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第四話 花火鑑賞
※またしても、二人で花火デートですvコンユv
表も、かなり危険になりました。表R15。途中から、裏に続きます。
「ゆうちゃ~~ん、また勉強か?それにしても、また英語の勉強か?」
俺の部屋で、しつこく絡んでくる兄の勝利。彼は、背後から長い腕を回して、椅子に座る俺に抱きついてくる。同じ遺伝子を受け継いでいるはずなのに、この腕の長さの違いは何だよ。
「だぁ~~、暑っ苦しいんだよ、兄貴は!」
肩の上から巻きついてくるうっとおしい腕を、振り払う。
「兄貴というな、お兄ちゃんと呼びなさい。それより、ゆーちゃん。英語の勉強ばかりして・・・・・・ま、まさか、英語の教師に惚れてるとかそういうオチじゃないだろうな?!こないだも、随分と帰ってくるのが遅かったじゃないか?」
ぎくっ。何で、こういうところが鋭いんだよ、勝利の奴。ギャルゲーの成果か?
まぁ、正確には、コンラッド先生とは、恋人ごっこしてるだけなんだけど。
「うるっさいよ、あ・に・き!もう、出てけよ!」
それでも、俺の貞操の危機がどうのとか、ツンデレなゆーちゃんもいい(なんだよ、その専門用語。ってか、俺が兄貴にいつデレてるよ?)とか喚き続ける兄貴の背中をぐいぐい押して、ドアを閉めた。
「ドア開けたら、絶交だからな!」
ドア越しに、留めの一言を叫んだ。
タイミングよく、小気味のよい着信音が流れた。毎度おなじみ勧善懲悪の番組『水戸黄門』の主題歌だ。
急いで、携帯の受話ボタンを押した。
「ユーリ、今電話してもよかったですか?」
相変わらず、品のよい甘い声が受話口から響く。なんか、さっきまでの慌しさが、嘘みたいだ。
「うん!全然、大丈夫!すごくいいタイミングだった!」
自然と笑みが零れてしまう。
「そうですか、少し息が上がっているみたいですが?」
「うん!へーき。兄貴がおかしなことばっかり言うからさ。貞操・・・・、いや、なんでもない」
貞操の危機だ、なんて兄に言われてたことを、先生にはとても言えない。だって、先生は、俺の学習意欲をあげるために恋人ごっこしてくれてるだけなんだしさ。
こ、こないだのエッチっぽいことだって、先生は乗り気じゃなかった筈だから。
「ユーリ?」
先生の訝しげな声が響く。
だめだ、俺、コンラッド先生を心配させてるぞ。ここは、明るく恋人ごっこ続行だよな?
「ねぇ、先生。明日の夜、花火大会だよね。塾が終わってから一緒に行きたいな?駄目?」
「もちろん、いいですよ、ユーリ」
甘くて蕩けてしまいそうな声が、即座に響いた。
「ありがとう!コンラッド先生!」
「俺も、明日の花火大会にユーリを誘うつもりでした。気が合いますね、ユーリ」
携帯の向こうで、先生が眼を細めて微笑する絵が浮かんだ。相変わらず、美形で爽やか~。暑苦しい勝利と大違い。
というか、俺、何でこんなに鮮明に先生を想像してるんだろう。
少し、胸が痛んだ。先生の甘い声も、爽やかな笑顔も、演技なんだと思うと――。
******
窓から橙色の陽射しが差し込む、黄昏時。夏の日照時間は長い。もう6時だというのに、太陽が地平線に隠れるのを躊躇っている。
空調のよく効いた、殺風景な塾の教室。
けれど、コンラッド先生の上品な声が教室に響くと、にわかに場が華やぐ。
ただし、寒いギャグをいうのが玉にキズなんだけど・・・・・・。
「fix the date for departureは、『出発を決める』という意味だ。だが、この場合のdateは、『日付』という意味だからな。dateだが『デート』とは違うぞ、あははは」
誰だ?教室の空調の温度を下げた奴は?いや、おまけにそれ、音声だと全く持って意味不明になるから。
ってわけで、教室に寒い空気が流れたけど、大丈夫、頑張って!コンラッド先生!
