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第五話 揺れる気持ち
※まだ彼らは夏休みです≪汗
これから、ちょっとずつ話に動きが出てくる予定。
今日は、登校日。久しぶりに、懐かしい顔に会えて嬉しいはずなのに。
俺の心は、ずっと霞が掛かったみたいにもやもやしていた。
半月ぶりの懐かしい教室の机に、突っ伏した。
コンラッド先生のことを考えると、胸がすっきりしないんだ。
彼は、訳あって、恋人ごっこをしてくれてる。
でも、先生はどうしてあんな、あんなエロいことをしてくるんだろう。
恋人ごっこだから、やむを得ずに、あんなことしてくるんだろうか?
彼との情事を思い出して、体温が急上昇した。エアコンのない公立の高校では、きつすぎる。
「ど~したの?渋谷?なんか随分と不良債権でも抱えちゃったみたいだね」
心が晴れない俺に、賑やかな友人の声が響いた。彼は、背格好も俺とあまり変わらない。強いて言うなら彼は、メガネをかけている。メガネ君、こと村田健だ。
脱力仕切って、机に伏せている俺を、悪戯っぽい瞳で覗きこんでくる。
「債権回収してくれるのかよ。って、俺の親父が、銀行員だからって、なんでも金融用語言うな!」
咄嗟に、言い返す。我ながら、いい漫才コンビだと思う。じゃなくてさ~。
俺は溜息をつくと、彼に悩みを打ち明けた。そう、コンラッド先生とのことを。こんなデリケートで難解な問題を相談できるのは、彼くらいだ。
普段は、ふざけたようなことしか言わないけれど、彼は俺を本気で馬鹿にしているわけではない。
それどころか、俺のことを大切に思ってくれてる、頼れる奴だ。
おまけに全国模試ではいつも東大がA判定の大賢者だ。
けれど、そんな彼が俺の相談を聞き終えて、眼鏡を曇らせた。彼の眼鏡は、心情を映すらしい。
低い声で彼は囁いた。
「渋谷、君は騙されてるんじゃないの?その先生に」
「そ、そんなことねーよっ?!」
思わず上半身を起こして、全力で否定する。俺の叫び声に驚いた周りの級友が、一斉にこちらを振り向く。俺と村田は、周りに何でもありません、と選挙立候補者のごとく、手をひらひら振って営業スマイルしてみせる。
クラスメートの視線が散ったところで、村田は、俺と先生の間に起きたことを、冷静に分析していく。いつの間にか村田は、出来る奴の顔になっている。
「英語の成績を上げるために、恋人のふりをするにしても、どうして渋谷にそんな性的なことまでするんだ?普通そんなことしないよ、良識ある大人なら」
友人の言葉は、胸の触れられたくないところを刺していく。けれど、彼はおかまいなしに、話を続けていく。内容が繊細な物なだけに、彼は声を潜める。
「おまけに、彼は『俺『も』君のことが好きだよ』って言ってきたんだろ?狡猾な大人の手口なんじゃないか?あたかも君のほうが、自分に惚れているように錯覚させて、その上キスなんかして、思考を麻痺させちゃったんじゃないの?・・・・・・まぁ、外見のいい奴にしか出来ない手口だろうけど。駄目だよ、渋谷。人を見た目で判断しちゃ」
彼の言葉がズキズキと胸を刺す。
それでも、彼の言葉が止むことは無い。彼はいつも率直に意見を言ってくれる。それは、嬉しいことなんだけど、玉に辛い。
聞いているのがしんどくて、俺は、また机に突っ伏した。
机に突っ伏す俺の耳元で、彼は、ひと際声を潜める。
「渋谷は、彼の性の玩具にされてるんじゃないか?僕は、それが心配だ。世の中には、いろんな性癖を持った人が居るんだ。渋谷みたいな少年がいいっていう輩もたくさんいるんだよ。学校では、僕が、そういうのを影から排除してるんだけどね」
再び、身体を起こして、彼を見た。
にわかに、村田の眼鏡が光る。たまに、光るんです、彼の眼鏡は。
おまけに、どさくさに紛れてとんでもない事実を発見した気がする。
新大陸を発見したコロンブスもびっくり的な。
いや、それより、何だよ、何だよ、『俺が先生の性の玩具にされてる』って!!
