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2009.4.22設置 『今日からマ王』メインです。 
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2024/09/21 (Sat)                  [PR]
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第十二話 最終話 真実の彼 



 「ん・・・・?」


 眼を開けると、俺はなんとも奇妙な場所にいた。足元には一面の砂原。あとは、一面の暗闇が覆いつくしていた。


 なんて、寂しい場所なんだろう。すごく脆くて今にも壊れてしまいそうな場所。だけど、俺はここをよく知ってる気がする。


ーー?!


 「ユーリ!!貴方に会いたかったです」


 背後から、抱きすくめられる。力強い腕。懐かしい声。もうずっと聞いていない彼の声。待ち焦がれた声。

「こ、コンラッド?!」
 
 嘘、コンラッドが俺に話してる?!ずっと、あんたと話したかったんだ!!

 いつものコンラッドより若干低い声が頭上から響く。
 この声音は、眼鏡のコンラッドだ。

「ユーリ、わざわざこんな所にまで俺に会いに来てくれたんですか?」


「あぁ!!あんたを救うチャンスをくれるっていう男が来たんだよ。それで、そのチャンスにかけたんだけど、ああよかった!!あんたに会えて!!」

 もうずっと、コンラッドと話していなかった俺は、足元の砂を踏みしめながら、嬉しくて勢いよく彼に向き直る。
 
 けれど、彼は俺を見つめて顔をしかめる。
「ユーリ。貴方はどうしてそんなに無用心なんですか。それが、罠だったらどうしたんですか。全く、困った人だ」

 そうだ、俺は全く罠とかそんなこと考えなかった。後先考えずに来たけど、本当に罠じゃなくて良かった!

 よく考えれば、十分妖しい男だったもんな・・・・。


 意地悪に片方の口角だけを上げて微笑む眼鏡の彼。
「何にせよ、貴方に会えたのですからよしとしますか」

 
 彼はおもむろに、俺の顎を掴み上げ、性急に貪るような口付けを浴びせる。




裏へ続く 
ヒント 右下 英語

第十二話の裏面です。
※十八歳以上推奨です。



 「んんっ・・・・はぁ・・・っ!コン・・・・ラド!」


 いきなりの情熱的なキスに俺がここに何のために来たのかも、忘れてしまいそうになる。


 けれど、駄目なんだ・・・・。駄目、コンラッド・・・・・あんたを助けないといけないんだから!


 彼を両手で押し遣ると、肩で息を吐く。
「ん・・はぁ・・・はぁ・・・・。駄目っ!コンラッド。こんなことしてる場合じゃないんだよ。あんたは、現実の世界では全く動かなくなっちゃってるんだから!!」


 当然驚くだろうと、思っていた俺は彼の反応に閉口する。
 
「やっぱり・・・・・そういうことか」
 彼は、全てを知った上で諦めているような態度をとる。

 何?話がさっぱり見えないんだけど・・・・?


 眼鏡を曇らせるコンラッド。じっと一点を見つめる。
「ほら、そこにもう一人の俺がいるでしょう?俺が二人もここにいるってことは、つまり現実の世界ではどちらも姿を現せていないと思っていたんです」



 彼の発言に驚いて、彼の視線の先を辿ると、なんとそこには信じられない姿があった。コンラッドだった。それも、衣服が切り裂かれ、肌が顕わになった姿で力なく横たわっていた。

「そんな?!コンラッドがもう一人?!しかも、何でこんなに服がぼろぼろになってるの?!」

 俺は、砂に脚を取られながらも懸命にもう一人のコンラッドの元へ駆けつける。


「コンラッド!!しっかりしてっ!!」


 熱心に彼に呼びかけるけれど、気絶しているようで反応がない。

 そんな、ここでもコンラッドは俺のことを見てくれないの?!