俺は、味方だよっ。
けれど、美形の先生の口からデートという単語がでて、質問をするツワモノの女子がいた。
「先生は、今日の花火大会は誰かと行くんですか?」
女子達の熱い視線が先生にロックオンした。よ、よかったね。先生、みんな、ギャグのことは忘れてくれたよ!
なんて、次の瞬間には、先生のことを心配している場合じゃなくなった。
「花火大会ですか。行きますよ。とても大切な人と、ね」
教室ではめったに聞けない、電話で話すときみたいな甘ったるい声で、先生は言った。おまけに、俺のほうを見て、俺にだけ分かるくらいに、微かにダークブラウンの片目を瞑った。
にわかに先生の甘い声に失神寸前の女子達の黄色い溜息がこぼれた。俺も、思わずその仲間に入りかけたよ。だって、ウィンクなんてされたことないし。さすが、アメリカ人。
すっげ~照れる。
けれど黄色い溜息の後、クラスの女子達は、コンラッド先生に特定の相手がいると知って、皆ショックを受けていた。
い、いや、その特定の相手って俺だから。なんか、根本的に間違ってる気がする。
こんなモテモテの外国人教師が俺みたいな普通の高校生男子と恋人ごっこしてる時点で。
終業音を告げるチャイムが鳴ると、相変わらず先生の周りには、生徒で人垣が出来る。心なしか、『今日の花火大会は誰と行くんですか?』なんてヒステリックな声が紛れてる気がするけど・・・・・・。
隣の席から声を掛けられた。今日は、セーラー服を着たジュリアさんだった。今日は登校日だったのか、学校指定の制服を着た彼女は一段と清楚だった。深緑を基調としたセーラー服は、カラーの部分だけ白かった。綺麗にアイロンを掛けられたプリーツスカートは、膝丈までの上品な長さだった。
スカートが長めでも、野暮ったくみえないどころか、お嬢様感満載といった感じだ。
って、俺は何見てんだよ。
「お先に失礼するわね、渋谷君。ごきげんよう」
気のせいか、彼女に覇気が無い。胸元の濃紺色のリボンが泣いているみたいな気がした。
「ジュリアさん?どうしたの?何かあった?」
「えっ?・・・・・・優しいのね、渋谷君は。なんでもないわ。さようなら」
彼女は一瞬、酷く驚いた顔をして、瞳を揺らした。けれど、すぐに瞳を優しく細めて儚く微笑んだ。
大人びた彼女の仕草に、それ以上なにも追及できなくなってしまった。
やっぱり、彼女もコンラッド先生のことが好きだから、さっきの彼の発言がショックだったのかな。
だけど、先生と俺はただ恋人ごっこしてるだけなんだけどな。
複雑な気持ちになった。
先生のことを大好きな子がたくさんいるのに、よりによって男の俺が、先生と恋人の振りしてていいのかな?
罪悪感のようなものが、心に芽生えて、俺の心に影を落とした。
「ユーリ」
いつもの本屋で、先生を待っていると、背後から甘い声と共に、抱きつかれた。
不意打ちな甘い動作に、俺の心にあったもやもやが、思いがけず消えてしまう。
一回り大きくて、長身の身体に抱きしめられる。相変わらず、先生の清涼感のあるフレグランスの香りが嫌味なく、漂う。
それにしても、やっぱり、先生はボディータッチが多い気がする。欧米か?!じゃなかった。実際、アメリカ人だもんな。
「大急ぎで、事務作業を片付けてきました。さぁ、行きましょう。ユーリ?」
「ありがとう!先生!」
いつでも、先生は優しい。
人ごみだらけのお祭りに、わざわざ仕事を早く片付けて連れて行ってくれるんだから。それも、これも、俺が赤点なんか取ったからデス。恋人の振りしてくれてありがとう、先生。
優しく微笑む先生につられて、自然とにっこり笑ってしまう。心の中が、じわっと暖かくなる。
咄嗟にコンラッド先生に、手を掴まれて、そっと恋人つなぎをされる。俺が恥ずかしがって、拒否する間も与えぬほどに、そのまま、颯爽と通りへ出る。こんな、塾の側で手を繋ぐなんて――。誰かに見つかったらどうするんだよ、ただでさえ男同士なのに。
