2009.4.22設置
『今日からマ王』メインです。
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マーメイドプリンス 前編
※アンデルセンの人魚姫のパロディーです。ギュンユです。
荒れ狂う海原。
天から放たれる、光の槍。
漆黒の暗闇。
妖しく光る弓張り月が、揺れ惑う一艘の帆船を照らし出す。
海洋を司る神の逆鱗に触れてしまったのか。
華々しいマストを装備した荘厳な帆船が、海面に叩きつけられる。
今宵は、ユーリの齢16歳の誕生日。
彼は、人魚王国の末の王子である。日ごろから、地上の世界に甘く夢を抱いていた。
何だろう、今日の海面は、ものすごく荒れているなぁ。こんな日は、よく人間の乗る船が難破すると聞いたことがある。そうしたら、直接人間に触れて、助けることもできるかも。
彼は、好奇心に瞳を輝かせ月光に煌めく水面を目指して泳ぐ。優雅な尾びれを揺らめかしながら。
彼が水面に出ると、先程までの嵐はすっかりと影を潜めていた。
穏やかなエメラルドグリーンの夜空が広がる。その中を、無数の星屑をたずさえて、弓張り月が煌々と輝きを放つ。
月に照らし出されたのは、先の荘厳な船の残骸であった。無残なまでに、蹴散らされた帆船。
その中に、人間らしき姿がみえる。意識を失っている彼は、帆船の木片に運よく乗りあげていた。彼はその身を木片に預けて、海原を漂浪していた。
ユーリは一目散に彼の元へ泳いでいく。彼を見たユーリは、その美しさに息を呑む。
水面に、ゆらゆらと波打つプラチナの長い髪。月光を受けて神秘的にきらめく髪。閉じられた瞼には、長いまつげが縁取られる。すっきりと通った鼻筋。形のいい唇。透き通る白い肌。
ユーリは、大切に彼を抱き、安らかな場所へいざなう。浅瀬にある岩窟に、そっと彼を横たえる。
ユーリは、初めて見る人間の美しさにしばし見惚れる。月光の差し込む岩窟の中、ユーリは彼の髪を優しく撫でる。大切に。愛しく。
ユーリは、いつまでも彼の傍に寄り添っていたかった。けれど、彼の瞼がかすかに動いたのを見ると、静かに海に潜り込んだ。
それからというもの、ユーリは彼のことが忘れられなくなった。何をしていても、あの綺麗な人を想い出してしまう。
その想いは、強く、いつしか彼の隣に並んで歩くことを夢見る。
とうとう、その気持ちを抑えきれずに、海の魔女アニシナのところへ相談に行く。
長兄のグウェンダルや次男のコンラッド、三男のヴォルフラムに相談しても烈火のごとく反対されるのは、容易に想像ができたからだ。ユーリは、末の弟として兄たちに溺愛されていたのだ。
真っ赤な髪を揺らめかせ、魔女アニシナは、ユーリを妖しく見つめる。
「それで、脚が欲しいんですね。彼の横に立って並びたいんですね。・・・・いいでしょう。私の発明した魔道装置『今日から貴方も人間に!ぎょぎょっ(魚魚)と人間君』をつかえば、脚を生やすことなど容易いでしょう。しかし、この装置には難点がありまして、発動力に被験者の声帯を必要とするのです。
つまり、この装置を使うと声が出なくなってしまうのです。あと、とても大切なことですが、人間になった暁には、貴方が恋している人間と結ばれなくてはいけないのです。もし、彼が他の人と結ばれることになってしまったら、貴方は魔道装置の副反応で、この世から消えてしまうのです。それほど、危険な代物ですが、お使いになるというのですね?」
ユーリは、想像していた以上の辛辣な条件に身構える。
けれど、あの人への熱い想いのほうが勝っていた。きっ、と魔女アニシナを睨みつけると覚悟を決める。
「いいよ、俺。人間として彼の傍にいられるなら、声を失くしたっていい!」
妖艶に、アニシナが微笑む。
「そうですか、さすが王子。潔い決心です。では、瞳を閉じてください。・・・・・・眼を開いたとき、貴方は人間の姿をしているでしょう」
そのまま、ユーリは意識を失った。彼の周りにはまばゆい極彩色の光の渦が取り囲んでいた。
「ん・・・・」
ユーリは、眼を覚ますと、自分が華やかな天蓋付の寝台の上にいることを悟る。そして、身体に違和感を感じる。アイリスの花を様式化した紋章、fleur-de-lis(フルールドリス)が華々しく刺繍された羽毛布団を捲りあげる。信じられない光景に胸が高鳴る。
そこには、いつもあるはずの碧い尾びれではなく、洋服を纏った2本の脚が存在した。
お、俺、脚がある!!信じられない!!俺、人間になれたんだ!!あの人の隣を歩けるんだ!!
