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閉じ込められた心 2
※ふつうにコンユです。
「・・・・・・っ!!」
暗い気持ちで目覚めた俺は、隣のユーリを気遣いながら、そっと上半身を起こした。夜間着は、ぐっしょりと冷や汗で湿っていた。
額に掌を当てると、そのまま前髪を上げた。
参ったな。最近繰り返し見る、この悪夢。当時の俺は、あんなことくらいにいちいち動じていなかった筈なのに。今更になって、こんなにうなされてしまうなんて。
平気なつもりでも、当時の俺は苦しんでいたんだろうか。
それさえ、気づかないほど、当時の俺は荒んでいたのか。
呆れたような、ほっとするような笑いが零れた。
きっと、今が幸せすぎるから、過去の出来事が悪夢として鮮烈に蘇ってしまうんだろう。
裏を返せば、それだけ今の俺は満たされてる。愛しい人のおかげで。
ふいに、心が重くなる。鈍い痛みが胸に広がる。
まだ夜明けには程遠い、黒一色の闇の中。窒息しそうなほどの深い夜に呑み込まれてしまう、そんな気がした。
ユーリを抱けない――・・・・・・。抱けるわけがない。俺の欲望を彼にぶつけるなんて、出来ない。
あいつらと一緒になりたくない。息荒く、俺を犯した獣同然の・・・・・・奴らのように、成り下がりたくない。
ユーリを大切に思うこの気持ちが、行為によって汚れていく気がして、怖い。
自分が受けた性行為は、痛みしか感じなかったから。それは、狂ったような肉欲に沈んだ暗いものだった。そう、そこから得られたものは何もない。からっぽの、支配欲を満たすだけの行為だった。
だからこそ、ユーリには手を出したくない。そのほの暗い欲望に、何もかも呑まれていく恐怖、正常に物事を感じられなくなっていく、心が知らずに乾いていく・・・・・・そんな思いをユーリに味わわせたくない。
大切に、大切に、護ってあげたい。少しだって、悲しませたくない。
ユーリは、俺の大切な恋人だから。
けれど、ユーリは最近、熱に浮かされたようにじっと俺を見つめる。
唇を離したあと、いつまでも、何かをいいたげな瞳で俺を見つめてくる。
彼が、何を望んでいるのかは分かる。
そのたびに、心が不安定に揺さぶられる。
少しでも彼を悲しませたくない気持ち、彼を護ってあげたい気持ちが、彼を全て奪い去ってしまいたい強烈な欲望に押される。
眩暈がするほどの、激しい葛藤に苛まれる。
そして、そのつど俺は、彼らと一緒なのではないかと、胸に突き刺さるような痛みを感じた。
「・・・・・・コンラッド?」
ひどく心細そうな、その声に我に返った。
「ユーリ? すみません。起こしてしまいましたか?」
「あぁ。だって、あんたすげーうなされてた」
ひどく心配しているユーリの声は、闇の中、頼りなく震えていた。
「大丈夫です。ただ悪い夢を見ただけですから。あなたは、心配しないで? 安心して、寝てください」
カーテンの隙間から漏れる薄明かりを頼りに、そっと彼の髪に指を差し込んで梳かす。シャンプーの優しい香りが、そっと漂う。
けれど、彼は俺の手を掴むと、上半身を勢いよく起こした。
「いや、ただの悪夢なんかじゃない! だって、あんたここのところ毎晩うなされてるんだよ?!」
「毎晩・・・・・・?」
少し非難めいたユーリの声が、俺の心に突き刺さった。
もしかして、ユーリに毎晩俺の悲鳴を訊かせてしまったのか?
ただの悲鳴ならまだしも・・・・・・、夢の内容通りの声を上げていたのだとしたら―― ?
