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2009.4.22設置 『今日からマ王』メインです。 
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2009/04/26 (Sun)                  パラレルな世界 ~学園編~ 第五話
第五話  コンラッドが恋人??


※この世界では、コンラッドがユーリの担任であり、且つ恋人だったという話です。


 コンラッドとギュンターが今にも戦いそうな勢いだったから、コンラッドと退散してきたのはいいんだけど・・・・・・。


 俺が、コンラッドにお姫様抱っこをされながら校舎の廊下を歩いていると目立つ。コンラッドに惚れていると思われる女子生徒達から羨ましそうに見つめられる。他にも、たくさんの好奇な視線が俺達に注がれる。


「ねぇ、コンラッド~。いつまでこの格好のままなの~?俺、恥ずかしいんですけど・・・・・・・・・」
コンラッドは、にこりと微笑む。
「もう、お昼休みに入りましたからね。ユーリといつもの場所でお弁当を食べようと思いまして。今日は、ユーリにサンドイッチを作ってきたんですよ」


 よく見ると、コンラッドの左腕には小さめの手提げ袋がぶら下がっている。
「すごい!!コンラッドが作ったの?俺、お腹すいたんだ~。わーい、早く食べたいなぁ」
「はい、ユーリ。もうすぐ着きますからね」
相変わらず涼しげな笑顔を見せて、コンラッドは言う。ん?なんか質問をはぐらかされたような。しかも、
相変わらずお姫様抱っこのままだし。ま、いいか。弁当、弁当~!!


 コンラッドは、俺を抱きかかえながら温室の中に入っていった。たくさんの木々や花々が咲き誇っている。中でも、今はチューリップが旬らしく、あたり一面がチューリップの絨毯を敷き詰めたようになっている。ロココ調の緩やかな曲線でできた小ぶりの噴水もある。まるで、小さなパティオのよう。


「さぁ、着きましたよ、ユーリ」
コンラッドは、噴水の前のベンチに俺をそっと座らせる。
ふわり、とコンラッドの影が覆ったかと思うと、さらりと冷たい感触が唇に触れる。
「ん?」
キ、キスしてる?! 嘘!
「こ、コンラッド~!!」


 俺は、必死でコンラッドを押しやると、はぁはぁと肩で息をする。怪訝な顔をしてコンラッドが俺を見つめる。
「どうしたのですか? ユーリ」
「ど、ど、どうしたって、そんないきなりキスされたらびっくりするじゃん!!」


 ますます怪訝な顔をして、コンラッドが俺を見つめてくる。
「ユーリ?いつもここでキスしてから昼ごはんを食べるのが日課でしょう?」


はい?え?今、なんとおっしいましたか?
「もしかして、この世界では、そ、そ、そんなすごいことになっているのか、俺達? 」


 少し戸惑いながら、コンラッドが俺に尋ねる。
「何か、今朝の授業中から様子がおかしいとは思っていたのですが、今貴方の身に起きていることを説明してもらえますか?」
「うん、いいけど・・・・・・・あまりにも突拍子が無すぎて信じてもらえるかどうか・・・・・・」


 コンラッドが、優しく俺の手を包み込むように握りながら言う。
「ユーリ。俺は、例えそれがどんなに突拍子も無いことだとしても貴方のいうことなら一言でさえ疑わずに耳を傾けます」
 目を細めて、慈しんだ瞳で俺を見ながら言う。う、すごい綺麗な顔だな。
「さぁ、話してください。ね? 」



 コンラッドに優しく促されて、俺は今自分の身に起きていることを説明した。俺が、元の世界では第27代魔王ということも、コンラッドがその臣下だとういうことも。コンラッドの兄がグウェンダルで、弟がヴォルフラムだということも。ギュンターがコンラッドの師だということも。
 もちろん、アニシナさんなる魔術師(魔術師でいいのかな?)の発明によってこの世界に飛ばされたということも説明した。
 やっぱり、突拍子もない話だからな。コンラッドは、どう思ったかな?ちらりとコンラッドを見る。