「おや、目覚めたのですか?」
ユーリの目覚めに気がつくと、彼がユーリの元へやってきた。彼は、あの朧月夜に出遭ったときより、殊更、麗しかった。
贅沢にレースをあしらったロココ調の春蘭豪華な衣装。ところどころに散りばめられたスターサファイアとダイアモンド。彼の衣装が、その身分の高さを表わしていた。
彼は、プラチナの髪をさらりと垂らすと、小首を傾げる。とても、慈しんだ瞳でユーリを見つめる。とても、甘い顔。ユーリは、嬉しくて喜びを声に出そうとする。
「・・・・・!!」
声が出ない!!そうだ、脚の代わりに、俺は声を失うんだった。
その事実に、ユーリは改めて衝撃を受ける。しかし、そこで怯むユーリではない。
声が出ないなら、全身で表現すればいい!
ユーリは、再び彼に会えた嬉しさと、隣を歩ける嬉しさに、夢中で彼に抱きつく。
小動物のように愛らしい、ユーリの行動に、彼はしばし惚ける。しかし、すぐに思い出したように、彼はユーリをきつく強く抱きしめる。
「貴方は、とても麗しい方です。例え、声が出なくとも、私が貴方の声となり傍にいますから」
彼は、長く繊細な指で、優しくユーリの黒髪を撫でながら甘く囁く。
恋焦がれた彼から抱きしめられて、ユーリは、嬉しさに打ち震える。
「私の名前は、ギュンターと申します。カロリア国の王子です。これからは、片時も離れることなく貴方をお守りいたします」
そういうと、ギュンターは、ユーリの前に跪き、ユーリの手の甲に誓いのキスを落とす。
ユーリは、太陽のように眩しい微笑みで応える。その顔に、ギュンターは見惚れてしまう。
ギュンターは、砂浜にユーリが倒れているのを見つけたその瞬間から、とっくに彼の虜だったのだ。ユーリの濡れるような黒髪、長い睫毛、小麦色の、潤んだ肌、華奢な身体。全てが、彼の理想だったのだ。
それからというもの、2人はどこへいくにも、何をするにも一緒だった。
ユーリが、眼を覚ますと、傍らには必ずギュンターがいる。そして、ギュンター自らがユーリの上質なシルクでできた夜間着に手を掛けて、それを脱がす。そして、その日ユーリに着せたい衣装を丹念に選び、自らが着せる。
いくら、侍女達が『王子自らがそのようなことをしないで下さい』、とギュンターを制止しようとしても、彼は決して譲らない。
ユーリもまた、嬉しそうに彼にされるがままに、着替えさせている。仕上げに、ギルド職人によって造られたブーツまでも、ギュンター自らが、ユーリの脚に嵌める。
食事の時も、侍女達の眼に余るものがある。彼らが長大で華美な食卓につくときは、必ず隣同士に座る。そして、城の主自らが、客人であるユーリにスプーンで料理をよそっては、食べさせる。時に、ユーリの口端についた料理を、彼はキスをするかのように、舐めとる。
また、ユーリの気に入った料理があるとひと騒動だった。ギュンター、自らがシェフの元へ駆けつけ、お礼を述べる。そして、似た系統の料理を出すように、託けるのだ。ユーリが料理を残したときもまた、然り。自らが厨房に赴き指導にあたる。
入浴の時も、二人は仲睦まじくじゃれ合っていた。この城は、自然の地形を生かして建てられた水城(ヴァッサーブルク)だ。水に不自由しないため、浴場が3つも設けられていた。そのなかでも、一際煌びやかな装飾を施したのが、城主専用の浴場だ。天井には、天使やイエス・キリスト、聖母マリアが描かれている。本来は、城主以外は立ち入ってはいけない場所なのだ。それにもかかわらず、二人は、必ず、この浴場で身体を清めていた。