悪い予感は、大抵的中するものらしい。
「なんか、コンラッドのうなされ方が普通じゃなくて・・・・・・。苦しそうだけど、妙に色っぽい声っていうか。だから、俺、なんとなくわかっちゃったんだ。コンラッドがどんな夢見てうなされてるのか」
背筋に冷たいものが、ひやりと伝った。今この部屋が、暗くてよかったと心底思った。とても表情を取り繕うだけの余裕がなかったから。
「コンラッド!!」
唐突にユーリが俺の胸に抱きついた。背中に回された腕は、切ないほどにきつく力が込められる。
心なしか、華奢な身体が小刻みに震えている。
けれどまっすぐな大きな瞳が俺を見上げた。
「コンラッドは、カッコいいし、綺麗だから。だから・・・・・・無理やり、男の人にそ、その襲われたりしたことがあるのか? それが、よっぽど辛い過去になって夢にまでみてうなされてるのか?!」
そこまで、一息に捲し上げると、ふと我に返ったようにユーリは声をひそめた。
「あ、ごめん。そんなこと、いいたくないよな」
けれど、再び意思の籠もった力強い眼差しで俺を見上げる。
「・・・・・でも、でもさっ、俺はコンラッドの恋人だろ? あんたが悩んでるのに、何もできないなんてたまらないんだ。どんな事実だって受け止める覚悟はあるよ。だから、お願い。もう、俺に隠すなよ。何だって一人で抱え込んで、すました顔してんなよ。俺は、コンラッドが過去にどんなことがあったって変わらずあんたが好きだよ!」
あまりにも、ストレートすぎるその直球勝負に、いつものことながら、俺の心は感銘を受ける。
けれど、その直球勝負を素直に受けるには、俺には疚しいことが多すぎる。
あなたは、俺をはなから被害者だと思っているのでしょう?俺は、あくまでも『無理やりに』襲われたと信じているのでしょう?
まるで、俺を疑わない真っ直ぐで濁りのない瞳に、心の奥底がかき乱された。
じくじくと心に暗いものが沸いてくる。俺は、あなたが思っているような出来た人じゃないんです。
「それが、無理やりされた行為でなくても・・・・・・ですか?」
ぞっとするほどに、自分でも驚くほど冷たい声がでた。
そんな声が出たのは、過去の自分へのやるせない憤りのせいだ。
そして、過去の何をするにも無感動で、まるで血が通っていなかったかのような自分を知ったら、さすがにユーリは俺に愛想をつかすかもしれない・・・という恐怖のために。
「コンラッド?」
「俺は、彼らを拒むことさえできたのに、それすらしなかった。だから、求められる相手には構わず相手に身を委ねました。あなたが思っていたような、俺はただの被害者じゃないんです。合意の上でのことなんです。軽薄な男に軽蔑したでしょう?」
初め、俺の言うことがまるで理解できていないかのように、ユーリは不思議そうな顔をした。まるで、想像していなかったことを言われて、心がついていけなかったのだろう。
そして、次第に俺の台詞を咀嚼し始めたのか、みるみるユーリの表情は曇っていった。俺のことを信じて疑わなかった、快晴のような潔さは、たちどころに曇天になり、とうとうユーリは泣き崩れた。
もちろん、後悔した。彼に全てを晒してしまったことを。けれど、隠してまで付き合うのは、卑怯だと思ったから。ユーリが相手だからこそ、綺麗に立ち振る舞えなかった。無様に、正直に、醜悪な過去を晒した。受け入れてもらえるなんて、そんな都合のいいことを期待していたわけじゃない。
ただ、ユーリに誠実でありたかった。
激しくむせび泣くユーリに手を伸ばした。けれど、触れることをためらった。
俺のことを軽蔑したであろう彼が、俺に抱きしめられたいわけがない。
広い王の間には、主人の悲痛な泣き声がいつまでも続いていた。
けれど、あまりに辛そうに泣き崩れるユーリを放っておくことなど出来なかった。
全身で悲しみを表す、大きく震えるその身体を、ついに強く深く抱きしめた。
その暖かさに、胸が痺れた。けれど、胸が痛い。この愛しい人をもう恋人として抱きしめてあげるのが、最後だと思うと。
最後に、こんなにあなたを泣かせてごめんなさい。でも、泣き止むまでは、恋人でいさせてください。
「コンラッド・・・・っ、あんた、そんな・・・に苦しかったんだ」
「ユー・・・・・・リ?」
「どうして、どうして俺はそのときに、あんたのそばにいてやれなかったんだ・・・・・っ」
耳を疑った。嗚咽をもらしながら途切れ途切れに紡がれるその言葉に。
俺を、責めていない?
それどころか、俺を思いやってくれてる?