「渋谷、悪いことはいわない。ただちに、今の関係を解消するべきだと思う。何なら、僕が協力しようか?」
彼は、握手を求めるように、手を差し出してきた。
けれど、俺はそれを拒んだ。
「いい、いいよ!自分のことは、自分で何とかするよ。俺、村田みたいに頭の回転はいいほうじゃないけど、もう立派な高校生だよ!」
彼の協力を拒んだのは、そのくらい自分で何とかできるという自負の念もある。
でも本当は、それ以上に、先生との関係が終わるのが嫌だと思ってしまったから。
例え、村田の言うように、彼が俺のことをただの『遊び』としか見ていないのだとしても。
―― 俺とのことが『遊び』?
改めて、そう言い切ってしまうと、頭をガンと殴られたような衝撃が起こった。
違う、違う! 俺は、先生を信じてる。信じたい・・・・・・。
さっきまでは、先生が『俺の勉強意欲をあげるために恋人ごっこ』をしてくれてると思ってた。それでさえ、悲しくなってきたところだったのに。
―― そうだよ、俺、悲しかったんだよ!
だって、先生が俺に好きって言ってくれるのも、優しい笑顔も全部が、恋人としての演技だなんて、辛すぎるじゃん!
それなのにさ―― ただの遊び目的だったなんて、もっと嫌だよ! 嫌過ぎるよ!
嘘だろ?!
それってつまり、俺、先生のこと、本当に好き・・・・・・になっちゃったんだ?!
なんてことだろう、今頃、気づくなんて。
俺、随分前から、彼に惚れてたんだ・・・・・・。
あまりのことに、身体中の力が抜けてしまった。
今や、俺の机は、本来の役割を全く果たしていない、枕代わりになってしまった。
「渋谷?」
友人が心配そうに、俺を見つめていることに気が付いた。
「ご、ごめん。心配かけて。相談に乗ってくれて、ありがと、な」
村田は、力なく頷いた後、強い意志をもった眼差しで、こちらを見た。
「渋谷、君が性的なことを拒んでみればいいよ。彼の本性が分かるさ」
彼の助言が、いつまでも頭の中で響いた。
裏は、右下英語からお入り下さい。
大人の方だけお願いします。
第五話の続きです。十八歳以上推奨です。
登校日は午前中までだった。正午に家に帰った俺は、冷蔵庫の中から、作り置きのオムライスを食べたあと、ソファにだらしなく身を投げ出した。
お袋と親父は、日帰りで熱海に行くといっていた。勝利は、インターンシップとやらで会社勤めを体験しているため、今日も帰りが遅いらしい。
ソファに、転がりながら天井を見つめて溜息をついた。
村田に、コンラッド先生のことを相談したら、まさか、あんなことを言われるなんて。
思いもしなかった。そんな可能性があるなんてさ。
せ、先生が俺にえ、エロいことするために、恋人ごっこしてるなんて?!
村田には、先生が性的なことをしようとしたら、拒めばいいといわれた。
タイミングのいいことに、いや、悪いことに?、これから先生が家に来ることになっている。昨日電話で、先生を家に誘っていたから。
だって、勉強を教えてくれるっていうしさ。
俺は、先生を信じたい。だから、先生にとって俺が『遊び』だなんて、思いたくない。せめて、『勉強の意欲をあげるため』の恋人ごっこなんだって、願う。
でも、俺、もし先生にえ、エッチなことされそうになったら、拒んでみよう。
村田も心配して考えてくれたんだしさ。
そのとき、玄関のインターフォンの軽快な音が居間に鳴り響いた。
