2009.4.22設置
『今日からマ王』メインです。
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第十三話 告白
※ヴォルユです。ユーリがヴォルフラムに、迫られるお話です。
ヴォルフラムに、恋人つなぎで手を握られたまま、俺達はカフェテリアに着いた。新緑の中に佇む、レンガ造りのカフェテリア。同じくレンガ造りの校舎とは、徒歩3分くらい離れた所に建てられている。
着いた途端、視線が俺達に集中する。
ヴォルフラムのファンと見られる生徒達からの視線が痛いんですけど・・・・・。
我関せずの態度で、俺の手を引っ張っていくヴォルフラム。
俺達が近づいていくと、今まで料理の注文の順番待ちをしていた生徒達が、列を譲る。
「な、何?このVIPな待遇は?」
俺は、彼に尋ねる。
「あぁ、気にするな、ユーリ。ここの学園の理事長は俺の叔父だから、皆、気を使ってくれているのだろう」
さらり、といいのけるヴォルフラム。
で、出た~、超金持ち設定。じゃなくて!!普通、そんなことで権利を振りかざすのはよくないだろ。
俺は、ヴォルフラムをたしなめる。
「そうじゃないだろ、ヴォルフ。そんなことで、権利を濫用してちゃ、友達がいなくなるぞ。さぁ、こっち、こっち」
俺は、元気よくヴォルフラムの手を引っ張ると列の最後尾に並ぶ。
「な、何でそうなるのだ!!まったく・・・・・お前という奴は・・・・・」
ヴォルフラムは、頬を染めて、ぶつぶつと小言をいう。けれど、ヴォルフラムは、どことなく嬉しそうに見える。
ちゃんと、列に並んで、俺達はそれぞれの料理を頼む。
俺は、カニクリームコロッケ定食を。ヴォルフラムは、モッツァレラチーズとバジルのトマトソースパスタを。
他愛も無い話をしながら、オープンテラスの席で昼食をとる。心地のよい春風に、髪の毛をくすぐられながら。
俺は、ヴォルフラムの食べているパスタが、どうしても食べてみたくなった。
「なぁ、ヴォルフ~。それ、一口頂戴?」
俺は、ヴォルフラムの皿に自分の箸を突っ込むと、焼きそばのように、パスタをつかみ口に放り込む。
「ユーリ、行儀が悪いぞ」
ヴォルフラムのお叱りを受けながらも、そのパスタの美味しさに俺は頬が緩む。
「んまい!!」
夢中で、口の中のパスタを味わい、咀嚼する。
あぁ、旨い。しあわせ~。あ、でも、コンラッドのつくってくれた料理のほうが美味しかったな。だめだだめだ、また、悲しくなりそうだ。えーい、考えるな、俺!
「全く、お前は・・・・なんて・・・・かわいい顔をするんだ」
ヴォルフラムが、何かを小さい声でつぶやいているのが聞こえた。
ヴォルフラムが、真っ赤な顔で、俺をずっと見つめている。
ん?何だろう?あ、そうか。ヴォルフラムも俺の頼んだ料理が食べてみたいんだな。
「ヴォルフラム、はい、あ~んして」
俺は、自分の皿からカニクリームコロッケを箸で切り分けると、ヴォルフラムの口元に持っていく。
ヴォルフラムは、耳まで真っ赤にしてそれを口にする。
「そんなに、真っ赤になるまで俺のカニクリームコロッケが食べたかったんだな。あはは、それなら、早くそういえばいいのに」
俺は、にっこりとヴォルフラムに笑いかける。
がたん!!