胸の中で、震える彼は、それでも一生懸命に俺を見上げていた。相変わらず、濁りのない透明な瞳で。
彼は、俺を責めて泣いていたのではなかった。過去の俺の痛みを感じて、その痛みに同調してしまって、涙がとまらなかったのだ。
過去の俺のために、泣いてくれていた。
「あんたは、心が空っぽだったんだよ。自分の身も心もズタズタにしても構わないって思えるくらいに、きっと心が疲れきってたんだよ? そんな状態になる前に、俺がすぐにでも飛んで行って味方になってやったのに!!」
確かに、そのころは、心に闇を抱えていた。混血というだけで、好奇の目で見られることと、自分の兄弟にさえ受け入れられないこと。そして、母を傷つけたくないがために、その一切の思いを全て塞ぎこんでいた。
いつのまにか心は、閉じ込められて、何も考えられなくなっていた。本当は、辛く、悲しいと全身で叫びたかったのに。暗闇に押し込められて、素直な感情を吐露することさえままならなかった。
そして、本人でさえ、その痛みに気づかなくなっていたのに。
どうして、この人はすぐに人の痛みに気づいてくれるのだろう。
そして、改めて思い出した。俺が心の平静を手に入れられたのは、あなたのおかげなのだと。
あなたがあなたとして、可愛らしい産声をあげたあのときから、想像も付かないような満ち足りた気持ちになった。護るべきものができることは、こんなに、満たされるのだと、感激した。
そして、15歳になったあなたと再会して、共に時を過ごすにつれて、その思いは激しい恋に姿をかえた。
幸せなことに、あなたは俺の恋人になってくれた。
「ありがとう、ユーリ。俺には、今あなたがここにいてくれるだけで、もう十分に幸せです。俺のために泣いてくれてありがとう。でも、もう大丈夫だから。こんなに優しいあなたがついていてくれたら、何も悲しいことはありません。だから、もう泣かないで、ね?」
いまだに身体を痙攣させる彼を今一度、きつく抱きしめた。暖かくて、日なたの香りのするユーリの身体を確かに胸の中に感じた。
たまらない愛しい気持ちが溢れてきた。
わだかまり続けた、俺の些細なこだわりが、氷が解けていくように、とても自然に消えていく。
そして、眼が覚めた。
俺にとって、こんなにかけがえのない、生きがいのような彼が恋人になってくれたというのに、俺はなんて勘違いをしていたんだ。
こんなに好きなきもちがあるのに、肉体同士が結ばれることが汚らわしいわけがない。
俺を好きなように弄んだあいつらと、俺が同じなわけがないのに。どうして、そんな単純なことに気づかなかったんだろう。
ふいに、真顔のユーリが胸の中から、遠慮がちに俺を覗いた。幼い顔立ちなのに、その瞳の中には、ひどく大人びた包み込まれるような優しさが伺えて、たじろいでしまう。
「こ、コンラッド? あのさ、あんたが俺とえ、えっちしてくれないのって、きっと、さっきのトラウマでえっち事体が汚らわしいとか、思ってるから、なんだろ?」
そのものを言い当てられて、俺は面食らった。
ユーリの見せる本能的な勘の鋭さには、いつもはらはらさせられる。俺が、主導権を握っているようでいて、もうとっくにユーリに優しく包まれているのかもしれない。
ユーリは、黒く濡れる大きな瞳でじっと俺を見上げた。
その可愛らしい表情に、庇護欲がかき乱される。
大人びていると思ったら、急に少年のあどけなさに戻る。正直、そんな彼に俺は振り回されっぱなしだ。
「あ、あのさ。時間がかかってもいいから、えと・・・・、その、俺はコンラッドになら、え、えっちされたいし・・・・・・。きっと、大好き同士だから・・・・・。大好き同士でするえっちは、すごく幸せなことだと思うよ。って!!うわぁ、恥ずかしい、俺のばか!!」
歳相応に、可愛らしい態度を見せるユーリに少しほっとすると同時に、たまらなく愛しいと思う。