けれど、先生の冷たくて、俺よりも長い指にドキッとしてしまう。しっかりと握り締められる安心感に、嬉しくなってしまう。そして、唐突で大胆な行動に、心が揺さぶられる。
いつもどおり、お洒落なスポーツカーに、二人で乗り込む。他愛も無い会話を楽しんでいると、腹の底に響く花火の音が近くに聴こえてきた。殊更に心が浮き立つ。
大渋滞を起こしている、お祭り会場付近の駐車場にようやく車を止める。
俺は、大急ぎで車から降りる。
盛大な花火が紫紺の空を金や銀、おまけに赤や青に輝かす。少し遅れて、花火の散った派手な音が、後を引く残響音を伴って聴こえる。全身に轟く音。
今、お祭りに来てるんだ、という喜びが湧き上がる。
けれど、色気より食い気の俺は、先生の手を引っ張って屋台に駆け込む。
「ユーリ、そんなに急いでも、屋台は逃げていきませんよ。可愛いですけど」
頭上から先生の柔らかい笑い声が、心地よく聞こえてくる。可愛いっていうのは余分だけど。
「ああ~、どれもこれも旨そう!いっぱい買っていい?」
眼をキラキラさせて先生を見上げる。
瞳を丸くさせて、気のせいか頬を朱に染める先生。けれど、すぐに余裕たっぷりの大人の顔で微笑まれる。細められた瞳が、花火の光で金褐色に染まっていた。
「ええ、もちろんです」
10分後、数々の戦利品を手に入れた俺は、先生と一緒に河川敷に腰を下ろした。
しっとりとした涼やかな川風が、優しく頬を撫でる。
僅かな月明かりと、花火以外は完全な暗闇だったので、座るまでに苦労した。それでも、先生が優しく誘導してくれたから俺は大分と楽だったんだけど。
おまけに、先生はご丁寧にも俺の座るところにハンカチを敷いてくれた。な、なんてレディーファースト。さすが、欧米、もとい、米。ってか、俺、レディーじゃないけど。
闇に包まれた所為で、周りにたくさん人はいるものの、お互いの顔は全く見えない。隣に座る先生の顔は辛うじてみえた。相変わらず美形ってことはよくわかる。
俺は、手元の食べ物を見つめて、にっこり笑う。
俺の戦利品―― 焼きそば、たこ焼き、フランクフルト、クレープだ。すばらしい!えっと、えくせれんと、だったかな?
月明かりと花火を頼りに、戦利品にがっつく。
先生も、アメリカ人の癖に違和感無く割り箸を使って焼きそばを食べている。いや、俺より箸の使い方が綺麗だ。こんな河川敷で、屋台の焼きそばを食べているだけなのに、絵になる。凛とした佇まい、背筋がびしっと伸びている。先生が箸を使うそのさまは、由緒正しい家元のご子息みたいだ。アメリカ人だけど。
日本語も流暢だし、親戚に日本人でもいるのかな?恋人ごっこしてる割に、俺って案外先生のこと何も知らないよな。
少し、切ない気分になった。
けれど、頭上で花開く光の輪に心を奪われて、そんな気分など吹き飛んでしまう。
勢いで、クレープにかじりついた。
隣で、先生がくすくす笑う声が聞こえた。
「ユーリ、いきなりデザートから食べるんですか?」
「はっへ、ふぁいすふぁとふぇふゃふひ(だって、アイスが溶けちゃうし)」
にわかに、先生の大きな手が俺の頭を撫でた。花火に染められてブルーの星を撒き散らす瞳は、優しく細められていた。
「ユーリ、食べながら話すと何を言っているか分かりませんよ。可愛いですが」
「ふぁふぁひひ、ひふな(可愛い、言うな)」
それでも、食欲に逆らえずに、クレープにかじりつきながら、先生に文句を言う。
先生は、徐に焼きそばと箸を下ろすと、俺のクレープも掴んで下ろす。
そのまま、俺の顎に手をかけて、信じられないことに、キ、キスをしてきた―― !
おまけに、口内に舌が侵入してきて、俺の口内に残るクレープを絡め取っては自身の口に移動させていく。
「は・・・っ」
ねっとりと熱い舌が、口内を撫で回すような感触に、全身が粟立つ。
おまけに、俺の身体が逃げないように、腰にきつく腕を回された。
いくら暗いとはいえ、周りにこんなにたくさんの人がいるところで―― !