 にこりと微笑んでこちらを見つめる。
「ユーリの臣下として、貴方をお守りできるなんて光栄です。とても嬉しいですね。ただ・・・・・」
 少し切なそうに笑いかける。
「そちらの話の世界が本物だとしたら、今のこの世界の俺は仮初めの存在だということですね。貴方が元の世界に戻ったら、すべて消えてしまうかもしれない。それは、少し残念かもしれませんね」


 ずきん・・・・・・と心が痛む。
そうか、考えもしなかった。そもそも、ここの世界はアニシナさんの魔道装置が作り上げた虚像なのかも。俺がいなくなったら、存在自体が無かったことになっちゃうのかも。
 なのに、俺・・・俺は消える可能性をもつコンラッドに対してあまり考えずにしゃべりすぎた。自分が偽りの一時的な存在でしかないなんて知ったらどんなに悲しいだろう。
 現に、コンラッドはものすごく切ない笑顔をしている。


「ごめん・・・ごめんな、コンラッド。俺ってなんて無神経だったんだろう。こんなこと話すべきじゃなかたった」
 コンラッドのことを想うと、目から涙が溢れてくる。視界が霞んでぼやけていく。
 コンラッドが手の甲で俺の涙を拭う。暖かい手。とても、消えていくかもしれない存在なんて思えない。胸が締め付けられる。
「ユーリ。私のほうがあなたのことをこんなに苦しめてしまって申し訳ないです。どうか、俺なんかのためにそんなに自分を追い詰めないで、ユーリ」
 コンラッドが優しく俺を抱き込む。俺は、相変わらず涙が止まらずにいる。しばらくじっと俺を抱いていたかと思うと、ふいにコンラッドが俺の両肩を緩く掴んで俺を見つめる。


「ユーリ、俺のわがままかもしれませんが、お願いを聞いてもらえませんか?」
「な・・に?こ・・んら・・ど」
嗚咽を漏らしながら応える。
 俺の涙を指で拭い去りながら、コンラッドは言う。
「この世界で、貴方と私は恋仲にありました。ですから、これからも、どうか貴方が元の世界に帰ってしまうまでの間、俺と恋人でいてくれませんか?」


 コンラッドの熱く情熱的な瞳が俺を射抜く。でも、その顔には影が覆っていてどこか儚い。まるで消えていくことをほのめかしている様で・・・・・。
 そんな、コンラッドの顔を見ていて俺はたまらずにコンラッドに抱きつく。
「コン・・ラド、俺、お前のためなら何・・・でも、お願い・・・聞く・・よ。も、もうコンラッド・・を悲しませたり、しない、から・・・」
 泣きじゃくりながらも、一生懸命に言葉を紡ぐ。
 コンラッドが、ふふと優しく微笑む。
「どの世界の貴方も、本当に優しい。ありがとう・・・ユーリ。どこの世界の貴方であろうと、貴方のすべてが愛しい」
 コンラッドの唇が俺の目頭にそっと口付ける。そのまま、涙の雫の痕をたどる様にして頬にキスをしていく。そして、俺の唇と重なり合う。
「はっ・・・・ん・・」
 優しく甘く俺の唇に触れてくる。甘い口付け。ふいに唇が離れる。そして、コンラッドの甘く低い声で囁かれる。
「どこの世界であろうと、貴方のことをお守りし、愛しています」
 俺は、甘い口付けの余韻でうっとりしながら、ぼんやりとコンラッドを見つめる。
「うん・・・ありがとう・・コンラッド」
 また、コンラッドは俺にそっと口付けする。俺は、熱に浮かされたみたいにずっとぼんやりしていた。



 その後、コンラッドの作ったものすごくおいしいサンドイッチを食べて何気ない会話を交わしたけどあまりよく覚えていない。
 コンラッドのいつもより数段甘い態度に、俺はずっと熱に浮かされていた。





第五話 =完

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