今までこだわっていた独りよがりの、わだかまりが消えた今、俺は、目の前の人が欲しくてたまらない。
偏屈に抑え付けていた欲望が、素直に正直に身体にあふれ出す。
けれど、決して苦々しいものじゃない。
寧ろ甘くて、切ない。たまらない多幸感で満ちてる。
「ユーリ、抱かせて?」
「はいっ?! い、今からっ?!」
ベッドを軋ませて、ユーリを押し倒す。
戸惑うユーリさえ、愛しい。もっと早くこうすればよかった。
「そう、今から。嫌ですか?」
ユーリの首筋に、唇を這わせながら甘い声で囁いた。
「・・・っふぁ・・・ンンっ、いや・・・じゃな、いよ?」
びくびくと身体を捩らせながら、甘えたような幼い声をあげるその唇に、甘い口付けを降らせた。
何度も柔らかくて熱い唇を啄ばみ、舌先で撫でる。愛撫に開いた、可憐な唇に舌を差し込んで、熱い粘膜を絡み合わせる。
互いの存在を何度も確かめ合った。
そして唐突に、唇を離して、俺の身体の下にいる潤んだ瞳のユーリを見つめる。
「嫌じゃないなら・・・・・・どうしてほしい?」
少し意地悪に、甘く囁いた。
「ばか・・・・・・。コンラッドの意地悪。でも、嬉しいよ。だって、俺ずっとあんたに抱かれたかったから・・・・・・!!」
それだけいうと、顔から火が出そうな勢いでユーリは真っ赤になって拗ねた。
「いじめてごめんね。拗ねないで、ユーリ」
再び彼の熱い唇にキスをして、夜間着のボタンを外していく。
熱にうなされたような、甘く上擦った彼の声に、俺は一晩中溺れることになった。
裏へ続く
ヒント:記事の右下の小さな英語
★あとがき★
地下室のわりに、表に置くような代物になりました。物足りない人すみません。
とりあえず、両思いになるところまでにしました。区切りがいいので(そして、力尽きたので・・・・・^^;)
いじいじしている次男が好きです。でも、火がつくと危険なんですよね、彼は。たぶん、そんな気がします。でも、今回の話は白次男で責めようかと思います。まだ、書いてみないとわかりませんが。次男視点のエロは久しぶりなので、どうなるか心配ですが・・・・・・。
ユーリは、心が広いから、いつでもコンラッドは救われているんですよね、きっと。管理人の妄想でした。
※ここからは、十八歳以上推奨です※
コンラッド視点な、甘やかしまくりの初えっちを目指していますが・・・・。
先ほどまでの、黒一色に感じた闇が、深い藍色のグラデーションだったことに気づく。
カーテンの隙間から差し込む月光が、輝きを増して、俺の下にいる恋人の素肌をスチールブルーに染める。
今や、お互いに身に着けているものは何もない。肌と肌が触れ合うために、邪魔になるものは、全て脱ぎ去った。
ユーリの緊張した浅い呼吸が、夜に吸い込まれる前に唇を塞ぐ。
「ンン・・・っぁ・・・・・・・ふぁ・・・ん」
いつもより、一段と甘くて熱っぽい媚態に、魅入ってしまう。
初めてじかに触れ合う、しっとりとした瑞々しい素肌と、熱い体温に心が浮き立つ。
恋人となって、彼を大部分は理解したつもりだった。
けれど、改めて彼の魅力の深さを思い知らされた。
未だに知られない彼の魅力を発見できることを、嬉しく思う。
深く絡めあった舌を、そっと離すと卑猥に透明な糸ができた。
熱に浮かされた、可愛いユーリをじっと見つめた。緊張しているのか、少し表情が硬い。
日なたの香りのする髪の毛にそっと口付けた。そのまま滑り降りるように、涙で潤む瞳の淵にキスをした。
「んっ・・・・・」
今や、すがすがしい少年の面影は微塵も見受けられない。
熱っぽく媚びるような、艶めかしい表情に見惚れてしまう。
「怖くないですか? ユーリ」
「う、ん・・・・ッンっ」
優しく耳元で囁くと、くすぐったそうに身を捩りつつも、ユーリの身体から緊張が抜けていくのを感じた。甘い吐息が、零れたはなから、再び柔らかい唇を塞いだ。
大切なユーリには、些細な恐怖心さえ抱かせたくない。彼にとっては、初めての体験だから。