 俺は、先程までのいくら呼びかけても答えてくれないコンラッドとの辛い現実を思い出してしまった。

 だから、むきになって彼を起こそうとした。
 

「ねぇ、コンラッド。お願い、起きて!!何があったの?こんな格好で・・・・。ここでも、あんたは俺のことを見てくれないのかよ・・・・」


 夢中で、眼鏡をかけていないコンラッドに縋り付く。


 けれど、唐突にすごい力で引き離されてその人物に抱き込まれてしまう。眼鏡のコンラッドが俺を背後から強引に抱きしめていた。

「妬けますね・・・・ユーリ。俺も、コンラッドですよ?俺じゃ・・・・不満ですか?」


 彼にしては、ひどく感傷的な声音だった。


 俺、彼を傷つけちゃったのか?そうか、彼もコンラッドに変わりないもんな。なのに、もう一人のコンラッドにばかり気を取られていたら、きっと・・・・悲しいよな。


「ごめ・・・んんっ・・・・あっ!!」

 彼の気持ちを思い、謝ろうとした俺は彼に翻弄されることになった。

 彼の手が、器用に制服のベルトを外し、ズボンを下着ごと地面に摺り下ろす。下半身が外気に触れてぞくりと身体が粟立つ。追い討ちを掛けるように冷たい手がいきなり俺の敏感なものに触れる。俺は、立った姿勢のまま、後ろからコンラッドに覆われながら弄ばれる。

「ちょ・・・・っと、なに・・・考えて・・・・や・・・めっ」

 けれど、俺の言葉などまるで聞こえていないかのように彼は俺を激しく攻め続ける。


「ユーリ・・・・・。もう長いこと俺と離れていて、身体が寂しかったんじゃないですか?」

 淫靡な声が背後から響き、思わずぞくりと身体をのけぞらしてしまう。

 彼の長い指が、容赦なく俺の繊細な部分に纏わりついて蹂躙する。

 
 そんな・・・、あんたが俺を見てくれなくて寂しかったけど、いきなり・・・こんなことするなよ・・・。俺が、寂しかったのは身体よりも心だよ・・・・。


 おまけに、もう一人の優しいコンラッドが意識を失っている前でこんなことするなんて・・・!!


 羞恥心と嫌悪感に満たされて、涙が湧き上がる。けれど、身体は正直で、久しぶりに彼から与えられる甘い刺激に否応なく反応してしまう。

 理性と快楽の狭間で苦しめられる。


「やめて・・・・ああっ・・・もう・・・・コンラッド・・・・!!」

 耳に息を吹きかけて甘く囁くコンラッド。

「おや、泣くほど気持ちがいいんですか?・・・・・淫乱ですね、ユーリは」

 だから、そうじゃないのに・・・・!!こんなことやめてほしいのに。優しいコンラッドが、こんな辛そうな状態なのに、なんでよりにもよって彼の目の前で俺を辱めるんだよ?!

