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2009.4.22設置 『今日からマ王』メインです。 
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2010/04/05 (Mon)                  ヨザコン風味SS  ボーダーライン

 


ーダーライン


 おぼつかない足取りで、ふらふらと酒場に入る幼馴染の姿が目に入った。
 
 ―― ったく、世話の焼ける奴だよなぁ。一国の王子の癖に。

 幼馴染は、冷めた顔をして酒場のカウンターの端に腰を下ろしていた。薄暗い場末の酒場でも、彼の口の端にある、赤紫色の真新しい痣がよくみえた。元が綺麗な顔だけに、痛々しさが際立つ。その上、士官学校の制服の飾り釦が引きちぎれて、着衣が乱れていた。

 俺は、無遠慮に彼の隣に腰を並べて、マスターに酒を頼む。
 俺の存在に気づいても、まるで興味がなさそうに頬杖をついたまま、彼はぼんやりと正面を見つめていた。

「コンラッド、相変わらずやんちゃ王子っぷりを発揮してんなぁ」

 そっと、人差し指で、彼の口の端の痣に触れる。その痛みに、顔を一瞬歪めると、彼はこちらを一瞥した。

「また、お前か。放っとけよ」

 そっけなくこちらを見つめる瞳は、長い睫毛に縁取られており、綺麗な琥珀色をしている。
 無感情そうにぼんやりと俺を見返す彼は、どこか憂いを秘めていた。

「……それで、放っておけ、といわれてもねぇ」

 コンラッドの手首を悪戯に掴んで、強引にこちらを向かせた。

「ヨザ……!」

 強引な動作に、幼馴染は薄茶の瞳を瞠(みは)らせる。その刹那に、ようやく瞳の焦点が合う。彼本来の濁りのない真っ直ぐな眼差しに、少し心がほっとする。

「よかった、やっとこっちを見てくれてっ」
「何を、馬鹿なことを言って。お前は、俺を追い回すのが趣味なのか?」

 コンラッドは、少しだけ相好を崩す。その柔らかな微笑み方は、とても品がよくて、彼の育ちの良さが如実に表れている。

「う~ん、一体その可愛い笑顔に、どれほどの男女が虜にされてんだろう? 本当に、綺麗な顔してるよなぁ」

 酒に酔うと、妙に人肌恋しくなる。俺は、コンラッドの頬から首筋にかけて、馴れ馴れしく指を滑らせていた。コンラッドも酔っているのか、抵抗してこない。彼は、白い頬を酒のせいか、僅かに朱に染めて、視線をそらす。吸い付くような滑らかな肌から、なかなか指を離せなくなっていた。

「お前もか?」
 コンラッドは、唐突に低い声で尋ねると、俺の指に自身の指を絡ませてきた。
 猫のようなしたたかな瞳に、下から見上げられて、俺は言葉なく彼を見つめた。
 喉仏がごくりと鳴ったのを、コンラッドに聞かれなければいいのだが。

「お前も、俺を好きなようにしたい……と思うか?」
 そっと、彼は俺の耳元で囁いた。聞いたこともないような、掠れた甘ったるい声だった。

 再び、俺を下から見上げるように眺めると、ひどく淫らに微笑んだ。絡められた指先を優しく握り締められた。

「俺のことを、好きにしても構わない。好きにしろよ、ヨザ」
「コンラッド?!」

 濡れたような切ない瞳で、見上げるコンラッドの手を強引に引っ張って、酒場の2階へ連れて行った。酒場の2階は、大抵が宿屋を兼ねていて、簡易なベッドや家具がしつらえてある。
 木目の扉を乱暴に閉めると、コンラッドをベッドの上に押し倒した。簡素なベッドが、むなしく軋んだ。