恥ずかしさに、顔から火が出そうだった。目の前がちかちかした。
幸いだったのは、先程の花火で、小休憩に入ったことだ。
ようやく唇が解放された頃には、俺の口内のクレープは全て取り除かれていた。
え、エロ過ぎるよ、コンラッド先生っ!
真っ赤になって、先生を呆然と見つめると、熱い視線を送られた。先生は今、調度俺の口内から奪い取ったクレープを嚥下するところだった。彼の艶めいた喉仏がゆっくりと動いていく。
あまりの卑猥さに、見ていられなくて顔を背けようとしたら、川風が吹いたかのように、爽やかに微笑まれた。
「だってほら、ユーリが喋りにくそうだったから」
「先生のばかっ!」
俺に出来るささやかな抵抗といったら、耳まで真っ赤にして文句をいうだけだった。
先生に敵うはずが無い。
「ごめんね、本当はユーリが可愛くて、キスする口実にしたんだよ」
耳元で腰が砕けそうな甘い声でそっと囁かれた。
俺は、頭から湯気が出たのは言うまでも無い。
再び、夜空に豪快な光の花が咲き乱れた。鼓膜をびりびりと震わす大音響が、あとに続く。
俺は、照れくささから、再び食に走ることにした。正直、食欲は著しく停滞していたんだけど。
無造作に、フランクフルトを頬張った。
「あ・・・・・・」
花火を見ながら、咥えた所為で、ケチャップが口端についてしまった。
「わっ!」
唐突に唇の端を柔らかくて熱いものに覆われた。
またしても、先生にキスされていた。おまけに、唇を離すときにわざとチュッ、と湿った音を残していった。その湿った音は、花火の音にかき消されたのは、幸いだった。
けれど、花火の光で、俺達がキスをしていたことが周りに見られたかもしれない。
途端に、羞恥で全身が火照る。
もうすっかり先生のペースに呑み込まれてしまった。惚けたように、先生を見つめると、彼は少し意地悪に、口の片端を上げて微笑み返した。
その意地悪な顔を見て、何か、嫌な予感がした。
「ユーリは、花火鑑賞に専念して下さい。俺が、これを食べさせてあげますから」
そういうと先生は、俺の持つフランクフルトを取り上げた。そして、それを俺の口に捻じ込んだ。
「ンむっ――!っふ」
ありえないくらい深くまで咥えさせられた。しかも、それをゆっくりと引き戻していく。そして、再び中に深く突っ込まれては、緩やかに引き戻される。
サディスティックな顔を、金色に染めて見下ろすコンラッド先生。
こ、これって、もしかして、いや、もしかしなくても。エッチのときの行為の一種を、フランクフルトで模倣してるんだよな?
恥ずかしさに、顔が上気して、瞳の端に涙がうっすらと滲んでいく。先生の意地悪な熱い視線に、身体が火照っていく。
「ユーリ、どうしたんですか?そんな潤んだ瞳をして、ただのフランクフルトですよ?食べないんですか?」
白々しい台詞が、ひときわ羞恥心を刺激してくる。男の人の何て、当然咥えたことなんてない。だけど、まるで今口の中にあるフランクフルトの塊が、本物・・・・・・のような気がしてくる。
いや、それどころか、コンラッド先生のを咥えているような錯覚に陥って、恥ずかしさに眩暈がする。
顔が熱くて堪らない。口の中のフランクフルトの妙な弾力感に、全身が粟立つ。
美形の先生の瞳が冷徹なほどに細められている――その癖、蕩けそうに甘く微笑んでくれる。そんな、魅惑的な先生から眼が離せない。
ただ、熱くうっとりと先生を見つめてしまう。
にわかに、俺の口からフランクフルトが抜かれる。
先生は袋に俺の食料を一纏めにしてしまう。先生は、俺にその袋を手渡すと、そのまま俺の手を繋いで、エスコートしてくれた。
背後で、花火の音が甘く鳴り響いた。
★あとがき★
いつも拍手くださるかた、ありがとうございます。励まされます。書く意欲が沸きます。
なんか、どんどんコンラッドがエロくなっていきそうです(汗
ユーリ、頑張れ~~^^;)
右下に、なにやら裏口があります。英語。
よろしければ、大人の方だけお進み下さい。
第四話 裏 十八歳以上推奨です。
身体の芯まで響く、花火の轟音に背を向けながら、コンラッド先生に手を引かれて歩いた。
お祭りを楽しむ人々の脇を抜けて、二人、駐車場を目指す。
先生の手から伝わる熱が、全身を駆け巡る。
ずっと、ドキドキが収まらない。
車に乗り込んでからは、一層心臓の拍動が早くなる。
ツードアの狭い車内に漂う先生の甘くも清清しい香水。否応なしに、嗅覚が甘く苦しく刺激される。
手を伸ばせば、簡単に触れられてしまいそうな距離に、緊張が募る。とても、運転をしている先生のほうを見れない。
そう、俺が、こんなに心臓がバクバク言っちゃってるのは・・・・・・。
さっきの行為が脳裏に焼きついて離れない―― から!!