ただでさえ、男性を受け入れる身体でない彼とひとつになろうというのだから。
大切に撫でるように、そっと触れて、気持ちよくなって欲しい。
ただの身体だけの交流ではないのだと。心と心が結びつくために、より深く身体を繋げるのだと、感じてもらいたい。
口付けで身体を弛緩させながら、右手で彼の熱っぽい素肌に触れていく。首筋をなぞって、胸板を通って腹部を撫でる。その度にびくん、と痙攣するユーリの肢体を、優しく撫で上げる。
ひときわ甘く唇を吸い上げたあと、首筋に唇を這わせた。さきに手で触れた場所を辿るように、しっとりとした素肌に、キスをおとしていく。
「ん・・・っぁ、ンンっ!!、ぅ、くすぐ、たい・・・・・よ」
いっそう彼の声が、鼻にかかったように甘くて幼いものになっていく。
胸の尖りが、痛々しいほど卑猥に屹立し、焦点の定まらないような蕩けた瞳で俺を見上げる。
「本当に、くすぐったいだけですか? ほら、ここ、こんなに苦しそうですよ?」
柔らかく微笑むと、そっと彼の屹立した胸の先端を口に含む。
「あぁっ、う、うそ!やめろ、よ。恥ずかしいっ・・んんっぅ」
そんな場所を舐められたことなどない彼は、恥ずかしさのために、必死に俺の頭を押し遣ろうとする。
俺は、潔く唇を離すと熱っぽく彼を見つめた。羞恥で滲んだ涙を指先でそっと拭ってあげる。
「ユーリ、俺にされたくない? 嫌だったら、教えてください。あなたを傷つけたくありません」
「コンラッドって・・・・・・ほんと、意地悪だよ。いや、やさしすぎるのかな。ごめん・・・・・・えと、さっきのは、いきなりで恥ずかしかっただけで。その、つまり・・・・・・、本当は、え、えっちなことしてほしい・・・・っ」
浅い呼吸を繰り返しながら、ユーリはたどたどしく言葉を紡いだ。
頬を朱色に染め上げて、横を向いてしまった恋人を優しく胸に抱きしめる。
「本当? よかった。もう恥ずかしがっても、嫌がっても、あなたを放さなくていいんですね? ありがとう、ユーリ。愛しています」
「また、そんな恥ずかしい台詞をっ。・・・・・・でも、悔しいけど、俺もあんたが大好き・・・・っんん!」
拗ねたような困った顔で、精一杯に告白してくれる彼は、たまらなく可愛い。
細い顎先を掴み上げて、再びキスをした。甘い粘膜を絡み合わせて、互いを確認しあう。
唇が僅かに離れたときに、ユーリが懸命に酸素を取り入れる切なくて、苦しそうな甘い吐息に、理性が吹き飛んでいく。
夢中で、キスを繰り返した。
ふいに俺の下で、ユーリのものがぴくんと撥ねた。
「ふぅ・・ん、あ、や、だめっ」
俺の身体を押し遣ると、ユーリは、潤む瞳を細めていやいやをするように顔を左右に振った。
身体の変化を俺に気づかれたくないらしい。そんないじらしい彼を抱きしめると、耳元で少しだけ意地悪に囁いた。
「でも、本当は嫌じゃないんでしょう? いやらしいことを、してほしいんですよね?」
「・・ん!! いじ、わる。そう・・・だよ―― ・・・・・っンンぅ!! あ、あ、うぁぁっ!!」
艶めかしい顔をしていると思えば、何も知らないうぶな少年にもどるユーリ。
その可愛らしさに、理性のたがが外れてしまう。
もっと、知りたい。うぶなあなたが、ひどく淫らに感じる姿を。俺の前だけで、変わるその姿を。
舌先で、彼の胸の尖りを転がしては、優しく口に含んだ。それだけで、何度もびくびくと身体をよじらせては、甘い喘ぎ声を出すユーリに激しく欲情した。
「ユーリ。もっと、感じる姿態をみせて?」
たまらずに、彼の硬く屹立した幼いものを手中に収めた。
すでに、先端からぬるぬるとした雫を溢れさせていた淫靡な様態に、たまらず上下に扱き上げた。
「や、やめろ、よ、ンン、・・・・ぁ・・・はぁ・・・ンンっ・・・ぅ」
つま先をぴんと突っ張って、ユーリは、腰を突き出すように卑猥に動かす。無意識にもっと擦って、とねだるように。
