2009.4.22設置
『今日からマ王』メインです。
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第四編 朧月夜
※コンユです。コンラッドがユーリに初めてキスを迫るお話です。コンラッドとユーリはまだ付き合っていない設定です。ユーリもまだ自分の気持ちがわからない状態です。コンラッドからユーリへの気持ちが強い設定です。
俺は、なかなか寝付けなくて、寝室を抜け出した。
こつ、こつと足音を響かせながら、長い廊下を歩いていく。中庭に出ると、コンラッドの姿を見つけた。
辺りは、しん、と静まり返っていて、月明かりが優しく俺達を照らす。
彼もこちらに気がつくと、声をかけてきた。
「ユーリ?寝付けないのですか?こんな夜分に王である貴方が一人で出歩くなんて、よくありませんね」
にこり、と微笑むと彼は言う。
「お供しますよ、陛下。私は、今、警備を終えたところですので」
俺は、すかさずコンラッドに指摘する。
「だから、陛下って呼ぶなよ~、名づけ親~」
優しく眼を細めて、彼は俺に言う。
「そうでした・・・・ユーリ」
心なしか、今日のコンラッドの声は甘く響く。う~ん気のせいかな?
「ねぇ、コンラッド~、キャッチボールに付き合ってくれない?」
俺は、我侭を承知でコンラッドにお願いをする。
彼は、少しもためらうことなく涼やかな笑顔で答える。
「えぇ、ユーリのお願いでしたら、何でもお聞きしますよ。でも・・・」
ためらいがちに、こちらを見つめるコンラッド。
俺は、思わずその先が気になってしまって、身を乗り出す。
「何々?!」
コンラッドは、静かに囁く。甘く低い声で。
「私のお願いも、聞いてもらえますか?」
俺は、予想外の彼からの言葉にますます、その内容に興味を持つ。
コンラッドから、お願いされるなんて、初めてだ。
「うん?だから、お願いって何?」
コンラッドは、冗談とも本気とも見分けのつかない顔でこちらをじっと見つめてくる。俺の気持ちを探るように。
「・・・・・キスしても、いいですか?」
ためらいがちに、彼が囁く。
えぇ??
全く予想もしていなかった言葉に俺は驚きを隠せない。
「ちょ・・・コンラッド!!・・・どういうこと??」
慌てふためく俺を、胸に抱きしめるコンラッド。
心臓が激しく鼓動する。酸素のめぐりが停滞して、軽い眩暈がする。
「冗談は・・・・」
俺は、彼に『冗談はよせよ』と言おうと思ったが、すぐにその言葉を呑み込む。
コンラッドの真剣で、熱い、それでいて切ない眼差しを見つけてしまったから。
言葉なく、黙っている俺をずっと抱きしめ続けるコンラッド。にわかに、腰に回された彼の腕に力がこもる。
「ユーリ、貴方の負担になることはしません・・・・・・だから、どうか今日だけ、今だけ、俺の好きにさせて下さい」
そういうと、コンラッドは俺の腰に回していた腕を解く。そっと、緩やかに俺の両肩を掴む。
俺は、思わず眼を瞑る。
ー! ひんやりとしたコンラッドの薄い唇が俺の唇に重ねあわされる。コンラッドの前髪と俺の前髪が柔らかく混ざり合う。
優しい口付け。
コンラッドの俺への気持ちが、キスひとつで伝わってくる。
初めて感じるコンラッドの俺への熱い気持ち。
しばらく、口付けた後、名残惜しそうに、そっと離される唇。
寂しげなコンラッドの瞳が俺を映す。
「すみません、ユーリ。貴方のことを戸惑わせてしまったでしょう」
コンラッドは、俺のことを憂慮し、再び慈しみを持った瞳でみつめてくる。
「貴方を不快な気持ちにさせていなければ、いいのですが」
自嘲気味に、つぶやくコンラッド。
俺は、そんな傷ついた様子のコンラッドを見ていられなくなる。
俺は、思わず、彼に抱きついてしまう。
「ばか・・・・なんて、悲しい顔してんだよ。なんで、自分を責めるんだよ」
俺は、懸命に想いを言葉にする。
「俺・・・・まだ、好きとかそういうの、よくわかんないけど・・・・、キスだって初めてだったし・・・・・だけど」
言葉を区切って、一呼吸をおいてから彼を見上げて言う。
「だけど・・・・コンラッドが俺のことをどんなに大切に、想ってくれてるかがよくわかったよ。すごく、嬉しかった。だからさ、だから、そんなに自分のことを卑下するなよな。コンラッドの中の俺のことをすきだって言う部分をもっと大事にしてほしいな・・・・・あれ、なんか俺が言うと変かな?」
俺は、話しているうちに自分でも何を一番に彼に伝えたいのかが、わからなくなってきた。
「と、とにかく、・・・・・俺、キス、嫌じゃなかったよ・・・・ってこと!!」
回りくどく、話すのをやめて、素直にコンラッドに白状する。
恥ずかしくて、俺は耳までかっと熱くなるのを感じていた。
コンラッドは、綺麗な瞳を瞬かせると、幸せそうに瞳を細める。
「ありがとう、ユーリ。少しだけ、期待しておくことにします」
彼は、そういうと、再び俺の瞼にキスを落とす。そして、頬に、唇に、流れるようにキスを降らす。
初めて受ける、彼からの甘い態度に、俺はすっかり酔ってしまう。
もしかしたら、俺も、コンラッドのことがずっと好きだったのかもしれない。
春の夜空に霞んで見える、二人を照らし出すこの、おぼろ月のように。
ユーリの心もまた淡く揺らめきだした。
第五編 =完
※コンユです。コンラッドがユーリに初めてキスを迫るお話です。コンラッドとユーリはまだ付き合っていない設定です。ユーリもまだ自分の気持ちがわからない状態です。コンラッドからユーリへの気持ちが強い設定です。
俺は、なかなか寝付けなくて、寝室を抜け出した。
こつ、こつと足音を響かせながら、長い廊下を歩いていく。中庭に出ると、コンラッドの姿を見つけた。
辺りは、しん、と静まり返っていて、月明かりが優しく俺達を照らす。
彼もこちらに気がつくと、声をかけてきた。
「ユーリ?寝付けないのですか?こんな夜分に王である貴方が一人で出歩くなんて、よくありませんね」
にこり、と微笑むと彼は言う。
「お供しますよ、陛下。私は、今、警備を終えたところですので」
俺は、すかさずコンラッドに指摘する。
「だから、陛下って呼ぶなよ~、名づけ親~」
優しく眼を細めて、彼は俺に言う。
「そうでした・・・・ユーリ」
心なしか、今日のコンラッドの声は甘く響く。う~ん気のせいかな?
