貴方の前に出したくなくなりました。二度と、彼が貴方の前に現れることはないと思ってください、ユーリ」
彼の言葉に、俺の灼熱の魂が燃え上がる。絶望と怒りで俺は我を失った。身体中を駆け巡る血液が沸騰し、俺の周りを眩い光と一陣の風が取り巻く。
嫌だ、嫌だ、いつも俺を見守ってくれた優しい眼差し、瞳、手が消えるなんて・・・・。俺の名前をつけてくれた彼が消えるなんて・・・・嘘だ・・・・!!そんなこと、俺が赦さない!!
俺に、魔王が光臨しようとしていた。
けれども、コンラッドの異変に気づく。
彼は、苦痛に顔を歪めて、こめかみを手で押さえこみ、地面にうずくまっている。
彼の異変を見ると、俺の周りを取り囲んでいた光と風が、静かに消え去る。
「コンラッド!!」
俺は、慌てて彼に駆けつける。
「なっ・・・!!」
俺は、コンラッドの変わり果てた姿をみて凍りつく。
瞳孔が開ききっている瞳。うつろな瞳。何も映していない、人形のような瞳。
薄く開かれた唇。自分の意思で口を結ぶこともままならない。
身体も弛緩しきっていて、だらりと情けなく俺にしなだれかかる。
規則的に聞こえる胸の鼓動だけが、彼が生きていることを証明している。
「コンラッドー!!!」
俺は、彼を胸に抱きしめて大声で泣き叫ぶ。
ただならぬ事態を察知して、血盟城の主要メンバーが執務室に集結する。
ギーゼラに治療を施されても意識を取り戻さないコンラッド。
瞳を開けたままベッドに横たわるコンラッド。
俺は彼の瞼をそっと閉じさせると、優しく彼の手を握る。
一体どうしたんだよ!コンラッド。俺、必ずあんたを助けてやるからな!
第八話 =完
※ユーリ視点です。
コンラッドとの艶事で、力なく机に突っ伏していた俺。
けれど、彼の呟いた恐ろしい独り言に、動揺を隠せない。伏せていた身体を勢いよく起こして、彼を見上げる。勢いよく身体を動かしすぎて、眩暈がする。
何・・・・だよ・・・『前のコンラッドを消す』・・・・って、どういうことだよ?
コンラッドの中では、眼鏡をかけてる『今のコンラッド』と掛けていない『昔のコンラッド』がそれぞれ別の人格として存在してるってことなのか・・・・?
コンラッド本人が、自ら『前の俺を消してやる』なんて発言してるんだから、そう解釈しても間違いないよな?!
でも、そんな小説みたいな話が起こりうるのか?いや、待てよ。コンラッドの掛けてた眼鏡・・・・。あれは、ただの眼鏡じゃなかったよな。
全身黒尽くめの男に貰ったとか言ってたし。眼鏡をかけてから、性格が変わったし。なぜか、眼鏡を外そうとしなかったし。やっぱり、変だよな、絶対、あの眼鏡!!
も、もしかして、コンラッドは眼鏡の魔力に取りつかれてるかもしれない?!
そうだよ、絶対そうに違いない!!俺が、助けてやらないと!!前の彼が消されてしまう。
・・・・・前の彼が消される・・・・・?!
自分で、思いついた仮定に、ひどく心が揺れ惑う。
それって、もうあの春風みたいに俺を包んでくれる、名付け親でもある彼がいなくなっちゃうってこと?
あの優しい彼が!!
嘘!!そんなの嫌だ!!そんなこと赦せない!!
俺は、コンラッドに全身全霊で叫ぶ。彼が一言さえ俺の言葉を、聞き逃さないように。
「コンラッド!!あんた、その眼鏡に操られているんだよ!!本当は、眼鏡を外したいけど、外せないんだろ?!自分の意思では、どうしようもできないんだろ?!助けがいるんだろ?!」
けれど、眼鏡をかけたコンラッドは、俺のことを鼻先で笑い、一蹴する。
「ふっ。今の俺が、そんな間抜けに見えますか?自分の意思で、眼鏡も外せないほどの間抜けに。そんなわけありません。自分の意思で、眼鏡を外さないだけですよ。操られてなどいません」
ここで、怯んではいけないと俺の中の熱いものが訴える。
「そんなの嘘だ!!絶対操られてるんだって!!俺の言うことを信じろよ、コンラッド!!じゃないと、じゃないと・・・・・もう前のあんたに会えなくなっちゃうじゃないか!!」
俺の言葉に、目を見開いて立ち尽くす、眼鏡をかけたコンラッド。
彼を見据えたまま、ほとばしる熱い思いを叫ぶ。
「お願いだよ・・・お願い・・・・・コンラッド!!前の優しいあんたに会いたくてたまらないんだ!!俺のことをそっと抱きしめて、安心させてほしいんだ」
俺の言葉を聴き終えた途端に、眼鏡の彼らしからぬ表情をする。ひどく傷ついた痛ましい顔。いつもの自信たっぷりで余裕綽々の面影が微塵も感じられない。
コンラッド?何て顔してるんだよ。どうして、そんな傷ついた顔をするの?
けれど、彼は何かを強く決心したかのように再び、不敵な笑みを浮かべる。
「ますます、前の俺を貴方の前に出したくなくなりました。二度と、彼が貴方の前に現れることはないと思ってください、ユーリ」
彼の言葉に、俺の灼熱の魂が燃え上がる。絶望と怒りで俺は我を失った。身体中を駆け巡る血液が沸騰し、俺の周りを眩い光と一陣の風が取り巻く。
嫌だ、嫌だ、いつも俺を見守ってくれた優しい眼差し、瞳、手が消えるなんて・・・・。俺の名前をつけてくれた彼が消えるなんて・・・・嘘だ・・・・!!そんなこと、俺が赦さない!!
俺に、魔王が光臨しようとしていた。
けれども、コンラッドの異変に気づく。
彼は、苦痛に顔を歪めて、こめかみを手で押さえこみ、地面にうずくまっている。
彼の異変を見ると、俺の周りを取り囲んでいた光と風が、静かに消え去る。
「コンラッド!!」
俺は、慌てて彼に駆けつける。
「なっ・・・!!」
俺は、コンラッドの変わり果てた姿をみて凍りつく。
瞳孔が開ききっている瞳。うつろな瞳。何も映していない、人形のような瞳。
薄く開かれた唇。自分の意思で口を結ぶこともままならない。
身体も弛緩しきっていて、だらりと情けなく俺にしなだれかかる。
規則的に聞こえる胸の鼓動だけが、彼が生きていることを証明している。
「コンラッドー!!!」
俺は、彼を胸に抱きしめて大声で泣き叫ぶ。
ただならぬ事態を察知して、血盟城の主要メンバーが執務室に集結する。
ギーゼラに治療を施されても意識を取り戻さないコンラッド。
瞳を開けたままベッドに横たわるコンラッド。
俺は彼の瞼をそっと閉じさせると、優しく彼の手を握る。
一体どうしたんだよ!コンラッド。俺、必ずあんたを助けてやるからな!
第八話 =完
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