俺は、慌ててソファから飛び起きると、走って玄関に向かった。どれだけ悩んでいようが、先生に会えるのは純粋に嬉しい。
だって、俺、先生のこと好きみたいだし・・・・・・。今日、ようやく気づいたんだけど。
都心から電車で30分圏内の郊外に、渋谷家はある。裕福すぎず、貧しすぎない、平凡な庭付き一戸建て4LDKだ。
見慣れた木製の、玄関ドアを開けると、相変わらずカッコいいコンラッド先生が立っていた。
どうやら、午前中は塾で指導していたようで、ダークグレーの渋いスーツ姿だった。インナーは、オフホワイトのシャツで、タイはワインレッド色。
彼は、ブランドスーツの外国人モデルそのものだ。そんな先生を、玄関から迎えるのは、ドキドキしてしまう。
「い、いらっしゃい、コンラッド先生!」
先生にスリッパを差し出すと、先生はまだ、俺のほうをじっと見ていることに気づいた。
「せ、先生?」
「すみません、ユーリ。貴方の制服姿を初めて見たので、見惚れてしまいました」
相変わらず上品で甘い声が、玄関先で綺麗に響いた。
そうだった。俺、着替えるのが面倒でずっと制服を着てた。今は、夏服なので、半そでの白のカッターシャツと紺をベースにした赤の斜めストライプが入ったタイ、控えめなグリーンのチェックが入った濃紺のパンツだった。
それにしてもっ。
「そんなっ!俺なんて、見惚れられるほどのもんじゃないしっ。せ、先生の方が、ブランドスーツのモデルさんみたいだし!」
先生は、くすっと、優雅に微笑んだ。
「ユーリにそう言ってもらえると嬉しいな。それよりユーリ、一緒にケーキを食べましょう?」
そういうと、先生は持っていた袋を軽く上げた。先生に見惚れてて、すっかり袋が視界に入ってなかった。
「マジで?!買って来てくれたの?うれしい~!」
先生がソファでくつろぐ間に、冷蔵庫のアイスティーをグラスに注ぐ。アイスティーを2つ、テーブルに置くと、先生の横に座って、ケーキを選ぶ。
全部で6個のケーキは、どれも種類が違っていて、迷ってしまう。
ショートケーキ、レアチーズケーキ、プリン・ア・ラ・モード、ティラミス、イチゴのタルト、ガトーショコラ。どれも、俺の好きなのばっかり! 彩りも鮮やかで、見ていて楽しくなる!
「すっげ~、美味そう!! 俺、ティラミスでもいい?」
「いいですよ。俺は、レアチーズにしようかな。それにしても、ユーリがイチゴの載っていないケーキを選ぶのは意外ですね」
ケーキを小皿に取り分けながら、先生が爽やかに微笑んでくる。
俺は、少しむっとして言い返す。
「なんだよ、俺って、そんなにお子様なイメージなわけ?」
不意にコンラッド先生は、意味深に俺を見つめて、切れ長の瞳を細めた。
何かを言いたそうな、魅惑的な瞳にたじろいでしまう。
「失礼しました。貴方は、そんなにお子様ではありませんよ?」
「ぅわっ!」
唐突に、先生に制服のタイを掴まれ引き寄せられる。ダークブラウンの柔らかい瞳が、甘く俺を見つめてくる。
たちどころに、甘い空気が二人に漂う。ケーキの甘い香りも手伝って、雰囲気に酔ってしまいそう。
「ねぇ、ユーリ。ティラミスってイタリア語でセクシーな意味もあるんですよ。知ってる?」
いつのまにか、先生の唇は、俺の唇に触れそうな距離にあった。
「し、知らない。なに?」
ドキドキしていたら、突然、先生は俺から離れていってしまった。
ホッとしたような、残念なような。って、俺何を期待してたんだ?!