誘うような柔らかそうな唇からは、濡れた舌が覗く。細い顎には、唾液が伝い、羞恥に勝てずに、本能のままに欲情している姿を、曝け出す。
「可愛いよ、ユーリ。やめろなんて言いながら、そんなにいやらしく感じてくれて。だから、もっと、気持ちよくしてあげます」
「―― な、何?・・・う、うそ、やめ、やめろ、よ、っふ、ンン、ああっ!!」
卑猥な水音を響かせながら、じゅぶ、じゅぶ、と音を立てながら、彼の張り詰めたものを咥えた。唇を窄めて、粘膜を密着させながら、深くえづきそうになるほどに、喉奥まで咥えてあげた。
「・・・ひぁ、う、やぁ、恥ずかし、い・・・・そんな、とこ、汚い・・・や、うぅ、ンンーっ、ぁ!」
たっぷりと唾液に塗れた舌も絡め合わせれば、彼はいやいやといいながらも、腰が動きだす。遠慮がちに、ユーリの両手が俺の頭に載せられる。
「・・・は、ふ・・・。ぁ、もっと、遠慮せずに、ふ・・・、喉の奥まで・・・は、打ちつけて、いいですよ」
「や、やだ、よ、だって、そんな、ことしたら・・・・コンラッドがくるし、・・・・ぁ、ぁ、ンンでも、ごめ、気持ちよくって、アア!! ごめん・・・なさ・・いっ・・んんっ!!」
ユーリは、両膝を曲げて大腿部で俺を挟み込むようにする。遠慮がちに俺の頭に置かれていた両手に力が籠もる。
切なくて、苦しい声を上げながら、ユーリは一心不乱に腰を上へ、上へと押し上げる。
俺の口内に、すっかり硬くなった彼のものが、奥へ奥へと突き上げる。
「あぁ、ンン、ごめ、コンラ、ッド。気持ちよくって、腰が、ふぅ、ンン、動いちゃ、う、ぁぁ」
罪悪感に苛まれながらも、欲望に呑みこまれて、腰を蠢かすユーリは、淫らでたまらない。
無邪気なユーリをここまで乱れさせる、その背徳感さえ、耐え難い疼きを起こす。
もっと、もっと、乱れて。ユーリ。俺に、全部・・・・・・晒して。
俺を挟みこむ彼の太股の力が強くなる。頭を掴む手が、頭皮に食い込むほどきつくなる。
いっそう激しくなる彼の腰の動きに合わせて、ひときわきつく唇で花芯を扱きたてた。
「だめ、そんなに吸っちゃ、や、おかしくなり、そ、だめ、うぁぁっ、ンン、で、ちゃうぅーーっ!!」
甘く淫らな叫び声に、ますます欲情した俺は、卑猥な音を響かせて、それを吸い上げた。
「うぁ! あ、あ、ああっ!! ぃヤだぁぁー!!」
部屋中に響くほどの声だった。びくん、とユーリの全身が痙攣して、全身に緊張が走った後に、すとん、と脱力仕切った両脚、腰はベッドに沈んだ。
口内には、ユーリの体液が、溢れるほどに注がれた。
俺は、それを掌の上に出すと、蕩けたような顔のユーリに見せた。濡れた睫毛に縁取られる、藍色を映す瞳。浅い呼吸に、汗ばむ乱れた髪。健康的で無邪気な彼からは、想像もつかない。深い藍色の闇に浮かび上がる、月光を受けてスチールブルーに染まる妖艶な肢体。
見たことの無い色気に溢れる姿に、劣情が否応なしに刺激される。
「こんなに出して。俺の口は気持ちよかった?」
「ば、ば、ばかっ!!」
口をぱくぱくさせて、大きな目を見開いたユーリは枕で顔を覆った。あれほど乱れたあとなのに、いつものあどけない可愛らしさは健在だ。
なんて、無邪気で可愛いんだろう。本当に、俺は、この人が大好きでたまらない。
俺は、片手で枕を奪うと、頬を染める彼に、少し意地悪なことを言う。
「でもね、ユーリ。残念ながら、これだけでは俺が物足りません。ユーリの中で、ひとつになりたいな」
情けないような、嬉しいような、なんともいえない困った子犬のような顔をして、ユーリはただこくん、と小さく頷いた。
「ありがとう、ユーリ。でも、そんなに緊張しないで? さっきよりもっと気持ちよくしてあげる」
「コンラッドの、えっち・・・・・・」
ユーリは、黒目がちな大きな瞳を潤ませて、信じられない、という顔をした。そんな愛らしいユーリに覆い被さると、耳元で囁く。