派手な音を立てて、いきなり、ヴォルフラムが席を立つ。
真剣な表情で俺を見つめるヴォルフラム。
「ユーリ、お前に話がある」
ヴォルフラムは、俺の手を強引に引っ張って、裏庭に連れて行く。
「あぁ、まだ、俺のご飯が~~!!」
なんか、いつもヴォルフラムに連れまわされている気がするんですけど・・・・。
裏庭には、200種1800株もの薔薇が咲き誇るイングリッシュ・ローズ・ガーデンがある。薔薇は、ふんわりと、蕾を膨らませ、花開くのを待ち焦がれている。
ほのかに、薫る上品な薔薇の香り。
ヴォルフラムが、突然立ち止まり、俺に向き合う。薔薇に囲まれながら。
「ユーリ・・・・・好きだ。好きでたまらない・・・!!さっきも、僕のことを注意してくれて、料理を注文するのにきちんと列に並ぶことを教えてくれた」
少し暗い表情で、続けるヴォルフラム。
「皆、僕が理事長の甥だからと、距離をとっていて、誰も本音でぶつかってくれないんだ。だから、ずっと、僕は孤独だった」
突然、顔を輝かせて、話を続けるヴォルフラム。
「でも、お前はそんなことおかまいなしに、いつだって、正面から僕にぶつかってくるんだ。だから、だから、僕は、お前が好きでたまらない。いつも、旨くはぐらかされるけど、もう・・・・これ以上、僕から逃げないでくれ!!」
両肩をきつく掴まれる俺。俺は、ヴォルフラムの真剣な熱いまなざしに射抜かれる。
見たことも無いような、彼の表情に、俺の胸が熱くなる。けれど・・・・何かが胸にひっかかるんだ。
刹那、庭の奥のほうに一組の男女の姿が眼に映る。あれは・・・・コンラッドとジュリアさん!!楽しそうに、微笑みあっている。
見た瞬間、鋭く胸が痛んだ。
そんな、俺との昼食を断って、彼女と一緒にお昼をすごすなんて・・・・どういうことなんだ?!
呆然と立ち尽くす俺の目の前に、影が覆う。
ー!?
ヴォルフラムが俺の腰に両手をきつく回しこんで、俺の唇を自身の唇で覆っていた。
俺は、突然の、柔らかくて、甘い、ヴォルフラムの唇の感触に驚く。
唇を合わせるだけの、誠実な口付け。
けれど、なかなかヴォルフラムは俺を離してくれない。
彼の熱く、切羽詰った想いが胸に染み込む。
けれど・・・・。
ようやく、俺は唇を解放される。
切ない表情のヴォルフラムと眼が合う。
「ごめん・・・・お前を追い詰めて。本当はお前が、他の奴を好きなことは・・・・なんとなくわかるんだ。わかってるんだ・・・・だけど、だけど、それでも、かまわない!!僕は、お前が僕のことを好きになってくれるまで、いつまでも待っているからな!!」
今にも泣きそうな、潤んだ大きな瞳を輝かせて、声高らかに宣言するヴォルフラム。そして、俺に踵を返すと、薔薇の庭を走り去っていく。
俺は、複雑な想いを抱えて、彼の華奢な後姿を呆然と見つめていた。
事の成り行きを、コンラッドに見られていることも知らずに。
第十三話 =完
※ヴォルユです。ユーリがヴォルフラムに、迫られるお話です。
ヴォルフラムに、恋人つなぎで手を握られたまま、俺達はカフェテリアに着いた。新緑の中に佇む、レンガ造りのカフェテリア。同じくレンガ造りの校舎とは、徒歩3分くらい離れた所に建てられている。
着いた途端、視線が俺達に集中する。
ヴォルフラムのファンと見られる生徒達からの視線が痛いんですけど・・・・・。
我関せずの態度で、俺の手を引っ張っていくヴォルフラム。
俺達が近づいていくと、今まで料理の注文の順番待ちをしていた生徒達が、列を譲る。
「な、何?このVIPな待遇は?」
俺は、彼に尋ねる。
「あぁ、気にするな、ユーリ。ここの学園の理事長は俺の叔父だから、皆、気を使ってくれているのだろう」
さらり、といいのけるヴォルフラム。
で、出た~、超金持ち設定。じゃなくて!!普通、そんなことで権利を振りかざすのはよくないだろ。
俺は、ヴォルフラムをたしなめる。
「そうじゃないだろ、ヴォルフ。そんなことで、権利を濫用してちゃ、友達がいなくなるぞ。さぁ、こっち、こっち」
俺は、元気よくヴォルフラムの手を引っ張ると列の最後尾に並ぶ。
「な、何でそうなるのだ!!まったく・・・・・お前という奴は・・・・・」
ヴォルフラムは、頬を染めて、ぶつぶつと小言をいう。けれど、ヴォルフラムは、どことなく嬉しそうに見える。
ちゃんと、列に並んで、俺達はそれぞれの料理を頼む。
俺は、カニクリームコロッケ定食を。ヴォルフラムは、モッツァレラチーズとバジルのトマトソースパスタを。
他愛も無い話をしながら、オープンテラスの席で昼食をとる。心地のよい春風に、髪の毛をくすぐられながら。
俺は、ヴォルフラムの食べているパスタが、どうしても食べてみたくなった。
「なぁ、ヴォルフ~。それ、一口頂戴?」
俺は、ヴォルフラムの皿に自分の箸を突っ込むと、焼きそばのように、パスタをつかみ口に放り込む。
「ユーリ、行儀が悪いぞ」
ヴォルフラムのお叱りを受けながらも、そのパスタの美味しさに俺は頬が緩む。
「んまい!!」
夢中で、口の中のパスタを味わい、咀嚼する。
あぁ、旨い。しあわせ~。あ、でも、コンラッドのつくってくれた料理のほうが美味しかったな。だめだだめだ、また、悲しくなりそうだ。えーい、考えるな、俺!