風呂でも、ギュンターは、ユーリにかいがいしく世話を焼きたがる。丹念に、ユーリの頭からつま先まで全て洗いあげていくのだ。膝のうらを洗うときは、わざわざユーリを立たせて、洗い残しがないように気をつけてあらう。脇を洗うときも、両手を上にまっすぐに上げさせて、洗う。このとき、いつも、ユーリはくすぐったがって、身をよじる。ギュンターは、ユーリのそんな些細な行動に、至福を感じていた。
入浴後も、ギュンターの手は、休まることを知らない。ユーリに、薔薇から抽出した香油を優しく塗って、マッサージを施す。うっとりとした表情のユーリを見るだけで、ギュンターは癒された。
ギュンターは、ユーリに華やかなシルクのネグリジェを纏わせる。それからは、いつもの日課の海辺の散歩に出かける。月明かりが照らし出す白い砂浜の上を、ざわ、ざわと柔らかな波の音を聴きながら、二人は手をつないで歩く。いつも、ユーリは岩窟にギュンターを誘う。初めてギュンターに出遭ったときに、彼を助けた場所だから。ユーリは、いつも岩窟でギュンターの頭を膝の上に載せると、綺麗な髪の毛を撫でる。ギュンターを、助けたのは自分なのだと、気づかせたい一心で。
ギュンターは、ユーリを溺愛していた。ユーリも甘んじてそれを受け入れていた。
昼夜問わず、二人は濃密な時を過ごした。
前編=完
※アンデルセンの人魚姫のパロディーです。ギュンユです。
荒れ狂う海原。
天から放たれる、光の槍。
漆黒の暗闇。
妖しく光る弓張り月が、揺れ惑う一艘の帆船を照らし出す。
海洋を司る神の逆鱗に触れてしまったのか。
華々しいマストを装備した荘厳な帆船が、海面に叩きつけられる。
今宵は、ユーリの齢16歳の誕生日。
彼は、人魚王国の末の王子である。日ごろから、地上の世界に甘く夢を抱いていた。
何だろう、今日の海面は、ものすごく荒れているなぁ。こんな日は、よく人間の乗る船が難破すると聞いたことがある。そうしたら、直接人間に触れて、助けることもできるかも。
彼は、好奇心に瞳を輝かせ月光に煌めく水面を目指して泳ぐ。優雅な尾びれを揺らめかしながら。
彼が水面に出ると、先程までの嵐はすっかりと影を潜めていた。
穏やかなエメラルドグリーンの夜空が広がる。その中を、無数の星屑をたずさえて、弓張り月が煌々と輝きを放つ。
月に照らし出されたのは、先の荘厳な船の残骸であった。無残なまでに、蹴散らされた帆船。
その中に、人間らしき姿がみえる。意識を失っている彼は、帆船の木片に運よく乗りあげていた。彼はその身を木片に預けて、海原を漂浪していた。
ユーリは一目散に彼の元へ泳いでいく。彼を見たユーリは、その美しさに息を呑む。
水面に、ゆらゆらと波打つプラチナの長い髪。月光を受けて神秘的にきらめく髪。閉じられた瞼には、長いまつげが縁取られる。すっきりと通った鼻筋。形のいい唇。透き通る白い肌。
ユーリは、大切に彼を抱き、安らかな場所へいざなう。浅瀬にある岩窟に、そっと彼を横たえる。
ユーリは、初めて見る人間の美しさにしばし見惚れる。月光の差し込む岩窟の中、ユーリは彼の髪を優しく撫でる。大切に。愛しく。