あんな、筒状の赤黒い物(いや、フランクフルトだから!)を口に突っ込まれて、出し入れされて!!
本当に、まるで、先生のをしてるみたいな気になってしまった。
健康な男子としては、いかがわしいビデオでそういうシーンをみたことはある。けれど、まさか自分がコンラッド先生のをすることを想像してしまうなんて―― !
俺、どうかしちゃったのかな?
もう、先生といると、自分で自分が分からなくなる。
ふと外の景色を見遣ると、とんでもないことに気づいた。
いつの間にか、俺達の車は細い山道を駆け上がっていた。車のヘッドライトが、頼りなげにコンクリートの斜面を照らし出す。
両脇には、真っ直ぐに伸びた背の高い針葉樹が、闇に紛れて連なる。魔女でも潜んでいるような、暗い森だ。いや、日本だから魔女はないか。
「せ、先生?!何で山の中?!」
「さぁ、何ででしょう」
先生は、すかしたような返答をする。
ま、まさか、山の中で、へ、変なことするんじゃ?!魔女が怒るぞ、じゃなくて、山ノ神に失礼だぞ。じゃない、じゃなくてっ!(一人ノリ突っ込み)
俺の中の、先程の妄想が大きく膨らんで、脳が桃色夢枕になっていく。なんじゃ、そら。というか、どうしよう?!
そんなひとり漫談の最中にも、どんどん車は狭い坂を登っていく。
山の中腹まで来たところで、ふいに右手の視界が開けた。
車が4台ほど停められる、展望台を兼ねた簡易休憩所だった。お店など何も無い、本当にただの駐車スペース。俺達以外、一台の車もいなかった。
車がそちらへ向かって右折をすると、4台の駐車場内の一番左端に、先生の愛車が停められた。
途端に、車のフロントガラス一面に夜景が広がった。
百万ドルの夜景とは言えないかもしれないけれど、自分の暮らす街の光は暖かくてノスタルジックだった。
その時、思いがけず空高く可憐な光の花が咲いた。ぬばたまの黒い空に、輝く紅い花。先程の会場で見た花火に比べれば、かなり小ぶりな光の輪。音もしない。
けれど今回は、眼下に、銀河のような夜景が広がっていた。
すごくロマンチックでびっくりした。
そういえば、ドキドキしてて忘れてたけど今日は花火を先生と一緒に観に来てたんだった。
「綺麗・・・・・・だな」
思わず感嘆の声が漏れた。その声は、先の興奮が冷めていないため、少し熱っぽく掠れてしまった。
「えぇ、可愛いです」
「なんだよ、可愛いって。あまり花火にいう形容じゃないだろっ?」
コンラッド先生のおかしな返答に思わず突っ込む。
先生は、身体を前に向けたままに、視線だけこちらへ寄こす。いわゆる必殺『流し目』だ。
高級感漂う外車の、今にも身体が触れ合いそうなツードアの車内では、その効果は計り知れない。まして、こんな美形な外国人教師が相手なら。
徐に頭を優しく引き寄せられる。左耳に、そっと囁かれた。
「いいえ、とても可愛いです・・・・・・貴方が」
甘くて上品な声が、またしても殺し文句を囁く。世界は広しといえど、こんなにキザなことをしても、まったく嫌味を感じないのは先生くらいのものだ。
俺はすっかり、全面降伏だ。
耳まで痛くなるくらいに血が上って、大人しく座っていることしかできない。
ふいに、両肩を掴まれて、顔を覗きこまれる。
暗くて、お互いの顔がよく見えない。そのためか、先生はひどく顔を近づけてくる。
薄闇に、ぞくっとするような熱い先生の視線が絡みつく。切れ長の色素の薄い瞳は、夜空に染まりウルトラマリンブルーの輝きを宿す。
彼の容貌は、綺麗すぎて怜悧な印象を与える癖に、絡みつく視線は野生的で熱い。ますます先生から眼が離せない。