「こんなにいやらしい俺に、幻滅しましたか?」
「・・っ、んなわけ、ないだろ」
耳に息がかかるのかくすぐったいのか、ユーリは身を捩る。
「じゃあ、好き?」
訊いておきながら、彼の耳孔にそっと舌を差し込む。
「・・・っ、ぅぅ、ぁ、す、好き、っ」
ゆっくりと中で舌を掻き回す。息も絶え絶えになりながらも、ユーリは、必死で俺に応えてくれる。
恋人の健気な姿に、ますます劣情は膨らむ。
「可愛いよ、ユーリ。力を抜いて・・・・・・」
「・・・っあ!ぅ、ぅ、ンンっ!」
ユーリの唇を再び覆うようにして吸う。そのあとは、再び舌で優しく表面を撫でる。
すっかり、身を投げ出すように従順に愛撫を受けるユーリの双丘の間に、指を滑らせる。
「―― っ!?」
びくん、とユーリの身体に緊張が走る。まさかそんなところに指を入れられるとは想像もしていなかったのだろう。
俺は、ユーリの唇を割り入って、その柔らかい舌を吸い上げる。
途端に、甘えたような嬌声をあげるユーリに、できるかぎりに優しく囁く。
「ごめんね? 怖くないですか?」
「ふ・・っ、う、うん」
懸命に、頭を縦に振ってくれるユーリを甘く見つめる。
「怖くなったら、いつでも教えてくださいね?」
「優しい・・・・な」
甘く微笑むユーリに微笑み返すと、俺は先のユーリの体液で濡れた指を、彼の後孔にゆっくりと入れていく。
「ふっ・・ンン!!」
頭の先から、つま先までぴん、と身体を突っ張らせるユーリに、キスを繰り返す。口から息を吐いて、少しでも身体が弛緩するように。ユーリに負担がかからないように。
藍色のグラデーションを映す部屋に、卑猥な音が響く。シーツの擦れる音。唇から漏れる水音、ユーリの後ろに精液が塗り込まれ、指でかき混ぜられる音、ユーリの切なそうで苦しそうな張り詰めた喘ぎ声。
単調に繰り返されるその音は、計り知れない興奮をもたらす。
次第に、ユーリの苦しそうな声に、媚びたような甘えたような響きが含まれ始める。
「あ・・・、どうし、よう? コン、ラッド・・・・、気持ち、いいっ・・かも・・・っあ」
ユーリは、男性を受け入れる場所でないそこから、快感を感じてしまう自分をひどく恥じているようだ。それでいて本能に逆らえずに身体は乱れ、蕩けるような甘い顔で、縋るようにこちらを見上げてくる。
そんな彼に、たまらず欲情した。
「ユーリ? あなたが欲しい。苦しかったら俺を見て? 俺にしがみ付いて下さい」
そういうと、俺は彼の両脚の間に腰を進めていった。
指で慣らしたとはいえ、そこは驚くほどにきつくて狭い。
「―― ・・・っ!! ぃたっ・・・ンン!!」
自身のものは、限界とばかりに屹立していた。けれど苦しそうなユーリを見ていられずに、たまらず腰を引こうとした。
「だめっ、コンラッド・・・・? やめ、ないで?」
ユーリに腰を掴まれた。
苦痛に顔を歪めながらも、まっすぐな瞳でユーリが俺を見上げる。
「けれど、とても痛いのでしょう?」
「う、うん。でも・・・・、ずっと、あんたに抱かれるのを待ってた・・・・から。ぁ、だ、だから、お願い、やめないで・・・・。少しくらい乱暴にされたって、構わない・・・だって、好き――・・・っあ、あ、あああっ!!」
あまりに健気で、それでいて淫らなユーリに、抑え付けていた欲望に歯止めが効かなくなった。
夢中で、腰を推し進めて、狭くて熱い内部に自身を深く突き入れた。
「あ、あ、んああっ!!」
「ユーリ、好きだよ。動くから、痛かったら俺にしがみ付いてください」
ユーリは、答えられないかわりに、こくんこくんと頭を縦に振った。
俺は、こんなにユーリが欲しくてたまらなかったのだと愕然とした。
ユーリの悶える顔を見ながら、夢中で抽送を繰り返した。
ユーリの両脚を肩にかけて、いっそう深く繋がるようにしてまで、ユーリの中を深く貫いた。
焦点の定まらない潤んだ瞳が、俺を見つめて安心したようにかすかに微笑むたびに、ひどく満たされた。