今日は、そういうことを拒まないといけないのに。
「後で、教えてあげる」
先生は少し意地悪な顔で、口角を片方だけ上げて微笑んだ。美形な人の何かを企むような顔は、とてつもなく綺麗で、心が揺さぶられてしまう。
彼は、机からケーキの載った皿を取って、ソファに座りなおすと、ケーキを口に運んだ。ジャパナイズされた渋谷家のソファでは、先生の長い脚は、窮屈そうだ。
俺も、なんとか、我に返ると、ティラミスを頬張った。
途端に、口の中に広がるエスプレッソのほろ苦い香り。同時に、チーズの混ざったメレンゲが甘く口の中で蕩けていく。
「うま~い!」
すっかり、色気より食い気が勝った俺は、がつがつとケーキを平らげた。
他にも、ショートケーキやイチゴのタルト(やっぱりイチゴが好きなんですね、と先生に笑われたけど)を平らげた。
だって、俺、育ち盛りだし。
「さぁ、ではユーリ。勉強しましょう」
おなかが一杯で、若干眠たくなった俺の前には、いきなり教師と化したコンラッド先生がいた。
「そんなご無体な~。なんか、もっと楽しいことしたいな」
ちらりと、先生の様子を覗き見ると、花が綻ぶような甘い顔で微笑まれた。けれど、碧色が混ざったような媚茶色の瞳は、絡みつくように熱くて、心が乱れる。
「大丈夫、勉強も楽しいですよ。さぁ、ユーリの部屋に行きましょう」
胸騒ぎがしながらも、先生を俺の部屋に案内した。
野球選手のポスターが貼られたいつもの部屋なのに。先生がいるだけで、まるで別の空間になってしまったような気がする。
勝利が部屋に来ると暑苦しいなぁ、と思う大きさの部屋だけど、先生と二人きりだと、すごく緊張する。
「ここが、ユーリの部屋なんですね。綺麗に整頓されてるんですね」
「あぁ、それは、お袋が片付けてくれるから。適当に座って」
とは言ってみたものの、座れるのは勉強机の前の椅子かベッド、もしくは、ワイルドに床しかない。
どうしよう、と悩んでいるのが顔に出ていたのか、先生が優しく微笑んでくれた。
「ユーリさえ差し支えなかったら、二人でベッドの上で勉強しませんか?」
先生は相変わらず、腰が砕けるような甘い声で言う。
たちどころに、顔から火が出た。
何だよ、その卑猥な響きは?! ベッドの上で勉強って、なんか、響きがエロい!
な、なんの勉強だよっ。
あ!ていうか、今日は、先生がエロいことしようとしたら、拒まないといけないのに。
早くも、ピンチ?!
俺の様子を見ると、先生は揶揄するように笑う。乾いた、意地悪な笑い。でも、やっぱり、瞳は甘く細められていて――。その相反する態度に、自然と鼓動が高鳴る。
「ユーリは、いやらしいなぁ。俺は、そのままの意味で言ったんですよ」
「―― うわっ!」
ベッドの前で立ち尽くす俺の両肩に手を置くと、彼は俺をそのままベッドの端に座らせた。先生は、机上の英語の教科書を取る。脚が長いので、ベッドから机までの距離、僅か1歩だ。俺なら3歩かかるところを。
先生は、流れるように優雅な動作で、俺の隣に腰を降ろした。
「ユーリ、これから俺が読むセンテンスを訳して」
彼は、俺に悪戯にウィンクを寄こす。間近でみる先生の睫毛が長くて、ドキッとした。彫の深い、美形の外国人教師が、肩を触れ合わすくらい近くにいる。それも、ベッドの上に。
「ユーリ、訳し間違えたら、ペナルティーがありますからね」
ぺ、ペナルティーってお笑いのコンビ名じゃないよな。
さらっと、とんでもないことを言い残すと、先生は教科書を読み上げる。
涼しい顔をして読み上げる横顔は、凛々しいし、声も綺麗です。
でも、でも、ちょっと待った。発音が良過ぎて聞き取れない!ネイティブだし。読むスピード早いしっ!しかも、多分、まだ習ってないところだ。おまけにどんだけ長い一文だよ。
もはや、主語さえわかんね~よっ!
これができたら、俺、そもそも、英語を勉強する必要ないから!赤点なんて、絶対取ってないから!!
「じゃ・じゃぱにーずいんぐりっしゅぷりーず」
惨敗!俺が、先生に言えたのは、これだけだった。なかなか的を得た名回答だと思うんだけど。駄目?
「ユーリ、少しも分からない?そう、じゃあ、ペナルティーだね」
「あっ・・・・! ちょっと!」
にわかに、先生の長い指が俺のタイを器用に解いていく。栗色の柔らかそうな先生の前髪がサラリと優雅に垂れる。
脱衣なの?脱衣マージャンならぬ、脱衣翻訳なの?