「うぁああっ!!や・・・やめて・・・・ああっ・・!!」

 何とか、彼に伝えたいのに、彼から与えられる絶え間ない刺激が邪魔をする。


 コンラッドは、長い指で俺の下半身を高みに追い詰める。同時に、空いたほうの長い指を俺の口に突き入れる。

 指から逃れようとすればするほど、舌が指に絡まってしまう。俺の意思とは無関係に彼の指には俺の唾液がねっとりと絡みついていく。

「ユーリ・・・・そんなに熱心に舐めて・・・そんなに俺のが欲しいんですか?本当に待ちきれなかったんですね・・・・いい子だ」

「ううぅっ・・・・んっ」

 違う、違うのに・・・・っ。こんなことがしたいんじゃないのに・・・・・。

 
 けれど、そんな思いもむなしくすっかりと彼との快楽に溺れかけていた。


刹那・・・・!!
「く・・・・」
 目の前に力なく横たわっていたもう一人のコンラッドがかすかに呻き声をあげる。
 そして、力なく上半身を起こす。

 駄目っ!コンラッド、今だけは俺のこと見ないで!!こんな恥ずかしい姿、見ないで・・・・。


 そんな俺の願いもむなしくコンラッドは、俺の姿をその瞳に捕らえてしまう。

「ユーリ!!・・・・・貴様はっ?!」

 砂を蹴散らして、勢いよく立ち上がるコンラッド。眼鏡のコンラッドに弄ばれる俺を見て、ひどく狼狽している。


「やれやれ、もう少し気絶していてほしかったのですが・・・・起きてしまったのでは、仕方ありませんね」

 冷酷な声色で囁く眼鏡のコンラッド。

「貴方も参加したいんでしょう・・・・?もう一人の『俺』?」


 激しく眼鏡のコンラッドを睨みつける、コンラッド。
「貴様・・・!!何をふざけたことを言っている!!早くユーリから離れろ」

 いっそう激しく俺を弄る眼鏡の彼。
「ユーリが今止めて欲しいと思いますか・・・・ほら、ユーリをよく見て下さい」

 彼は、口の中からぬるりと指を抜き出すと、あろうことか俺の弱い部分に挿入する。その上、すっかり硬度を増している俺自身をも容赦なく握り扱き上げる。

 目の前にもう一人のコンラッドがいるという事実に加えて眼鏡の彼から与えられる強烈な刺激に頭がおかしくなりそうだった。
 
 
 身体が言うことを利かない・・・!!

「ああぁっ!!もう、・・・おかしくなる・・・っ!!ああっ!!」

 淫らに喘ぐことを止められない。
こんなところ、見られたら恥ずかしいよ!!

けれど、見られていると思えば思うほど快感が増していく。信じられないくらいの快感の波が溢れ出す。こちらのコンラッドに初めてこんな姿を見られているからだろうか。

 全身が火照って熱を帯びる。思考が鈍ってとろんとした瞳になる。口端からは、意思とは無関係にだらしなく涎が垂れてしまう。
 
 信じられないくらいの痴態をコンラッドに晒している。そして、その事実さえが快感に結びつく。

「ほら、よく見てください、『俺』。どうですか、愛しいユーリのこんなに乱れた顔、姿が目の前で見られてとても嬉しいでしょう?」

 嘲るように笑う眼鏡のコンラッド。
「はは・・。なんだ、もう下半身が反応してるじゃないですか、『俺』?!」

 コンラッド?!眼鏡の彼の台詞に驚いて、俺はコンラッドの方を見遣る。すると、コンラッドが、羞恥で顔を染めていた。所々服を切り裂かれている、半裸状態のコンラッドの下半身がその存在を主張していた。

「くっ・・・!!ユーリ、すみません。俺を見ないで下さい」

 唇を激しく噛み締めるコンラッド。今にも、血が滲みそうなくらいに強く。
 俺に欲情したことを恥じ、必死で欲望を押し殺そうとするような苦悶の表情。
 今にも泣きそうな切ない表情。

 コンラッド、すごく苦しそう・・・・!!




 彼の切ない表情を見たとき、俺に閃光が駆け抜けた。


 どうして・・・・どうして、そんなに我慢するの?どうして、そんなに悲しい顔をするの??


 俺の心がざわめいた。

 
 快感の荒波がたちどころに静まった。


 代わりに激しい、怒りに似た感情の波が押し寄せる。

「ユーリ?!」

 俺の様子が変わったことに気がついた、眼鏡の彼が俺から手を離す。


 その隙に俺は、足元の下着とズボンを履き直す。

 俺は、砂をざくざくと踏み鳴らし、ゆっくりと眼鏡を掛けていないコンラッドに近づいていく。

 コンラッドの両肩をきつく掴んで、じっとその瞳を見つめる。俺の質問から逃げないように。けれど、彼は俺から目をそらしてしまう。

「コンラッド!!ちゃんと、俺のことを見てくれよ!どうして、目を逸らすんだよ?俺のこと、見てられないくらい嫌か?あんな恥ずかしい姿を見せたから汚らわしいのか?」

 俺の発言に、ぱっと顔を上げるコンラッド。
「そんな!!貴方を嫌いになどなるはずがありません・・・・・・ただ、貴方に欲情してしまった自分が恥ずかしくて、貴方に見せる顔がないと思っただけです」