「全く、お前は・・・・なんて・・・・かわいい顔をするんだ」
ヴォルフラムが、何かを小さい声でつぶやいているのが聞こえた。
ヴォルフラムが、真っ赤な顔で、俺をずっと見つめている。
ん?何だろう?あ、そうか。ヴォルフラムも俺の頼んだ料理が食べてみたいんだな。
「ヴォルフラム、はい、あ~んして」
俺は、自分の皿からカニクリームコロッケを箸で切り分けると、ヴォルフラムの口元に持っていく。
ヴォルフラムは、耳まで真っ赤にしてそれを口にする。
「そんなに、真っ赤になるまで俺のカニクリームコロッケが食べたかったんだな。あはは、それなら、早くそういえばいいのに」
俺は、にっこりとヴォルフラムに笑いかける。
がたん!!
派手な音を立てて、いきなり、ヴォルフラムが席を立つ。
真剣な表情で俺を見つめるヴォルフラム。
「ユーリ、お前に話がある」
ヴォルフラムは、俺の手を強引に引っ張って、裏庭に連れて行く。
「あぁ、まだ、俺のご飯が~~!!」
なんか、いつもヴォルフラムに連れまわされている気がするんですけど・・・・。
裏庭には、200種1800株もの薔薇が咲き誇るイングリッシュ・ローズ・ガーデンがある。薔薇は、ふんわりと、蕾を膨らませ、花開くのを待ち焦がれている。
ほのかに、薫る上品な薔薇の香り。
ヴォルフラムが、突然立ち止まり、俺に向き合う。薔薇に囲まれながら。
「ユーリ・・・・・好きだ。好きでたまらない・・・!!さっきも、僕のことを注意してくれて、料理を注文するのにきちんと列に並ぶことを教えてくれた」
少し暗い表情で、続けるヴォルフラム。
「皆、僕が理事長の甥だからと、距離をとっていて、誰も本音でぶつかってくれないんだ。だから、ずっと、僕は孤独だった」
突然、顔を輝かせて、話を続けるヴォルフラム。
「でも、お前はそんなことおかまいなしに、いつだって、正面から僕にぶつかってくるんだ。だから、だから、僕は、お前が好きでたまらない。いつも、旨くはぐらかされるけど、もう・・・・これ以上、僕から逃げないでくれ!!」
両肩をきつく掴まれる俺。俺は、ヴォルフラムの真剣な熱いまなざしに射抜かれる。
見たことも無いような、彼の表情に、俺の胸が熱くなる。けれど・・・・何かが胸にひっかかるんだ。
刹那、庭の奥のほうに一組の男女の姿が眼に映る。あれは・・・・コンラッドとジュリアさん!!楽しそうに、微笑みあっている。
見た瞬間、鋭く胸が痛んだ。
そんな、俺との昼食を断って、彼女と一緒にお昼をすごすなんて・・・・どういうことなんだ?!
呆然と立ち尽くす俺の目の前に、影が覆う。
ー!?
ヴォルフラムが俺の腰に両手をきつく回しこんで、俺の唇を自身の唇で覆っていた。
俺は、突然の、柔らかくて、甘い、ヴォルフラムの唇の感触に驚く。
唇を合わせるだけの、誠実な口付け。
けれど、なかなかヴォルフラムは俺を離してくれない。
彼の熱く、切羽詰った想いが胸に染み込む。
けれど・・・・。
ようやく、俺は唇を解放される。
切ない表情のヴォルフラムと眼が合う。
「ごめん・・・・お前を追い詰めて。本当はお前が、他の奴を好きなことは・・・・なんとなくわかるんだ。わかってるんだ・・・・だけど、だけど、それでも、かまわない!!僕は、お前が僕のことを好きになってくれるまで、いつまでも待っているからな!!」
今にも泣きそうな、潤んだ大きな瞳を輝かせて、声高らかに宣言するヴォルフラム。そして、俺に踵を返すと、薔薇の庭を走り去っていく。
俺は、複雑な想いを抱えて、彼の華奢な後姿を呆然と見つめていた。
事の成り行きを、コンラッドに見られていることも知らずに。
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