不安げに先生に視線を向けると、夏風のごとく爽やかに微笑まれた。綺麗な顔に圧倒されて、何もいえない。
「はい、ユーリ。第2問いきますよ」
そういうと、彼はまた流れるような英語を紡ぐ。
「・・・・・・降参です」
「ユーリ」
先生は、甘い溜息をつくと、俺のベルトに手を掛ける。
「ええっ?! ちょっと?!」
ベルトだけ取られるのかと思っていたら、呆気に取られている間に、ズボンまで脱がされた。
「2問目だから、2箇所のペナルティーです」
って、そんなの聞いてないし。
俺は、第2問目にして早くも、白のカッターシャツと、下着、紺の靴下の格好になってしまった。
恨みがましく先生を見つめると、優しく微笑まれた。
「ユーリ、第3問目はサービス問題ですから、安心してください」
端整な薄い唇から、囁かれたのは――。
''Kiss me, please''
切なく甘い声に、戸惑いそうになるけれど。
え?これだけ?これなら、どんなに発音が良くても分かるよ。
甘い瞳で俺を見つめ続ける先生に、答えを言う。そう、あくまで、答えを言ったつもりなのに・・・・・。
「キスして、お願い?」
「はい、ユーリ」
にっこりと、蕩けそうに甘い顔で微笑まれた。
面食らっていたら、長い指に顎を掴まれ、上を向かされた。続けざまに、唇を塞がれて、ベッドに押し倒された。
「――ッんんぅ!」
だ、駄目なのに。今日は、こういうこと拒まないといけないんだから。
先生の広い肩を、両手で押し遣った。スーツの乾いた衣擦れの音がむなしく響く。
すぐに唇が離されて、先生が怪訝な顔をして俺を見つめた。
「ユーリ?キス・・・・・したくない?」
綺麗な瞳が揺れている。凛々しい眉は、切なげに寄せられた。
そんな顔するなよ。
胸がズキンと痛む。
俺、駄目だ。先生を、拒むことなんて、出来そうもない。
先生が、好き。どうしようもなく、好きだ。
先生にとって俺が遊びだったら、きちんと断らないと、この先自分が傷つくことになる。それなのに・・・・・・・。溢れる気持ちは、抑えられない。
村田、ごめん。せっかく、心配してくれたのに。俺、先生が大好きみたい。だから、拒むなんて出来ないよ。
「コンラッド先生のこと、好きだよ。・・・・・・キス、やめないで」
「ユーリ、本当に大丈夫?・・・・・・愛しています」
彼の甘い唇がしっとりと、俺の唇を塞いだ。とても、甘くて、胸が痺れた。
優しく髪を撫でられて、じんとした。
ためらいがちに、唇が優しく離された。
「もう、逃げないで、ユーリ」
コンラッド先生は、キスを首筋にしながら、器用に制服のシャツを脱がしていく。
いつの間にか、すっかり肌蹴させられた上半身を、甘い唇が撫で下ろしていく。
くすぐったさと、気持ちよさがない交ぜになって、全身がゾクリと粟立つ。
「んあっ、せんせっ・・・・・・」
思わず、嬌声が上がってしまう。それに応えるように、不意に胸の尖りを指で抓られる。
「ひぁっ! んんっ!」
鋭い快感が、背中を駆け巡る。
びくびくと、震えてしまう。
「拒んだり、求めたり・・・・・・俺のことを惑わせて、いけない人だ。お仕置きに、たくさんいけないことしてあげる」
上品な声は、熱を含んでいて少し掠れ気味だ。そんな声に、下半身が疼いてしまう。
胸を愛撫していた手は、ゆっくりと皮膚を撫で下ろしていき、下着の中に入り込む。
胸を弄っていた手の代わりに、唇で、胸の先端を優しく含まれる。
「んやっ、ッああっ! 」
幾重にも重なる甘い刺激に、鼻に掛かったような、甘えた声が上がってしまう。俺の女の子みたいな声に触発されて、先生の愛撫は一段と激しさを増す。
先生の長い指が、下着の中ですでに窮屈になっていたそこに絡み付いてくる。俺より体温の低い先生の手は冷たくて、身悶えてしまう。
その上、そこを上下に擦りたてられる。その度に、先端から滲む雫が全体に塗り込められていく。
ヌメる卑猥な感触と、いやらしい水音が、俺の部屋に響く。
こんな、午後の光が差し込む明るい部屋に。