「ねぇ、コンラッド~、キャッチボールに付き合ってくれない?」
俺は、我侭を承知でコンラッドにお願いをする。
彼は、少しもためらうことなく涼やかな笑顔で答える。
「えぇ、ユーリのお願いでしたら、何でもお聞きしますよ。でも・・・」
ためらいがちに、こちらを見つめるコンラッド。
俺は、思わずその先が気になってしまって、身を乗り出す。
「何々?!」
コンラッドは、静かに囁く。甘く低い声で。
「私のお願いも、聞いてもらえますか?」
俺は、予想外の彼からの言葉にますます、その内容に興味を持つ。
コンラッドから、お願いされるなんて、初めてだ。
「うん?だから、お願いって何?」
コンラッドは、冗談とも本気とも見分けのつかない顔でこちらをじっと見つめてくる。俺の気持ちを探るように。
「・・・・・キスしても、いいですか?」
ためらいがちに、彼が囁く。
えぇ??
全く予想もしていなかった言葉に俺は驚きを隠せない。
「ちょ・・・コンラッド!!・・・どういうこと??」
慌てふためく俺を、胸に抱きしめるコンラッド。
心臓が激しく鼓動する。酸素のめぐりが停滞して、軽い眩暈がする。
「冗談は・・・・」
俺は、彼に『冗談はよせよ』と言おうと思ったが、すぐにその言葉を呑み込む。
コンラッドの真剣で、熱い、それでいて切ない眼差しを見つけてしまったから。
言葉なく、黙っている俺をずっと抱きしめ続けるコンラッド。にわかに、腰に回された彼の腕に力がこもる。
「ユーリ、貴方の負担になることはしません・・・・・・だから、どうか今日だけ、今だけ、俺の好きにさせて下さい」
そういうと、コンラッドは俺の腰に回していた腕を解く。そっと、緩やかに俺の両肩を掴む。
俺は、思わず眼を瞑る。
ー! ひんやりとしたコンラッドの薄い唇が俺の唇に重ねあわされる。コンラッドの前髪と俺の前髪が柔らかく混ざり合う。
優しい口付け。
コンラッドの俺への気持ちが、キスひとつで伝わってくる。
初めて感じるコンラッドの俺への熱い気持ち。
しばらく、口付けた後、名残惜しそうに、そっと離される唇。
寂しげなコンラッドの瞳が俺を映す。
「すみません、ユーリ。貴方のことを戸惑わせてしまったでしょう」
コンラッドは、俺のことを憂慮し、再び慈しみを持った瞳でみつめてくる。
「貴方を不快な気持ちにさせていなければ、いいのですが」
自嘲気味に、つぶやくコンラッド。
俺は、そんな傷ついた様子のコンラッドを見ていられなくなる。
俺は、思わず、彼に抱きついてしまう。
「ばか・・・・なんて、悲しい顔してんだよ。なんで、自分を責めるんだよ」
俺は、懸命に想いを言葉にする。
「俺・・・・まだ、好きとかそういうの、よくわかんないけど・・・・、キスだって初めてだったし・・・・・だけど」
言葉を区切って、一呼吸をおいてから彼を見上げて言う。
「だけど・・・・コンラッドが俺のことをどんなに大切に、想ってくれてるかがよくわかったよ。すごく、嬉しかった。だからさ、だから、そんなに自分のことを卑下するなよな。コンラッドの中の俺のことをすきだって言う部分をもっと大事にしてほしいな・・・・・あれ、なんか俺が言うと変かな?」
俺は、話しているうちに自分でも何を一番に彼に伝えたいのかが、わからなくなってきた。
「と、とにかく、・・・・・俺、キス、嫌じゃなかったよ・・・・ってこと!!」
回りくどく、話すのをやめて、素直にコンラッドに白状する。
恥ずかしくて、俺は耳までかっと熱くなるのを感じていた。
コンラッドは、綺麗な瞳を瞬かせると、幸せそうに瞳を細める。
「ありがとう、ユーリ。少しだけ、期待しておくことにします」
彼は、そういうと、再び俺の瞼にキスを落とす。そして、頬に、唇に、流れるようにキスを降らす。
初めて受ける、彼からの甘い態度に、俺はすっかり酔ってしまう。
もしかしたら、俺も、コンラッドのことがずっと好きだったのかもしれない。
春の夜空に霞んで見える、二人を照らし出すこの、おぼろ月のように。
ユーリの心もまた淡く揺らめきだした。
第五編 =完
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