 何それ・・・・?何で、コンラッドはそんなに自分を隠そうとしてるの?!おかしいよ。

「貴方に色欲の念を抱いてしまった私は、もう貴方の親代わりにはなれません。つまり、もう貴方の側にはいられないということです」


 ちょっと、待って。何それ、どうしてそういう展開になるの?思い込みが激しすぎるよ。自分勝手で頑固すぎるよ。

 シマロンで、ベラール殿下に付いたときだってそうだよ。親王の命令とはいえ、ひとことくらい、相談してくれたっていいのにさ!全くどうして、俺の意見を聞いてくれないの?!どうして、俺にあんたの全てを晒そうとしてくれないんだよ!!


 俺って、あんたにとってそんなに信用のない奴なのかよ!

 俺は、コンラッドに思いの丈をぶつける。

 「コンラッド!!あんた色々と我慢しすぎだし、突っ走りすぎだよ。俺がいつ、あんたに禁止したんだよ。その・・・・俺をえっちな眼で見るな・・・とかさ。おまけに、なんで、親代わりになれないと、俺の側にもいられなくなるの?!どうして、そういう思考に結びつくんだよ。いつだって、あんたは肝心なところを人に相談しようとしない。自分ひとりで抱え込んで、いつだって、自分ひとりで深く傷ついているじゃないか!!それも、柔らかな笑顔で上手く隠して!俺の意見だって、聞いてくれよ!!」


 一呼吸置いて、呼吸を整える。

「・・・俺は、あんたが好きなんだよ。大好きなの!だから、側にいられないとかそんなことは金輪際二度言うなよ!」

 俺は、コンラッドに抱きつく。


 けれど、コンラッドは信じられない言葉を呟く。

「・・・・ユーリ、貴方が私を好きなのは、貴方をそっと守ってくれるだけの優しい親のような存在だからなのではないですか?貴方を性的に翻弄する私などは嫌なのではないですか。こんなことは、言いたくはないのですが・・・・本当に貴方の求めている物をよく見つめて見て下さい」

 俺は、抱きついていた彼から離れると、信じられないというような顔でコンラッドを睨む。視界の端には、俺と同じ顔をした眼鏡のコンラッドが映る。彼もまた、眼鏡を掛けていないコンラッドに対して不満があるようだ。

「まだ、そんなこというのかよ!!俺は、前にも言ったじゃないか。ほら、その・・・俺が眼鏡のコンラッドに初めてその、お、犯された次の日にさ、コンラッドになら何をされても嫌じゃないって・・・どうして、その言葉を信じてくれなかったの?」


 力なく呟くコンラッド。俯き、形のいい瞼に影を落とす。さらりと、セピアの髪の毛が垂れる。
「ですが、ユーリ。貴方ははっきり言ったじゃないですか。
眼鏡のコンラッドに。『そっと抱きしめてくれる優しいあんたに会いたくてたまらない』と叫んでいたではないですか?!・・・・・私だって、こんなこと考えたくありませんが、それが、貴方の本心ですよ。貴方が本当に求めている物なんです」


 時が止まった。

 いつまでも、頭の中に、彼の言葉が繰り返し再生された。


『それが、貴方の本心ですよ。貴方が本当に求めている物なんです』

 

 俺は、愕然とした。言葉も出なかった。



 俺のせい・・・・だったんだ。


 俺が、コンラッドを目覚めなくさせていたんだ・・・・。あの男のせいにしていたけれど・・・自分のせいだったなんて!やっと今気づいたなんて・・・!!