突然、下着を下ろされて、熱をもっていたそこが、勢いよく外に出た。先生は、上品な声で、卑猥な台詞を囁く。人差し指で、敏感なところをそっと撫でられる。
「ユーリ、ここ、こんなにぐちゃぐちゃですよ」
「いやぁぁっ、見ないでっ!」
こんな明るい部屋で、欲望に震えるそこを、先生に見られているのが、耐えられない。恥ずかしくて、硬く眼を瞑った。
「ねぇ、ユーリ。どうして、ほしい?」
甘い声で囁く先生は、焦らすように、そこには触れてくれない。
じりじりと湧き上がる欲望に耐えられず、そっと眼を開けた。涙で、視界が霞んでいた。
荒い息を吐き出しながら、ようやく言葉を紡ぐ。
「さわって・・・・ほしい・・・・・」
「よく言えたね、ユーリ」
先生は俺の上に跨ると、頬を伝う涙をキスで拭った。
「でもね、ユーリ。お願いをする前に、まずは、こちらの要望も聞いて貰えますか?」
潤む瞳で、彼を見上げる。ゆっくりと首を縦に振る。
彼は俺を抱き起こしながら、耳元で甘く囁いた。例の腰が砕けるような声で。
「ユーリ、俺のベルトを外して」
先生の手に優しく誘導されるまま、ベルトの金具を外す。
「ほら、ファスナーを降ろして」
耳元の甘い声に促されるように、そっと金属を掴み、下げていく。
思いがけず先生の硬い物に手が触れてしまい、反射的に手を離そうとした。
けれど、素早くその手を掴まれて、そこに触れさせられた。
「――っ!」
俺のとは比べ物にならない大きさに、息を呑んでしまう。
「ユーリ、この前、俺が貴方にしてあげたことを、覚えてる?」
唐突に、大きな手で肩を抑え付けられる。
気がつくと、目の前には先生の物が・・・・・・。
「ユーリ、復習ですよ。さぁ、頑張って」
まるで、参考書を解きなおしてください、とでもいうような物言いに、羞恥心がひときわ煽られる。実際は、こんなにいやらしいことをしようとしているのに。
いつだって心が揺さぶられて、先生に支配されてしまう。
頭の芯まで、甘く痺れてしまった。
「んムッ・・・・・・っぅ」
素直に、従順に、信じられないくらいの大きなそれを口に含む。
大きくて、顎が苦しい。
この前先生がしてくれたように、自分なりに模倣してみる。
「っ、ユーリ、上手だよ。そんなに舌を使って。本当に、初めてなんですか?」
ふいに、先生の声が低くなり、思わず先生を見上げた。咥えながらも、懸命に首を縦に振る。先端が喉の奥を突き、苦しさに涙が滲み、嗚咽が漏れる。
そんな俺をみると、先生のダークブラウンの瞳が甘く細められる。けれど、綺麗な形の唇は、少し意地悪に歪められる。
「そうですね、ユーリは、いやらしい子でしたね」
口の中で、先生のそれはまた硬度を増した。
俺自身のそこも、ぴくぴくとはしたなく脈を打っていた。
もうずっと、卑猥なことをさせれて、言葉で責められるのに、少しも先生はそこに触れてくれない。
極限まで熱をもったそこは、解放を求めて、どんどん雫を滴らせている。耐えられずに、太ももでそこを擦ろうとした。
「ユーリ、何をしているのですか?はしたないなぁ。そんなに、我慢できませんか?」
サディスティックな言葉に、責められる。けれど、そんな言葉は、ますます熱を高めるだけで、一向に楽にはならない。
「エロいユーリも、好きですよ」
意地悪で甘い囁きに、早く解放されることを期待して、そこが跳ねた。
それなのに、口の中にさらに先生の指を含まされた。
ただでさえ、口内は大きな塊で満たされているのに、容赦なく、長い人差し指と中指がねじ込まれてしまった。
「っん・・・ぅ・・・・・・・ふっンん」
長い指は、俺の舌を撫で回していく。唾液の分泌量が、尋常ではなくなる。
口をいっぱいに広げられて、だらしなく口端から唾液が伝う。
それでも、先生はそこには触れてくれなくて。
抗議したくても、口には色々なものを捻じ込まれていて。
「んん・・・・ぅ・・・・っ・・・ンむっぅ」
情けない嗚咽ばかりが漏れる。
涙も、唾液も、意思とは関係なく、溢れてしまう。
それなのに――。
唾液の糸を引いて、先生の指が引き抜かれた。
若干、口内に余裕が出来て、少し身体が弛緩する。