 誘うように媚を売るコンラッドに、理性が乱されていたのも事実だった。けれど、それ以上に、無性に腹が立っていた。

「あんたからのお誘いだ。好きなようにさせてもらうよ!」
「……っ」

 俺は、彼に跨ると、性急にコンラッドの制服を剥ぎ取っていった。ようやく晒された白い肌には、桜色の無数の痣が散っていた。明らかに、戦いで出来る類のものではない。むなしさと怒りに我を忘れて、そのままベルトを外し、ズボンも脱がせた。
 白い肌を上気させて、少し戸惑うような瞳でコンラッドは、こちらを見上げてくる。まさか、俺が本気であんたを襲うなんて思ってなかったんだろう。
 けれど、その瞳は、先ほどまでの淫らなものよりもずっといい。感情が覗えるから。

 俺は、白い肌に散った赤い跡を指先でそっと辿っていた。そのまま、指をするりと滑らせて彼の双丘の間に触れた。

「……っ!」

 コンラッドは、快感というよりも、ひどい痛みに顔を顰(しか)めた。そこは、散々蹂躙されたあとなのか、ひどく熱を持っていた。触れられるだけで、激痛が走るのだ。どれだけの目に遭わされていたのかは、想像がつく。士官学校で、純血主義のエリート魔族達の嫌がらせにわざと抵抗しなかったのだろう。

「こんなに、痛そうなのに、本当にあんたを好きにしてもいいっていうのか?」
「ああ、構わない。俺のことなど、誰もかも好きに扱えばいい……!!」
「ああ、そうかよ! じゃあ、覚悟しな!」
「―― !!」

 俺は、コンラッドの大腿部を大きく開かせると、彼は後孔が外気に触れたのか、いっそう苦痛に顔を歪ませる。けれど、その表情を見せたのは、ほんの一瞬のことだった。すぐに、妖艶な媚びるような表情に摩り替えられた。
 そんな彼の様子に、俺の中で静かな怒りと悲しみが沸いた。

「……あんたは、馬鹿だ。俺をどこかの変態魔族と一緒にすんなよ。俺にまで、そんな可笑しな媚びた真似すんな」
 俺は、ベッドから降りると、床に投げ捨ててあった彼の制服を拾い上げた。
「ヨザ?」
 怪訝な顔で、俺を見上げるコンラッドの上に、先ほど脱がせた制服を投げつけた。ついでに、軟膏も投げつけた。

「あんたは、もっと自分を大事にしたほうがいい。その薬、後ろに塗っときな、少しは痛みもましになる」

 コンラッドは、上体を起こして、ばつが悪そうに俺をみた。そんな顔のほうが、よっぽどいい。あんな嘘っぽい媚びる顔よりも。

「すまない、ヨザ。気を遣わせて。色々あって……どうかしていた」
「別にぃ、いいぜ。だって、俺らは幼馴染だろ? あんたのすることに口出しはしねぇけど、いつだって頼ってこればいいんだぜ?」

 本当は、口出しもしたいところだ。正直にいうと、あの赤い痣と、痛々しい患部には堪えた。もっと慰めてやりたい。けれど、その裏には、気づいてはいけない独占欲が渦巻いている。
 そこに、越えてはいけない境界線がある。

 俺は、悪戯に片目を瞑ると、彼に背中を向けて、酒場を後にした。

 ふわりと、品のよいその微笑みに、後ろ髪を引かれながら。


 

★あとがき★

初のヨザック視点なのでどうでしょう(汗)
二人の関係は、曖昧で『恋に近い友情みたいなもの』を書きたかったけど撃沈ですよ~。ヨザックは、このSSでは、完璧にコンラッドに恋してますよね。
そういう曖昧なものって、難しいですね。楽しかったですけどね^^というか、もっとがっつりいってしまえ~とも思ったり(汗)
 でも、そうすると、コンユにしたとき過去のヨザコンはどうなるんだ? とか悩んだり。管理人が、コンユ好きなのに、コンラッド受けも好きなのがいけないんだ~(!)
 夢落ちシリーズなら、どうどうとヨザコンえっちが書けるんだけどなぁ。


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