 俺が、結果的に彼を否定していたんだ。そのせいで、彼は深く傷つき、心を閉ざしてしまったんだ。意識が戻らなくなってしまったんだ。


 どんなコンラッドも大切だと言いながら、俺は、彼に誤解を与えるようなことをした。彼の黒い欲望の部分の代表である眼鏡の彼に対して、白い親の部分の代表である前の彼を求めてしまった。

 俺としては、ただ、純粋にしばらく会っていない優しいほうの彼に会いたいという気持ちだったのだけれど。けれど、彼にはそれが、違って映った。

 それもそうだよな、あんなに真剣に叫んでお願いしたんだから!俺としては、どちらのコンラッドもコンラッドに変わりなくて優劣なんてつけているつもりもなかったのに・・・・。
 言葉足らずな俺で、ごめん、コンラッド・・・。

 コンラッド自身が、一番苦しんで、葛藤していた部分だったのに!一番酷いやり方で、俺がコンラッドに追い討ちをかけてしまったんだ・・・・!!
 


 涙でコンラッドの顔が滲んでいく。
 頬を涙が絶え間なく伝い落ちていく。

「ごめん!!コンラッド・・・・あんたの一番苦しんでいる所を分かってやれなくて、それどころか、追い詰めて!!俺は自分が情けないよ!!本当にごめん」

 泣きじゃくりながら、力強くコンラッドを抱きしめる。

「だけど、ちゃんと、あんたに伝えたい。言葉足らずで本当にごめんなさい!!あんたの、欲望を、眼鏡のコンラッドを、否定するつもりはなかったんだ。俺は、やっと気づいたんだ。あんたが目を覚まさなくなって、俺のことを見てくれなくなって、普通に話すことさえできなくなって、あんたの大切さをいっぱい感じたよ」

 俺は、目の前のコンラッドにも、眼鏡を掛けているコンラッドにも大きな声で伝える。
「あんたに対して抱いているのは、肉親としての愛情なんかじゃない。もっと甘くて苦しい恋なんだよ。正直コンラッドが・・・・好きでたまらない」

 二人のコンラッドを交互に見つめて言う。
「どっちのコンラッドが好きとか、嫌いとかじゃなくて、コンラッドは全部全てが大好きなの!!分けられないよ・・・・・・・つまり・・・・その・・・・コンラッドがすごく・・・・欲しいよ・・・・・・」

 照れながら、たどたどしく言葉を紡ぐ。
 眼鏡のコンラッドが、そっと囁く。
「ユーリ、それは、抱かれたいくらい好きっていうことですね?」

 俺は、真っ赤になって答える。
「あ、あぁ、そう。そうだよ。もう、わざわざ確認するなよな・・・」


 眼鏡をかけていないコンラッドが、目を大きく見開いて固まっている。

 やっと、俺の本当の気持ちが誤解なくまっすぐに伝わってくれたかな?
 ちゃんと、俺の気持ちを分かってくれたかな?


 そんな俺に、予想以上の反応が返ってくる。



「ユーリ、好きです!貴方を下さい!」

 真剣な表情のコンラッドが、俺の腰に力強く腕を回し、きつく抱きしめる。濃厚なキスをする眼鏡を掛けていないコンラッド。今までの熱い想いが一度に溢れ出すような、狂おしいキス。


 啄ばむような口付けから、始まって、口内に舌を侵入させて、歯列をなぞり、舌を絡め合わせるコンラッド。腰に回された腕が軋むほどに俺の身体を抱き寄せる。
「はっ・・・んっ・・・」


 情熱的なキスに、気が遠くなっていきそう。酸欠になってしまいそう。

 けれど、俺はさらに追い詰められることになる。

 眼鏡のコンラッドもいつの間にか俺を背後から抱きしめる。コンラッドとキスをしている最中に無理やり俺の顎を掴んで自分の方に向けてしまう眼鏡の彼。

「ユーリ、妬けますね・・私も、貴方の事を愛しています・・・・」
そのまま、続けざまに激しいキスを落とされる。眼鏡を掛けていないコンラッドよりも少し乱暴で強引なキス。