先生に心臓の音が聞かれてしまうんじゃないかと思うほどに、胸が高鳴る。
胸の昂ぶりと比例するように、先の卑猥な行為が、鮮烈に蘇る。
金褐色の光を受けて、サディスティックに俺を見下ろしてきた先生。無理やりに、口の中に、フランクフルトをねじ込まれた。まるで、先生のを咥えさせられていると錯覚するような、意地悪な先生の顔。
どんどん、思考が霞んでいく。瞳孔が少しずつ開いて、焦点が合わなくなっていく。とろんと、甘えたような瞳で、先生を見つめてしまう。
ふいに、コンラッド先生が喉の奥で低く笑う。揶揄されているような、サディスティックな笑い。けれど、長い睫毛に縁取られた、夜を映す群青色の瞳―― それは、この上なく甘く優しく細められた。
「本当は、もう花火どころではないのでしょう?」
唇が、触れそうな距離での甘い囁きと、ぞくりとするような熱い視線に、全身が粟立つ。
甘い疼きが、急激な勢いで下腹部に沸き起こる。
見つめられただけで、反応してしまった身体が恥ずかしくて、俯いて必死でかぶりを振る。
「本当に可愛い人だ。それでは、肯定しているようなものですよ」
身体を抱き寄せられて、耳元に熱く囁かれた。
「ねぇ、ユーリ。先程から、何を想像していたんですか?とても潤んだ瞳をしていますが」
何もかも―― 俺がどんな卑猥な想像をしたかさえ、コンラッド先生にはお見通しだ。ますます、俺のそこが、はしたなく熱をもたげる。恥ずかしくて、瞳にうっすらと涙が滲む。
「今、ユーリが考えていることを俺にしてくれませんか?」
「ええっ?!」
あまりのことに、情けない声が漏れてしまう。ぴくっと身体が反応した後、緊張で身体が強張った。
けれど、熱い先生の瞳に促されるように、おずおずと、先生の洗練されたスーツのズボンに手を伸ばす。ベルトの金具に手を掛ける。
緊張で、指先が震える。
「おや、いやらしいですね。やはり貴方は、そのようなことを考えていたのですね」
この期に及んで、白々しくて意地悪な台詞が降り注ぐ。羞恥で顔を真っ赤に染めて、彼を見上げた。
けれど、そこには思いがけずとびきり優しくて、蕩けてしまいそうな笑顔があった。
「ウブな貴方には少し酷なことを要求しましたね。苛めてゴメンね」
コンラッド先生は、そっと俺を抱きしめると、唇を啄ばむような優しいキスをした。先生の柔らかい前髪が、俺の髪と混ざり合って、ふわりと気持ちよかった。
ふわふわと甘い気分の只中に、浮遊しかけた。
けれど、唐突に背中に衝撃が走った。強引に革張りの助手席に、身体を押し付けられてしまった。
「俺が、よくしてあげる」
逆光で顔の見えづらい先生の唇が、綺麗に笑みの形を作った。
突然のことに、面食らった。
けれど、先生?と訝しげに尋ねることさえ出来ぬ間に、激しい接吻けをされていた。
「はっ・・・んん・・・フ・・・・っはっ」
あまりの激しさに、どこで呼吸をしていいのか分からない。口内では、互いの舌がもつれにもつれ、卑猥な粘膜の擦れる感触に、身体が小刻みに震えてしまう。
「っハァ・・・・はぁっ・・・・!!」
永遠に続くかと思われた激しいキスが、唐突に終わる。先生の熱い唇が、唾液の糸を引いて離されたそばから、発作的に大量の酸素を吸い込んでしまう。肩で荒い息を繰り返す。
けれど、ゆっくりと息継ぎをする間も赦されぬ内に、柔らかい先生の唇に、首筋を甘く吸い付かれた。
「んんっ!やぁっ!」
突然、首筋にくすぐったいような、気持ちいい感触が沸き起こり、思いがけず女の子のような嬌声が上がってしまう。
