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2009.4.22設置 『今日からマ王』メインです。 
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2009/05/13 (Wed)                  パラレルな世界 ~学園編~ 第十四話
第十四話 保健室の危ない先生


※ギュンユです。一人で、考え込んでいるユーリに魔の手が忍び寄る・・・(汗 お話です。






 ヴォルフラムが、立ち去った後の薔薇園で、俺はしばらく立ち尽くしていた。


 ヴォルフラムの俺のことを真剣にみつめたきた眼差し、キス・・・・。初めて受ける彼からの積極的な態度に俺は混乱していた。たとえ、ここがパラレルな世界だとしても。


 その上に、コンラッドと俺は、この世界で恋人同士のはずで、コンラッドからもその関係を切望されたはずなのに・・・・。彼は、なぜか俺よりもジュリアさんと昼休みをすごしていた。俺は、その事実に再度胸が締め付けられる。


 つらい思いから逃れるために、俺はふとあることを思い出した。
 そういえば、俺はあの日、奇妙な夢を見たんだった。
 その夢によると、俺がこの世界である真実に気づかない限り、最悪の事態が訪れるとか・・・。他にも、数々の被害を被る・・・とか。


 あぁ、被害って、まさか俺の身に降りかかるのかなぁ・・・・。それとも、皆に降りかかるのかな・・・。とにかく、俺が、頑張らなきゃいけないんだよな!!よし、少し気合が出てきたぞ!!真実とやらを見つけてやるんだ!!


 勢いよく、空を仰ぎ見たそのとき、太陽の眩しさに眼がくらんだ。ふらり・・・・と揺るぐ俺の身体を、長身の身体に支えられた。


 その長身の身体の正体は、白衣を纏ったギュンターだった。


 そうだった、この世界のギュンターは、保険室の先生だったんだ。
 シルバーフレームの眼鏡の奥の眼を細めて、俺に微笑みかけるギュンター。


「おやおや、ユーリ君。立ちくらみとは、貧血ですか。いけませんね、私が診てさしあげましょう」
 そういうと、ギュンターは、俺をあっさり抱き上げて、爽やかな若葉の生い茂る木々の陰につれていく。


 なんか、俺、こっちにきてから、お姫様だっこばっかりされてるんですけど・・・・。


 そっと、芝生の上に俺を下ろすギュンター。プラチナの髪がサラリ・・・と垂れる。


 綺麗な髪の毛だよなぁ・・・・。


「おや、どうしましたか、ユーリ君。私の髪の毛に何かついていますか?」
 ギュンターが怪訝な顔をして、こちらを見つめる。


 俺は、ギュンターの髪の毛に見惚れていた自分が恥ずかしくなってごまかす。
「い、いや、何でもないんだ。ちょっと、髪の毛が・・・・綺麗だなぁと思って・・・」
 

 ふわり、とギュンターが優しく微笑む。
「貴方に、褒められるとは、このギュンター、至極光栄ですよ。けれど・・・」
 ギュンターは、俺の髪の毛に優しく口付けをする。
「貴方の髪のほうが、美しいです。塗れるような黒髪・・・・すべらかなこの感触・・・あぁ、ずっと触れていたいくらいです」
 すっかりと、一人の世界に酔いしれるギュンターを俺は元の世界に呼び戻す。
「ギュ、ギュンター!!大げさすぎるし!!」
 にこりと、眼鏡を光らせて微笑むギュンター。
「失礼しました、ユーリ君。貴方のことを考えるとつい一人の世界に入り込んでしまう癖があるようでして」
「うわぁ、そんな癖、早く無くそうよ、な?!ギュンター」
 悪戯な表情で、ギュンターは俺を見つめる。
「さぁ、これは不治の病のようなものでして。それより、貴方の貧血のほどを診て差し上げますからね」
「う、うん」
 流れにまかせて、返事してしまう俺。でも、なんか嫌な予感がする。


  でも、この世界で、真実を見つけないといけないんだよな。
 これからは、自分の身を犠牲にしてでも、いろんな情報を手に入れて、真実とやらを見つけてやるんだ!! 


 ギュンターの顔が、俺の顔に差し迫る。
 近距離で、俺の瞳、肌の色、唇を見つめる。長いギュンターの指が俺の唇をなぞる。


 た、耐えるんだ、俺。これも、この世界の真実を見つけるためなんだ。


「そうですね、瞳も澄んでいて、肌つやもよく、唇も潤っていて血色もよく・・・・貧血という可能性は少なそうですね・・・・・。けれど、もう少し調べないといけませんね」


 そういうと、ギュンターは素早く制服のタイを解き、ボタンを外していく。


 ちょっと、いくらなんでも、これは危険すぎるんじゃ。でも、が、頑張るんだ、俺!真実を見つけるために!


 ギュンターの綺麗な指が、座ったままの俺のシャツの前をはだけさせる。


 ひやり、とギュンターの冷たい手のひらが、じかに俺の皮膚に触れる。
「やっ」
 俺は、その手の冷たさに、思わず身体をのけぞらせてしまう。
 ギュンターは、ふふ、と笑うと妖しく眼鏡の奥の眼を細める。俺の鎖骨を、胸を、わき腹を緩やかに撫で上げていく。


 俺は、くすぐったいような、気持ちのいいような変な気分になっていく。俺はその感触に上気して、息が上がっていく。


 俺の僅かな態度の違いを感じ取ったのか、緩やかに、ギュンターは、俺の唇に自身の唇を重ね合わせる。俺はあまりに、自然な動作に抵抗することを忘れていた。
「んっ・・・!」
 ギュンターの整った、薄い唇に、俺の唇は翻弄される。丁寧なキス。軽く唇を触れ合わせたり、啄ばむように、甘く俺の唇を挟んだり。頭上では、若葉がさらさらと風に揺らいでいる。
 ど、どうしよう!!!このままでは、貞操の危険が~!!




カラーンコローン


 そのとき、始業を告げるベルの音が高らかに鳴り響いた。いかにもこの学園に似つかわしいベルの音だな・・・・じゃなくて!!本当に助かった~。


 ギュンターは、残念そうに俺に微笑みかける。
「やれやれ、とんだ邪魔が入ってしまいました。貴方の勉学の邪魔をすることは、出来ませんからね」


 そういうと、ギュンターは器用に俺のシャツのボタンを元通りに嵌めこみ、タイを結ぶ。
 にやり、と口角をあげて魅惑的な表情で微笑むギュンター。
「いつでも、貴方をお待ちしておりますから。続きがしたくなったら、いつでも保健室においでください」
 

 俺は、慌てて否定する。
「いや、それはないですから!!」
 

 途端に、ギュンターは、眼鏡の奥の瞳を意地悪く細めて俺を見つめる。
「あれ、おかしいですね。先程の貴方はとても感じているようでしたよ」
 

 絶対、この世界のギュンターは性格が違うよな!!俺はつくづく思った。
 

 俺は、なにも言い返せずに、真っ赤になってギュンターを睨んだ。





第十四話 =完

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