「はっ・・・んぅ・・」

 身体の芯がじんと疼く。

 眼鏡の彼とキスをしていると、再びコンラッドに顎を掴まれる。
「ユーリ・・・俺とキスして・・・」


 二人のコンラッドに挟まれて、交互にキスを浴びせられる。

 あまりの快感に、意識を手放してしまいそうになる。身も心も蕩けてしまいそうになる。どちらも、大好きな同じ彼だから。


 だけど、こんなにされたら、俺もうおかしくなるよ。もう、赦して・・・。

 けれど、二人が赦してくれる筈もなく更なる快楽の淵に沈められる。

 コンラッドが、キスを唇から首筋へと降らす。鎖骨を滑って、胸の芯を甘く噛む。
「ふっ・・・あっ!コンラッドっ!」

 眼鏡の彼が、耳元でいやらしく囁く。
「ユーリ、ほら俺ら二人から弄られて、すごく感じてるんでしょう?・・・・・いけない人だ。仕方がないから、もっと・・・・苛めてあげますね」

 彼は、自身の舌で指を舐めた後、俺の双丘の蕾に突き入れる。

「んんっ!!あっ・・・はぁ・・・!!」

 立った姿勢のままで、後ろから卑猥に攻められる。長くて節くれだった眼鏡のコンラッドの指に、翻弄される。がくがくと、膝が震えてしまう。けれど、眼鏡の彼に片腕で抱きとめられて、かろうじて立っている。淫らな姿。

 その様子を見て、コンラッドも俺をさらに快感に追い詰めようとする。

「ユーリ・・・・俺が貴方を、もっと気持ちよくしてあげますね」

 そういうと、膝立ちになるコンラッド。俺のすっかり隆起した物をその大きな手で掴み、緩急をつけて刺激していく。その上、唇ですっぽりと俺自身を咥えてしまう。暖かい口内で、柔らかい舌に弄ばれる。

「ん・・・ああっ・・はぁぁっ!!」

 全身を二人同時に隈なく愛撫されて、俺はもう頭が真っ白になっていた。ただ、快楽に身をまかすことしか、出来ない。


「なかなかやるじゃないか・・・もう一人の『俺』・・俺も、負けられませんから」

 指をわざと素早く引き抜く眼鏡のコンラッド。そして、間髪を入れずに自身の硬く屹立した物を挿入する。

 耳元で甘く囁く。
「ユーリ、ほら。ずっとこれが欲しかったんでしょう・・・?どうですか、こちらのほうが気持ちいいですか?」

「ああっ!!だ・・・めっ!!うあっ!!」

 立った窮屈な姿勢のまま、後ろから、乱暴に突き上げられる。
 前も、もう一人のコンラッドによってすっかり快感に狂わされている。

 


 お願い、もうこれ以上攻めないで・・・・、俺おかしくなっちゃうから・・・!!




 途端に、眩しい真っ白な光がスパークして意識を手放した。

 なぜだか、その途中に、景色が色づいていくのを見た。一面の砂原が、水の流れる肥沃な大地となり、一面の暗闇が煌く太陽を携える澄んだ青空に変化していく様を見た。





 眼が覚めると、そこにはコンラッドがいた。

 愛しています、と俺に微笑み、濃厚なキスをする、恋人のコンラッドがいた。




『鬼畜眼鏡なパロディー』 =完了☆☆☆


お付き合い下さって、ありがとうございました。



あとがき★★★
エロエロになってしまって、すみません(汗汗
意地悪な、鬼畜なコンラッドとそれに翻弄されるユーリが書きたかったんです(汗
おまけに、コンラッドにコンラッドを襲わせてみたかったんです(汗汗
おまけに、コンラッド二人からユーリを襲わせてみたかったんです(汗汗汗

コンラッドが二人いて、私の文では訳が分からないところがあったと思います、すみませんです。

 こんな文に付き合ってくださって、本当にありがとうございました!







 
 
 

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