そんな声を自分が出したのかと思うと、羞恥に身悶えてしまう。
先生は、首筋から鎖骨へとキスを降らせながらも、俺のTシャツを捲し上げてくる。外気に晒されて肌寒いと感じるよりも先に、身体の芯が強烈に疼いた。
敏感な胸の先端をきつく抓られたからだ。
「ひゃあっ!・・・・・そんなことっ! んアアっ!」
「可愛いよ、ユーリ」
コンラッド先生は、俺の耳元に唇を寄せて、腰にくる甘い声で囁いた。熱い息が耳に触れて、思わず身を捩る。その間にも、先生の長くて、節だった大人の指で執拗に胸の芯をこねまわされる。
じんじんと疼く欲望が、果てることなどないかのようにどこまでも膨らむ。
行為に及ぶ前から、すでに熱を持っていたそこは、ズボンを履いているのが苦しいほどに成長していた。すでに先端からは、耐え切れずに雫が溢れていた。
触れて欲しい・・・・・・。この前みたいに、先生の大きな手のひらで・・・・・・・。
堪らない渇望が湧き上がる。涙が溢れる。
気が遠くなるくらい、俺の胸を愛撫していた手が、ふいにその動きを止める。
その手は、ゆっくりと俺の皮膚を伝って下に移動してくる。そして、勿体つけたように、臍の周りを撫で回す。
じれったさに、思わず懇願するような瞳で、先生を見つめてしまう。
「ユーリ、いつからそんな淫乱な子になったんですか?そんな瞳で俺を見つめて。いけない子だ」
言葉で俺を辱めるくせに、先生はそこには触れてくれない。それどころか、繊細なタッチで、ズボンの上から大腿部を撫で回す。
衣服越しに腿の上で広がる、くすぐったいような甘い感触が、余計にズボンの中のそれを苦しめる。
もう・・・・・・限界。
「せん・・せ・・・・っ。が・・・・まん・・・・できな・・・アアっ。触って・・・・・・くださ・・・・・アアッ!」
先生の長い指は、器用に素早くベルトの金具を外す。ズボンは、下着ごとシートの下に摺り降ろされた。臀部が高級なシートの皮に直接触れて、全身が粟立った。
助手席に座ったまま、足元に衣服をもたつかせ、下半身を剥き出しにしている。
車の中で、たまらなく恥ずかしい、非常識な格好。その上、ねっとりと絡みつくような先生の視線に晒される。
身体は頼りなく震えてしまう。
「へぇ、ユーリはもうこんなにしてたんですね」
「・・・・・・」
上品な声の癖に、意地悪な台詞が俺を苛む。子供にお仕置きをする大人のような、非難めいた表情に泣きたくなった。
あまりの恥ずかしさに耐えられず、硬く眼を瞑った。
その一刹那に、極限まで熱を持って雫さえ零していたそこが、とてつもなく暖かくて柔らかい空間に含まれた。
「うあああっ!・・・・や・・・・・やだぁ・・・・・・ああっ!」
あまりのことに、眼を開けると、なんとコンラッド先生が身を曲げて、俺のを唇で覆っていた。それどころか、内部では熱くて器用な先生の舌が、俺の先端から溢れ出る蜜を掬い取るように蠢いた。同時に、大きな手のひらに優しく包まれて、激しく上下に扱かれた。
「やめ・・・・て・・・・アアっ!んんっ!おかし・・・・く・・・・なるっ」
俺に授業を教えてくれる先生の口に、よりによって性器を突っ込んでいるなんて―― !その上、こんなに舐められて―― !
あまりの背徳感に、全身が総毛立つ。
けれど、先生のもたらす刺激は、信じられないほどの甘い快感を呼び起こす。
狭い車内に卑猥な水音と、媚びたような俺の嬌声が響き渡る。
―― ?!
その時、暗いはずの駐車場に眩い光が差し込んだ。続いてタイヤがコンクリートの上を回転する音が聞こえた。
まさか、別の車が来たのか?!