初めは、苦しそうな顔をしていたユーリが、次第に甘く蕩けそうな顔になってきた。
ユーリは、必死にしなやかな両腕を伸ばすと、俺の頭を抱き寄せた。
「ンン・・・ぅ、すごい、コン、ラッド・・・ああっ、ン、気持ちいい、とこばっか・・・に当たる・・・んん、うぁぁっ!!」
「ユーリ・・・・・、すごくいやらしい顔、してますよ・・・。本当に、可愛い、人だ・・・・・」
あまりの恋人の愛らしさに、乱れっぷりに、俺の劣情が狂ったように暴れだした。
もっと、大切に大切に、抱こうと思っていたのに。目の前の乱れた姿に、平常心を保てなかった。
かつて、投げやりに男たちから抱かれても、俺は、どこか冷め切っていたのに。
こんなに、熱くて幸せな欲望に包まれるなんて。
愛しい人を抱くことが、こんなに満たされることだなんて、知らなかった。
こんなに身体中が、熱く満たされるなんて。
「ユーリ、愛しています」
ユーリの両脚を開かせて、腰から下肢を折り曲げさせる。彼の大腿部が、彼の顔の横の位置にくるほどの体勢にしてしまう。
羞恥と快感に震えるユーリを見おろしながら、卑猥に震える頼りない後孔に、滾る牡を打ち込んだ。
「うああっ!!・・・っう、こんな、格好・・・・はずかし、・・・・・けど、すごい・・・・ああ、そんなに深いっ・・・・!!コンラ、ッド・・・、もう、もう、い、いっちゃう・・・ぅぅ」
そのあと、俺達は今までの分を取り返すように、体位を変えては何度も何度も身体を絡めあった。
******
そして乳白色の空が覗きだした頃、俺達は静かなときを過ごしていた。
「ユーリ、すみません。少し無茶をしすぎてしまいました」
俺の腕枕に頭を載せるユーリにそっと囁く。
「ば、ばか。改まってそんなこというなよな。でも・・・・・コンラッドはさ、少し無茶をしたくらいがいいかもな。いつも色々我慢しちゃうほうだからさ」
ユーリは、わざと視線を外すように、白んできた窓の外を見つめてぶっきらぼうにつぶやく。そっぽを向いていても、頬が紅く染まっているのが見えている。
「・・・・・・本当に、優しいですね。それに、可愛いな」
「な、なんだよ、俺は可愛い言われても嬉しくないっ」
剥きになって俺のほうを振り返ったユーリを、胸の中に抱きしめた。
「そうですか。さきほどまでは、散々俺が可愛いって囁いても、うっとりと目を細めていましたよ?」
甘く、耳元で囁いた。すると耳まで真っ赤に染めて俺の胸に顔を埋めた。
「・・・もう、負けたよ。あんたにはっ」
「ねぇ、ユーリ。お言葉に甘えて、今夜も抱いていいですか?」
「う、嘘だろ?! 昨日の今日じゃん?!」
「だって、あなたが可愛らしすぎるから・・・・・・」
唐突にユーリは、起き上がると枕を俺の顔に投げた。
「コンラッドのばかっ! さぁ、早く着替えろよ。ロードワークに行くぞ」
少し呆れたような、怒ったような彼の声が聞こえた。
けれど、枕をどけると、俺は眩しくて目を細めた。
そこには飛び切り甘くて爽やかな笑顔が、朝陽に照らされていたから。
★あとがき★
一応、おわりました^^
真っ白なコンラッドで、甘やかしえっちを目指しましたが、やっぱり、最後には、コンラッドは理性を失くしてました(汗)
ユーリがすごくエロい人みたいになってしまってすみません><;
次男視点だと、心のなかでも常にユーリに可愛い可愛いといいまくりですね^^;
いや、むしろそう思っていて欲しいです。願望をこめました(おい)
そして、ユーリは若い!あんなあとに、すぐロードワークにいくなんてっ。さすが、体育会系だ、ということにしておいてください;
爽やかに締めくくりたかったんです。無茶があるかな^^;
お付き合いくださってありがとうございましたm( 。。)m
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