「ユーリ、腰を上げて」
俺は、ベッドに腰掛ける先生に、寝転がるような姿勢で横から奉仕していた。先生は、そんな俺に、腰だけを上にあげるという、卑猥な格好を要求してくる。場違いな程に、上品な声で。
解放されたくて、おかしくなりそうな俺は、従順にそんな卑猥なポーズをしてしまう。それも、先生の物を咥えながら。
「ぅンんっ!! いやぁぁ!!」
電流が身体を突き抜けたような、鋭い感覚が身体を襲う。
先生の長い指は、一番触れられたくない、双丘の間の窪みに侵入していた。
あまりのことに、先生の物を口に含む余裕など無くなってしまった。
かぶりをふって、懸命にやめて、と伝えるのに、先生の長い指は、少しずつ内部に埋めこまれる。
異物感に、全身が緊張して、冷や汗が出る。
突然、指が引き抜かれた。
緊張から解放されても、まだ呼吸は浅かった。
ふわりと、身体が宙に浮いたかと思ったら、優しくベッドの中央に寝させられた。仰向けの状態で。
「ユーリ、可愛いよ」
甘ったるい囁きと共に、熱い唇でキスされた。
身体の緊張が解れていく。
先生は、絶妙のタイミングで再び、そこに指を入れる。少しずつ、侵入してくる指は、肉壁を微細に刺激してくる。
けれど、緊張が走る度に、先生の甘い声とキスが優しく降り注ぐ。
いつの間にか、異物感を感じていたはずのそこは、おかしな疼きに満たされた。先生が奥深く指を突き入れる度に、俺の先端は、びくびくと震え、雫を零す。
「ああっ! コン、ラドせ、んせい、もう、ほんとに、だめ・・・・イっちゃう・・・ヒアアッ!」
今にも果ててしまいそうなとき。よりにもよって、そこの根元を、きつく掴まれた。長い指も、勢いよく引き抜かれた。
「まだ、イかせてあげない」
残酷な台詞が甘い声で囁かれた。彼は、指とは比べ物にならない彼自身の先端を捻じ込んだ。熱くて、硬い、大人のそれを。
大きな質量を受けて、俺の内部は悲鳴を上げる。おまけに、いいかげん焦らされすぎた先端は、今にもその欲望を吐き出したくて堪らなくて――。
「く、るしい。た、すけて・・・・・」
息も絶え絶えに、潤む瞳で彼を見つめる。すがりつけるのは、コンラッド先生しかいない。
「苛めてゴメンね。ユーリが可愛くて。今、楽にしてあげる」
先生は、俺の髪を撫でて、甘く見つめた。
鼻の奥が、今までと違う涙でツンと痺れた。
けれど、それはほんの一瞬で。
怒涛のように押し寄せる快楽の波。波にさらわれて、自分の身体が消えてしまったような錯覚に陥った。そこにあるのは、快楽に溺れる意識だけ。
熱くて、大きな質量が、内部を蹂躙し、激しい挿入を繰り返す。
焦らしつくされた、先端は、大きな掌に包まれて、甘く激しく攻められる。
「あああっ、もう、だめっ、イかせて・・・・っ!!」
迸る快感のままに、全てを放出した。
遠くなる意識の淵で、それが、ティラミスの危険な意味だよって、教えられた。
眼が覚めると、いつのまにか俺は制服を着ていた。シーツの乱れも綺麗に直されていた。
それに何より、ずっと先生の膝の上に寝かされていたみたいだ。ベッドの上なのに・・・・・・。
俺が起きたのに気がつくと、優しく頭を撫でられた。
どうして、そんなに大事にしてくれるの?
でも、それも、恋人ごっこなの?
それどころか、遊びなの?
溢れそうになる涙を、無理やり笑顔に変えた。
「コンラッド先生、大好き」
ぎゅっと、先生の腰にしがみ付いた。そうしていないと、悲しくて。
「俺も、あなたのことが大好きです」
その言葉が、聴きたかった筈なのに。
どうして、こんなに寂しいんだよ。
あとがき★★
エロが無駄に長くてすみませんm( )m纏め方が分からない;
ユーリは、いっきに大人の階段を登ってしまいました≪汗
なにやら、シリアス風味になってきました。
もうひと波乱の後、二人のすれ違いが重なるのか?!
文章力が拙いですが、楽しんでもらえたら嬉しいです。
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