思考の淵で、嫌な考えがよぎった。冷や汗が背中を伝う。
唐突に、先生の口から、いやらしく糸を引いて、熱くのたうつ物が引き出された。
突然、暖かいところから引き出されたそれは、外気に晒されて、頼りなく震えた。
「うぁぁ!」
思わず情けない悲鳴が漏れる。
「ユーリ、他にも人が来たようです。この車はツードアだからシートを倒せません。あまり身体を揺すらせたり、大きな声を出したら、俺達が何をしているか、すぐに分かってしまうでしょう。俺は構いませんが」
俺の膝元から、意地悪な瞳をした先生が、俺を見上げた。
「それでも、続きをしたいですか?」
先生の指先で、そそり立つそれを弾かれた。
「んああっ!」
途端に、待ちきれないとばかりにそこがぴくんと脈を打つ。それどころか、全身が揺らいだ。自身の雫と先生の唾液に塗れた卑猥なそこは、解放したくて、もうすでに我慢の限界だった。
「お・・・・ねがい・・・・コンラッド先生・・・・・。ちゃんと、言われたこと・・・・守るから」
頬に涙を伝わせながら、必死に彼に懇願する。
「エロい身体だなぁ、ユーリは」
甘い低音で、言葉攻めされたままに、突然敏感なものを扱き立てられた。
「ふっ・・・・んんーー! ンンー!」
限界まで張り詰めたそこに、先生は容赦なく手のひらと唇で、攻め立てる。
先生の喉元深くまで、包まれたかと思えば、ねっとりと熱い舌で舐め回される。気持ちのいいところばかりを掌が包んでは、急激に上下に動かされる。肉付きの少ない、ごつごつした先生の指の関節が、妙に気持ちよくて、気が触れそうになる。
先生の手と唇が、交互に、もしくは同時に、そこを苛める。
あまりの気持ちよさに、声を上げてしまいそうで、思わず自分の親指を噛んだ。
そのとき、突然俺の横の窓が、機械音を立てながら、全開にされた。
「んっ!!ング・・・・っ!」
あろうことか、先生が俺のそこを責めながらも、窓を開けるためのスイッチを押していたのだ。
先生に抗議をしたくても、下半身を苛む激しい快感が邪魔をする。抗議の声を皮切りに、隣の人に気づかれるかもしれない。
ああ、そんな。窓を開けたら、隣の車の人たちに気づかれやすくなるのにっ!
ますます、声を出すことと、感じることを抑えなくてはいけなくなる。気が狂いそうなほどの本来の衝動に、全力でブレーキを掛けなくてはいけなくなる。
それなのに、先生は、殊更にそこを吸い上げながらも、手で扱きあげる。むしろ、先程までの愛撫よりも数段エスカレートした。唾液塗れのそこから、卑猥な水音が漏れる。
親指を噛むだけでは、声を押し殺すことができなそうで、Tシャツを口元まで手繰り寄せて、思い切り噛んだ。
けれど、そんな格好の自分がいやらしくて、惨めで・・・・・・。
もう、恥ずかしくて、我慢するのが苦しくて、訳がわからなくなってきた。
先生の手がそこを擦り上げ、唇が激しく吸い上げたとき、目の前が真っ白になった。
「ン・・・んんっ、ンンーー !!」
腰の奥から、欲望の波が迸る。何も考えられないままに、コンラッド先生の口に、勢いよく液体を吐き出した。
―― Tシャツは、今にも噛み千切れそうだった。
「少し、苛めすぎたかな?ここ、泣いた後がある。ゴメンね」
先生は、俺の目尻に優しく接吻けてくれた。
先生は、俺のことを硝子細工を扱うみたいにそっと優しく抱きしめた。
「愛しています、ユーリ」
慈愛に満ちた柔らかい声が、俺をいつまでもその余韻に浸らせた。
★あとがき★
いつも、拍手くださる方、ありがとうです。
癒されます。書く気力が沸きます^^。
たまに、こういう駄文でいいのか不安に陥るので(汗
今回は裏だけに、エロエロになっていればいいのですが。(いいのか?)
意外と、エロの進展が遅い気がしますが、その分、マニアックな場面が多いというか(汗
ユーリの先が思いやられます。
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