ユーリは、いつまでも彼の傍に寄り添っていたかった。けれど、彼の瞼がかすかに動いたのを見ると、静かに海に潜り込んだ。
それからというもの、ユーリは彼のことが忘れられなくなった。何をしていても、あの綺麗な人を想い出してしまう。
その想いは、強く、いつしか彼の隣に並んで歩くことを夢見る。
とうとう、その気持ちを抑えきれずに、海の魔女アニシナのところへ相談に行く。
長兄のグウェンダルや次男のコンラッド、三男のヴォルフラムに相談しても烈火のごとく反対されるのは、容易に想像ができたからだ。ユーリは、末の弟として兄たちに溺愛されていたのだ。
真っ赤な髪を揺らめかせ、魔女アニシナは、ユーリを妖しく見つめる。
「それで、脚が欲しいんですね。彼の横に立って並びたいんですね。・・・・いいでしょう。私の発明した魔道装置『今日から貴方も人間に!ぎょぎょっ(魚魚)と人間君』をつかえば、脚を生やすことなど容易いでしょう。しかし、この装置には難点がありまして、発動力に被験者の声帯を必要とするのです。
つまり、この装置を使うと声が出なくなってしまうのです。あと、とても大切なことですが、人間になった暁には、貴方が恋している人間と結ばれなくてはいけないのです。もし、彼が他の人と結ばれることになってしまったら、貴方は魔道装置の副反応で、この世から消えてしまうのです。それほど、危険な代物ですが、お使いになるというのですね?」
ユーリは、想像していた以上の辛辣な条件に身構える。
けれど、あの人への熱い想いのほうが勝っていた。きっ、と魔女アニシナを睨みつけると覚悟を決める。
「いいよ、俺。人間として彼の傍にいられるなら、声を失くしたっていい!」
妖艶に、アニシナが微笑む。
「そうですか、さすが王子。潔い決心です。では、瞳を閉じてください。・・・・・・眼を開いたとき、貴方は人間の姿をしているでしょう」
そのまま、ユーリは意識を失った。彼の周りにはまばゆい極彩色の光の渦が取り囲んでいた。
「ん・・・・」
ユーリは、眼を覚ますと、自分が華やかな天蓋付の寝台の上にいることを悟る。そして、身体に違和感を感じる。アイリスの花を様式化した紋章、fleur-de-lis(フルールドリス)が華々しく刺繍された羽毛布団を捲りあげる。信じられない光景に胸が高鳴る。
そこには、いつもあるはずの碧い尾びれではなく、洋服を纏った2本の脚が存在した。
お、俺、脚がある!!信じられない!!俺、人間になれたんだ!!あの人の隣を歩けるんだ!!
「おや、目覚めたのですか?」
ユーリの目覚めに気がつくと、彼がユーリの元へやってきた。彼は、あの朧月夜に出遭ったときより、殊更、麗しかった。
贅沢にレースをあしらったロココ調の春蘭豪華な衣装。ところどころに散りばめられたスターサファイアとダイアモンド。彼の衣装が、その身分の高さを表わしていた。
彼は、プラチナの髪をさらりと垂らすと、小首を傾げる。とても、慈しんだ瞳でユーリを見つめる。とても、甘い顔。ユーリは、嬉しくて喜びを声に出そうとする。
「・・・・・!!」
声が出ない!!そうだ、脚の代わりに、俺は声を失うんだった。
その事実に、ユーリは改めて衝撃を受ける。しかし、そこで怯むユーリではない。
声が出ないなら、全身で表現すればいい!
ユーリは、再び彼に会えた嬉しさと、隣を歩ける嬉しさに、夢中で彼に抱きつく。
小動物のように愛らしい、ユーリの行動に、彼はしばし惚ける。しかし、すぐに思い出したように、彼はユーリをきつく強く抱きしめる。
「貴方は、とても麗しい方です。例え、声が出なくとも、私が貴方の声となり傍にいますから」
彼は、長く繊細な指で、優しくユーリの黒髪を撫でながら甘く囁く。
恋焦がれた彼から抱きしめられて、ユーリは、嬉しさに打ち震える。
「私の名前は、ギュンターと申します。カロリア国の王子です。これからは、片時も離れることなく貴方をお守りいたします」
そういうと、ギュンターは、ユーリの前に跪き、ユーリの手の甲に誓いのキスを落とす。
ユーリは、太陽のように眩しい微笑みで応える。その顔に、ギュンターは見惚れてしまう。
ギュンターは、砂浜にユーリが倒れているのを見つけたその瞬間から、とっくに彼の虜だったのだ。ユーリの濡れるような黒髪、長い睫毛、小麦色の、潤んだ肌、華奢な身体。全てが、彼の理想だったのだ。
それからというもの、2人はどこへいくにも、何をするにも一緒だった。
ユーリが、眼を覚ますと、傍らには必ずギュンターがいる。そして、ギュンター自らがユーリの上質なシルクでできた夜間着に手を掛けて、それを脱がす。そして、その日ユーリに着せたい衣装を丹念に選び、自らが着せる。
いくら、侍女達が『王子自らがそのようなことをしないで下さい』、とギュンターを制止しようとしても、彼は決して譲らない。
ユーリもまた、嬉しそうに彼にされるがままに、着替えさせている。仕上げに、ギルド職人によって造られたブーツまでも、ギュンター自らが、ユーリの脚に嵌める。
食事の時も、侍女達の眼に余るものがある。彼らが長大で華美な食卓につくときは、必ず隣同士に座る。そして、城の主自らが、客人であるユーリにスプーンで料理をよそっては、食べさせる。時に、ユーリの口端についた料理を、彼はキスをするかのように、舐めとる。
また、ユーリの気に入った料理があるとひと騒動だった。ギュンター、自らがシェフの元へ駆けつけ、お礼を述べる。そして、似た系統の料理を出すように、託けるのだ。ユーリが料理を残したときもまた、然り。自らが厨房に赴き指導にあたる。
入浴の時も、二人は仲睦まじくじゃれ合っていた。この城は、自然の地形を生かして建てられた水城(ヴァッサーブルク)だ。水に不自由しないため、浴場が3つも設けられていた。そのなかでも、一際煌びやかな装飾を施したのが、城主専用の浴場だ。天井には、天使やイエス・キリスト、聖母マリアが描かれている。本来は、城主以外は立ち入ってはいけない場所なのだ。それにもかかわらず、二人は、必ず、この浴場で身体を清めていた。
風呂でも、ギュンターは、ユーリにかいがいしく世話を焼きたがる。丹念に、ユーリの頭からつま先まで全て洗いあげていくのだ。膝のうらを洗うときは、わざわざユーリを立たせて、洗い残しがないように気をつけてあらう。脇を洗うときも、両手を上にまっすぐに上げさせて、洗う。このとき、いつも、ユーリはくすぐったがって、身をよじる。ギュンターは、ユーリのそんな些細な行動に、至福を感じていた。
入浴後も、ギュンターの手は、休まることを知らない。ユーリに、薔薇から抽出した香油を優しく塗って、マッサージを施す。うっとりとした表情のユーリを見るだけで、ギュンターは癒された。
ギュンターは、ユーリに華やかなシルクのネグリジェを纏わせる。それからは、いつもの日課の海辺の散歩に出かける。月明かりが照らし出す白い砂浜の上を、ざわ、ざわと柔らかな波の音を聴きながら、二人は手をつないで歩く。いつも、ユーリは岩窟にギュンターを誘う。初めてギュンターに出遭ったときに、彼を助けた場所だから。ユーリは、いつも岩窟でギュンターの頭を膝の上に載せると、綺麗な髪の毛を撫でる。ギュンターを、助けたのは自分なのだと、気づかせたい一心で。
ギュンターは、ユーリを溺愛していた。ユーリも甘んじてそれを受け入れていた。
昼夜問わず、二人は濃密な時を過ごした。
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